第38回社会福祉士国家試験(専門科目)講評
2026.02.04
2回に分けて、第38回社会福祉士国家試験の講評を行っています。東京学芸大学の露木信介です。今回は、<専門科目>問題についてです( 解答速報はこちら )。 👉共通科目の講評は こちら
国家試験のその後、何か新しい取り組みを始めましたか? そのための準備を始めていますか? 時間はどんどん前に進んでいきます。合格発表後から準備を始めていては遅いと思います。今から、次年度の準備、次年度の体制作りをしておくといいと思いますよ。
今日のレッスンLessen.1 〈専門科目〉問題の総括Lessen.2 科目別分析と講評 |
Lesson.1 〈専門科目〉問題の総括
さて、<専門科目>の試験科目は以下の7科目で、試験時間は14時10分~15時35分までの85分(1時間25分)でした。
第38回試験の<専門科目>問題は、出題の形式や方法、内容に変化はあるものの、例年通りの難易度だったと思います。よって、基本的な項目をしっかり押さえておけば、きちんと得点できた問題が多かったと思います。しかし、五者択二(二つ選びなさい)では、二つ目の選択肢で迷われた方もいたのではないでしょうか。このような時に重要なのは、設問文や事例文に潜むキーワードを的確に読み取ることです。
また、事例問題については、〈共通科目〉・〈専門科目〉共に全体的にやさしい問題が多く、内容としては相談援助系の科目では、社会福祉士(ソーシャルワーカー)の対応事例が出題されました。その他の事例問題は、知識と実践を問う応答問題が出題されました。
それでは各科目について、講評していきたいと思います。
Lesson.2 科目別分析と講評
高齢者福祉
出題基準から広範囲に、満遍なく出題されました。具体的な内容を見ていくと、まず問題85は「高齢者の特性を踏まえた対応事例」が出題され、問題86では「各種調査や報告書などを基本とした高齢者の生活実態」について問われています。このほか、「介護保険制度に関連する問題」(問題88、89)が問われています。このほか、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(問題87)をはじめ、「医療・ケアチームの対応事例」(問題90)が出題されています。
なお、旧カリキュラムで出題されてきた介護技術に関する問題が姿を消し、高齢者虐待防止や老人福祉法に関する問題も出題されませんでした。なお、老人福祉法については、重要なので必ず復習しておきましょう。
児童・家庭福祉
非常に基本的な項目が、出題基準から万遍なく出題されました。ただし、核となるような児童相談所や児童の権利関する条約、いじめや自殺、虐待といった内容の出題がなかったことはやや残念です。合わせて、これに係る関係機関や専門職種についても必ず復習しておきましょう。さて、出題された内容を見ていくと、「一時保護」(問題91)や「保育所」(問題96)などが問われ、「各実践における対応事例」(問題92、93)が出題されています。このほか、「スクールソーシャルワーカー」(問題94)に関する問題が出題されています。
出題されなかった項目としては、子ども・家庭福祉の生活実態に関する統計問題をはじめ、児童福祉法の総則規定や、社会的養護(里親など)、要保護児童対策地域協議会、児童福祉審議会、などに関する問題です。この辺りも、社会福祉士にとって重要な項目ですので、各自で復習をしておきましょう。
貧困に対する支援
出題の傾向がやや変わり、出題基準から万遍なく出題されているものの、生活保護制度に関する内容が希薄になっています。難易度は、例年通りの難易度でした。生活保護制度の原理や原則、生活保護の種類(8つの扶助)とその内容については、本制度を適切に運用する社会福祉士にとっては必須の知識ですので、必ず復習しておきましょう。内容を見ていくと、問題97は「貧困問題に対する制度の変遷」について問われ、例年出題のある「生活困窮者自立支援制度・改正」(問題99)、「生活福祉資金貸付制度」(問題100)が出題されています。このほか、「福祉事務所や生活困窮者自立相談支援機関の社会福祉士の対応事例」(問題98、101、102)が出題されています。
なお、出題されなかった内容としては、生活保護の義務と権利、生活保護法の施設(第38条)などが挙げられますが、社会福祉士にとって必要な知識となりますので復習しておきましょう。
保健医療と福祉
