◎令和8年度(第29回)ケアマネジャー試験の講評
2026.10.13
2026年10月(第29回)試験の全分野の講評
ケアマネジャー試験の講評
◇はじめに
第29回試験が終わりました。受験された皆さまおつかれさまでした。お仕事と勉強を両立しながら受験された方、子育てや介護をしながら参考書と向き合ってきた方など、様々な方がいらっしゃると思います。まずはゆっくりお休みください。
そして頑張ってきた自分にどうぞご褒美を!(ちょっと贅沢な食事をする、温泉旅行をするなど)
それでは、今回の試験について分野別の講評をします。なお、この講評は合格予想点を出したり、来年の試験問題を予想したりするものではありません。今年の試験の内容の分析としてご参考にしていただければ幸いです。
なお本文中の(※)は、詳細や参考文献などを講評の最後に四角で囲って説明してあります。ぜひ、ご参考にしてください。
介護支援分野
全体的に解きやすく素直な良問が多かったと思います。毎年お馴染みの問題1と2の難問も、今回はありませんでした。問題2の選択肢1は、施設系にお勤めの方は✕にしてしまったかもしれません(居宅サービスが施設サービスよりも約3.6倍多いです(※1))。
今年もサービスを選ぶものや短い文章で正答を問うものが、昨年と同様に多く出題されました(問題1:社会保険、問題3:住所地特例、問題8:介護支援専門員の義務、問題10:第1号被保険者の保険料滞納への措置(※2)、問題11:包括的支援事業、問題13:介護保険審査会への審査請求、問題14:消滅時効、問題21:要介護認定等基準時間 等)。
問題16は、介護支援専門員として現場に出たらすぐに必要になる知識ですので得点してほしい問題でしたが、解けましたでしょうか…。選択肢の1は一見○に見えますが✕になります(※3)。問題20は、第26回試験問題22と同様に指定介護老人福祉施設の施設サービス計画が出ましたね。過去問(※4)を解いていた方は得点できたのではないでしょうか。
事例問題は、昨年より1問増え3問でした。簡単でしたね。スムーズに解けたことと思います。
保健医療サービス分野
今年も全体的に難問といえるものはなく、昨年よりもさらに基礎的で解きやすい問題が多かったように思います。明らかに✕なものを消していく消去法で、特に専門的な知識がなくても解答を導けるものが多くありました(問題29、問題30、問題31、問題34、問題36、問題38、問題39等)。
問題27の選択肢5は、きっちりと覚えていましたか(※5)?また、問題33の選択肢1も選べましたでしょうか(※6)。これは覚えていなくても消去法で解けましたね。
特徴的であったのは、問題35(在宅医療)、問題39(ケアチームの多職種連携)や問題40(ターミナルケア)などにおいて、現場にかかわっている方、かかわっていた方が解きやすい選択肢が目立ったことです。こういった選択肢は来年以降も出題してほしいですね。
事業者・施設の問題は、問題41(訪問看護)、問題42(居宅療養管理指導)、問題43(通所リハビリテーション)、問題44(定期巡回・随時対応型訪問介護看護)、問題45(介護老人保健施設)の5問でした。それぞれ人員基準、運営基準、サービスの特徴の理解を求められるものでした。解くのに迷って時間を取られたのではないでしょうか。
福祉サービス分野
例年どおり問題46~49がコミュニケーション技術やソーシャルワークなどについて、問題50~57が事業者・施設の問題(問題50~54:居宅サービス、問題55・56:地域密着型サービス、問題57:介護老人福祉施設)、問題58~60が関連諸制度(問題58:生活保護、問題59:後期高齢者医療制度、問題60:生活困窮者自立支援制度)となっていました。予想していなかった後期高齢者医療制度と生活困窮者自立支援制度が出題されて、苦戦した方が多かったのでは…。
