「できるだけ時間や労力をかけずに合格したい!」。これは全受験生に共通する願いでしょう。この連載では、指導した受験生を全員合格に導いた実績をもつ筆者が編み出した「効果的学習法」を紹介していきます。
第19回 脳に歓迎される情報に加工する
「脳は鍛えれば鍛えるほどタクマシクなる」という。年齢などは関係ない。むしろ、年齢を重ねているほど脳の使い方(考え方)が多様になる。この話題について詳細を知りたい人は、次の文献を参照されたい。
(1)『海馬』(池谷裕二&糸井重里著、新潮文庫)
(2)「脳のお話」(『経験を盗め』所収、糸井重里著、中央公論新社、P.46〜62)
(1)『海馬』(池谷裕二&糸井重里著、新潮文庫)
(2)「脳のお話」(『経験を盗め』所収、糸井重里著、中央公論新社、P.46〜62)
海馬に好かれる情報に加工する
人間にインプットされる情報は、すべて脳の中にある「海馬」という部分に送られる。海馬に送られた情報は、あるルールに従って大脳に送り込まれ、記憶として蓄えられる。つまり、情報は「海馬→大脳→記憶」というルートをたどる情報を効率よく記憶するためには、海馬に好かれるような情報に加工してインプットすればよいことになる。ではいったい、「海馬に好かれるような情報」とは、どのような情報なのだろうか。
例えば、「4598」のような「数字の羅列」は、基本的に海馬に嫌われる。ところが、「これは職場の電話番号です」となると、海馬に好かれて大脳に送信される。ただの数字の羅列であれば海馬に嫌われ、海馬から先に情報が進まない。しかし、そこに「意味」を持たせると、海馬に好かれて大脳に招かれる情報になる。
これが一つのポイントだ。
例えば、「4598」のような「数字の羅列」は、基本的に海馬に嫌われる。ところが、「これは職場の電話番号です」となると、海馬に好かれて大脳に送信される。ただの数字の羅列であれば海馬に嫌われ、海馬から先に情報が進まない。しかし、そこに「意味」を持たせると、海馬に好かれて大脳に招かれる情報になる。
これが一つのポイントだ。
情緒的・経験的な体験を伴わせる
さらに、情報に「情緒的・経験的な体験」を伴わせると定着率が上がる。ここでいう「情緒的・経験的な体験」とは、すべての情報を「体験せよ!」というわけではない。「情緒的に」体験できればよいのだ。
つまり「イメージ」することだ。目を閉じて(閉じなくてもよいが)、記憶したい情報を「親近感をもって」イメージする。例えば、日本の精神医学の草分けである呉秀三の有名な言葉で「この国に生まれたる不幸と...(以下略)」を海馬に好かれる情報として加工する場合、こうする。
「秀ちゃんはどんな格好をして出かけたのかな? 調査するにしてもお金がかかるし、それをやり通すってことこそ男のロマンだよな〜! そういう情熱的な男になりたいなぁ〜! それにしても、当時の精神障害者たちは、どんな生活をしていたのかな?」などとイメージしながら、彼の著した文献を見たりする。これだけで「情緒的な体験」になり、「脳が歓迎する情報」へと加工されるのだ。
ただの「暗記情報」と「情緒的・経験的な体験を伴う情報」とでは、大脳での定着度に違いが出る。前者は大脳に辿り着くまでに時間がかかるし、そもそも定着する情報ではない。後者は海馬が好む情報であり、大脳への定着も速い。
つまり「イメージ」することだ。目を閉じて(閉じなくてもよいが)、記憶したい情報を「親近感をもって」イメージする。例えば、日本の精神医学の草分けである呉秀三の有名な言葉で「この国に生まれたる不幸と...(以下略)」を海馬に好かれる情報として加工する場合、こうする。
「秀ちゃんはどんな格好をして出かけたのかな? 調査するにしてもお金がかかるし、それをやり通すってことこそ男のロマンだよな〜! そういう情熱的な男になりたいなぁ〜! それにしても、当時の精神障害者たちは、どんな生活をしていたのかな?」などとイメージしながら、彼の著した文献を見たりする。これだけで「情緒的な体験」になり、「脳が歓迎する情報」へと加工されるのだ。
ただの「暗記情報」と「情緒的・経験的な体験を伴う情報」とでは、大脳での定着度に違いが出る。前者は大脳に辿り着くまでに時間がかかるし、そもそも定着する情報ではない。後者は海馬が好む情報であり、大脳への定着も速い。
まとめ
海馬に好かれる情報に加工するには、インプットする情報に何らかの意味を持たせたり、情緒的・経験的な体験を伴わせてやればよい。脳に歓迎される情報を作り出そう。