出題基準に沿った基本的な内容が問われました。保健医療に係る政策・制度・サービスの概要からは、問題108で「診療報酬の支払い方式」や「制度利用に関する対応事例問題」(問題105)が該当します。このほか、「悪性新生物の動向」(問題103)や「保健所・保健センター」(問題104)、「臓器移植に関する法律における臓器提供」(問題106)なども出題されています。なお、出題されなかった内容としては、例年出題されている国民医療費の概況や患者の権利に関する内容が出題されませんでした。今後は、生命倫理や尊厳死、インフォームドコンセント、アドバンスディレクティブなどに関する問題の出題が求められます。
ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)
本科目は「ソーシャルワークの理論と方法」とセットの科目といえます。内容としては、問題109で「バートレットのソーシャルワーク」について問われ、問題110は「福祉行政における専門職」について問われています。このほか、「支援レベル/システム:メゾレベル/システム」(問題111)や「システム思考における支援の実践事例問題」(問題113)、「ジェネラリストソーシャルワーク」(問題114)について問われています。
ソーシャルワークの理論と方法(専門)
社会福祉士の実践事例を中心とした事例問題が多く出題され、ソーシャルワークの支援プロセスや面接技法などに関する基礎的な内容が出題されています。例えば、問題115は「ソーシャルワークにおける契約」や問題118、問題119は「ニーズやアセスメントに関する事例問題」が出題されています。このほか、社会福祉士の役割や機能といった視点では、「ソーシャルワーカーの役割に関する事例問題」(問題116)や「ソーシャルワークの支援モデル・アプローチ:ナラティブアプローチや認知行動アプローチ」(問題122)「アウトリーチの実践」(問題123)などが出題されています。
出題として、実際の現場で直面するような事例や場面を想定したソーシャルワークに必要な技術や知識をもとにした具体的な対応や実践に関する事例問題が出題されると実践的な知識が身につくのではないでしょうか。あと、人材が不足していく今後を見据え、チームアプローチやグループワークに関する知識や技術は必須なものになりますので、復習しておきましょう。
福祉サービスの組織と経営
出題基準では、(1)福祉サービスにかかる組織や団体の概要や役割、(2)福祉サービスの組織と経営に係る基礎理論、(3)福祉サービス提供組織の経営と実際、(4)福祉人材のマネジメントとなっています。第37回試験を見てみると、これら4項目が万遍なく出題されていました。
内容を見てみると、問題124では「社会事業などを行う法人の設立や運営」や「社会福祉法人の決算期の計算書の承認」(問題127)について出題されています。このほか、組織や運営などの関する理論としては、「ダブルループ学習や科学的管理法といった取り組み」(問題125)や「心理的安全が確保される組織」(問題126)、「福祉サービスの経営戦略」(問題128)などが出題されています。このほか、福祉人材のマネジメントとして、問題129で「職員の人材育成や評価」について問われています。このほかにも、育児・介護休業法について重要ですので整理しておきましょう。
以上、第38回社会福祉士国家試験の<専門科目>問題の講評でした。
本当にお疲れさまでした!
最後に、みなさん、この一年間、本当にお疲れさまでした。試験は、その日の体調や心の動き、さまざまな環境要因や状況などによって、合否に影響を受けます。しかし、結果は結果ですので、それを真摯に受け止めてほしいと思います。まだ結果、結論は3月の合格発表までわかりませんので、「果報」は寝て待ちましょう。
ただ、寝てばかりいても、頭も身体も鈍るでしょうから、試験の見直しとできなかったところの整理をしておくとよいでしょう。これは合格圏内にいる方も、不合格が予想される方も一緒です。いや、合格圏内にいる方はなおさらです。なぜならば、合格した方は、これから専門家として重荷を背負って、責任を持ち、自立をしていかなければならないからです。
私は専門家として、非常に大切に思うことがあります。それは、「無知で関わることほど罪なことはない」ということです。
それでは、皆様の合格を祈願して、結びとしたいと思います。またいつの日か、紙面等でお会いできる日を楽しみに・・・
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