問題50~57は、人員基準と運営基準をしっかりとおさえておかないと解けない選択肢が見受けられました。問題53(短期入所生活介護)の選択肢4は、基本テキスト(※7)には書かれていません。第26回試験問題53の選択肢3に「夕食時間は、午後5時以降が望ましい」とあり、正しくは「夕食時間は午後6時以降が望ましい」(※8)とされていますので、過去問を解いていた方は答えられたでしょう。
問題54(福祉用具)の選択肢4(自動排泄処理装置の交換可能部品)と5(移動用リフトのつり具の部分)については、福祉用具貸与ではなく、特定福祉用具販売の対象です。
おわりに
自己採点された方もされていない方も、合格発表日までは真の合否は分かりません。自信のある方は、介護支援専門員実務研修に備えケアマネジメントプロセスを再度勉強するのもよいでしょう。今年は厳しかったという方は、ひとまず少し休んで、また新たな決意でチャレンジをしていただきたいと思います。
最後に一言、『積み上げた知識は無駄にはなりません。介護支援専門員になったときに、きっと役に立ちます! 第29回試験おつかれさまでした!!』
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<講評中の(※)の説明や参考文献について> ※参考文献は全て中央法規出版刊行。 ※1… 厚生労働省ホームページ 参照。居宅サービス42949.5(千人)、施設サービス11794.9(千人)。居宅サービスは施設サービスの約3.6倍。 ※2… 2026年版『ワークブック』 P90図表「第1号被保険者の保険料滞納者に対する措置の流れ」にパッと見て分かりやすく書かれている。 ※3… 2026年版『ワークブック』 P150「居宅介護支援の運営基準」の表に掲載あり。正当な理由なくサービス提供を拒んではならないが、下記の①~③の理由があれば拒むことができる。 ①事業所の現員からは利用申込みに応じきれない場合、②利用申込者の居住地が事業所の通常の事業の実施地域外である場合、③利用申込者が他の居宅介護支援事業者にもあわせて居宅介護支援の依頼を行っていることが明らかな場合 →①により拒むことができるので、選択肢1は✕となる。 ※4… 2026年版『過去問解説集』 P147第26回問題22参照。 ※5…「2026年度ケアマネジャー試験 統一模擬試験(第2回)」P20問題28の選択肢1でバイタルサイン5つ(体温、脈拍、血圧、意識レベル、呼吸)が出題されている。 ※6…2026年版『合格問題集』保健医療サービス分野P135問題133の選択肢1参照。なお、EBMの欠点を補完するものとして、個々の人間の感じ方や考え方に耳を傾けて自己決定を促す医療(NBM;Narrative Based Medicine)も重要視されている。 ※8… 2026年版『過去問解説集』 P178問題53の選択肢3解説参照。また、より詳しい根拠を知りたい方は、 『令和8年度版 介護保険六法Ⅰ』 P1468(または通知「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」)に「食事時間は適切なものとし、夕食時間は午後六時以降とすることが望ましいが、早くても午後五時以降とすること」とある。 →問題53の選択肢4は✕となる。 |

竹内 太一(たけうち たいち)
医療法人社団 輝生会 在宅総合ケアセンター成城
居宅介護支援事業所 成城リハケア 介護支援専門員
1995年からソーシャルワーカーとして在宅福祉にかかわり、介護保険制度施行後はケアマネジャーとして相談業務、介護保険事業に携わる。
30年以上にわたり現場実践をつらぬく傍ら、ケアマネジャー試験対策を二足の草鞋(わらじ)として受験対策講師や執筆業に携わる。長年の出題研究をベースとした傾向と対策には定評がある。
○資格
社会福祉士、精神保健福祉士、主任介護支援専門員
○著書
・『ケアマネジャー試験 ワークブック2026』(分担執筆)中央法規出版
・『ケアマネジャー試験 合格問題集2026』(分担執筆)中央法規出版
・「2026年度 ケアマネジャー試験 統一模擬試験」(分担執筆)中央法規出版

