精神保健福祉士 わたしの合格体験記(第4回)

2025.11.05

今年の合格者にご登場いただきました。

ペンネーム:ホノカさん(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部社会福祉学科令和7年卒業)


受験の動機

中学時代の体験から

私が精神保健福祉士を志すことになったきっかけは、中学時代、弁護士の職場見学に行った際に、たまたま傍聴した裁判でした。その裁判は、精神障害者の方が父親を殺めてしまった痛ましい事件でした。それまで何となく知ってはいたものの、そこで初めて精神障害者という存在を強く意識することになり、こうした状況に対して「自分に何かできることはないか」という思いが湧き上がってきました。その後、高校生になってから、「精神保健福祉士」という資格があることを知り、働くことを具体的に思い描くようになり、将来の進路として定めました。

進学する大学を決める際、地元には大学が少なかったこと、両親の出身地で縁があったこと、そして精神保健福祉士と社会福祉士のダブル受験ができる選抜コースがあったことから、神奈川県立保健福祉大学を選びました。入学後は軸足を精神保健福祉士に置きつつ、社会福祉士の勉強にも取り組みました。これは「せっかくなら取れる資格はすべて取ろう」という気持ちがあったためです。

   

試験当日までの道のり

卒論と実習を終えてから

私の大学では卒業論文が必修だったため、本格的に受験勉強を始められたのは、4年生の10月~11月、論文提出後でした。その年の夏まで実習も行っていたため、勉強に集中できる期間はかなり限られていました(夏休み中に大学主催の受験対策講座に参加したくらいです)。

インプットからアウトプットへ

受験勉強は、まず大学の対策講座で教えてもらったポイントをチェックすることから始めました。使用したのは、授業の教材として指定されていた『国試ナビ』(中央法規出版)と『合格教科書』(エムスリーエデュケーション)です。これらのテキストは、先生の説明に合わせて線を引き、各章・節末についている問題を解くという使い方をしました。

勉強の初期には、とにかく覚えることが多かったため、インプットに時間をかけました。そして徐々に、無料の過去問アプリなどを活用して、アウトプット中心の勉強に移行していきました。移動中のスキマ時間も使って勉強しました。

   

合格の秘訣

効果が大きかったと感じている勉強法は2つあります。

1つは、「友達と問題の出し合いをする」ことです。「ここは絶対に出る」など、友達と会話しながら勉強したエピソードと一緒に記憶することで、知識が会話の場面と結びつき、定着に繋がりました。ただ知識を詰め込むのではなく、楽しい印象と結びつけて覚えることができたのがよかったと思います。

もう1つは、勉強」です。私は朝型で、早起きして喫茶店のモーニングを食べながら勉強するのが性に合っていました。1人で集中したい時は、この朝の時間が最も効率的でした。

喫茶店での一コマ

   

「体調管理」がカギ

精神保健福祉士・社会福祉士のダブル受験をすることになり、実際に試験を受けた手応えとして、前者については自信満々でした。一方で、後者については共通科目が難しく、試験が終わった直後は「3割も得点できていないかもしれない…」と自信を失いました。新カリキュラムになり出題傾向が変わったことで、解きづらい問題が多かったのが原因でした。しかし、結果として合格ラインが例年よりも低かったことに助けられ、ダブル合格を手にすることができました。

振り返ると、試験の直前期は新型コロナなどの感染症が流行っていたこともあり、何よりも体調管理を大事にしたことが功を奏したと思っています。マスクの着用を徹底し、睡眠をしっかりとるように心がけました。

   

「モーニング娘。」に励まされて

勉強以外の面では、大好きなアイドルグループ「モーニング娘。」の歌に大いに励まされました。「この地球の平和を本気で願ってるんだよ!」という楽曲の「夢を抱け、諦めるな」という歌詞や、「君の代わりは居やしない」という楽曲の「才能なんてあると思うな、じゃないと努力しないだろ」という歌詞は、勉強に取り組む自分を奮い立たせてくれました。

また、甘い物を食べることも効果的でした。カフェで、ケーキなどのスイーツを食べながら勉強したり、勉強を頑張った自分へのご褒美にしたりすることで、モチベーションを保つことができました。

 
推し活も心の支えに

精神保健福祉士のやりがい・難しさ

現在の仕事

現在は、地域に根ざした事業所で、相談対応や訪問活動を通じ、地域で暮らす精神障害者やその家族の方々をサポートしています。また、一人暮らしの支援、退院支援などを行っています。さらに、精神障害についての普及啓発活動(作品展の開催や大学での広報活動など)も仕事の一部です。家族会から発展した事業所ということもあり、地域に密着した活動を大切にしています。

多様な人生との出会い

精神保健福祉士には、就職前から「やることが幅広い」というイメージを抱いていましたが、実際に就職して働いてみると、思っていた以上にその広さを感じています。

そうした幅広い業務を行うなかで、いろんな人生を歩んできた方々、自分と全く違う生き方をしている方々に出会い、興味深く感じています。それと同時に、支援のタイミングややり方によって、それぞれの人生を大きく左右することになるという点で、責任の大きさも実感しています。

また、メンバーさんから「話してよかった」「また話したい」と感謝された時には、やりがいを感じます。こうした一言があるからこそ、もっと頑張りたいと思えます。

知識と経験を増やして一人前に

現在の仕事をするうえでは、複雑なケース(家族全員が精神障害を抱えている場合など)に対応する際、自分の知識と経験の浅さを痛感し、難しいなと思います。頭がパンクしそうになることもあり、情報の整理の仕方や、適切な社会資源を紹介するための知識を身につける必要があると感じています。今後は、知識と経験の両方を増やし、一人前として、自分の力でケースを担当できるようになることが目標です。そして、上司から「もう任せられる」と思ってもらえるように、日々努力を続けていきます。


受験者へのエール

勉強したことは裏切らない!

これから受験される方々へお伝えしたいのは、勉強したことは裏切らないということです。だから、最後まで諦めずに、とにかく体調管理を徹底して頑張ってください!

そして、受験が終わった後の楽しみを具体的にもって、やり抜いてください。私自身、受験後には函館や名古屋、大阪など、様々な場所へ友人と卒業旅行に出かけて、美味しいものや景色を満喫してきました!

ぜひ、目標を達成した後の喜びを想像して、突き進んでくださいね。応援しています!

        函館の夜景

      名古屋港水族館にて