いまやブームともいえるほど広まった「コーチング」。実は、自分ひとりでもできることを知っていましたか? 福祉の現場にも詳しい諏訪茂樹先生が、自分自身で受験勉強のモチベーションを高める「セルフコーチング」の方法を伝授します
第12回(最終回) 自分へのご褒美は?
アメとムチだけで人は動かない
コーチング以前から広く用いられてきたのが、やるべきことを教えて、やれば褒めて、やらなければ叱るという、アメとムチによる教育でした。そして、このような教育方法に科学的根拠を提供したのが、ネズミや猫を使った心理学の実験(オペラント条件付けの実験)でした。しかし、人間はネズミや猫ではありません。褒められないと何もしないとか、褒められさえすれば何でもするとか、そういう存在ではないのです。
人間の行動を動機づけの違いで見ると、外発的に動機づけられたものと内発的に動機づけられたものとに分けることができます。ご褒美ほしさの行動や罰を恐れての行動は前者であり、賞罰の有無に関係なく、やりたいからするのが後者です。やりたくないことをアメとムチによって強制されても、本当のやる気は沸かないでしょう。
自分でご褒美を用意する
外発的に動機づけられた行動よりも、内発的に動機づけられた行動の方が、強度と持続力において優れているのです。コーチングでは「どうしてそうしたいのか?」という質問に答えることで、目標達成の意義や価値を理解します。そうすることで内発的な動機づけを強めて、確実に行動しようとするのです。
そうすると、「やりたいからするのだ」「ご褒美なんていらない」「目標を達成すること自体が褒美なのだ」という状態が、動機づけの点では理想的です。しかし、それではなかなか意欲が沸かないということも、実際にはあるでしょう。そういう場合には、自分で自分にご褒美を用意して、やる気を引き出すのも一つの方法です。例えば、資格試験に合格したら「パソコンを買い換えよう」とか、「一週間の休暇を取ろう」などです。このように自分でご褒美を用意して走る方が、誰かにご褒美をちらつかされて走るよりも、よほど主体的なのです。
資格試験に合格したときの自分へのご褒美は何ですか? 資格そのものがご褒美ですか? それとも、さらに他のものを何か用意しますか?
そうすると、「やりたいからするのだ」「ご褒美なんていらない」「目標を達成すること自体が褒美なのだ」という状態が、動機づけの点では理想的です。しかし、それではなかなか意欲が沸かないということも、実際にはあるでしょう。そういう場合には、自分で自分にご褒美を用意して、やる気を引き出すのも一つの方法です。例えば、資格試験に合格したら「パソコンを買い換えよう」とか、「一週間の休暇を取ろう」などです。このように自分でご褒美を用意して走る方が、誰かにご褒美をちらつかされて走るよりも、よほど主体的なのです。
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