人間関係
遠くで暮らす親の介護をどう続ければいいでしょうか。
遠方で暮らす、両親のことで相談したいことがあるのですが…。
昨年末、両親は二人とも要介護1と認定されました。なんとか二人暮らしを続けていますが、なにかと私に連絡が来ます。私には兄がいるのですが、親からすると娘は気安い存在のようで、私にばかり電話をしてくる状態です。私もそのままにしておくわけにはいかないので、子連れで飛行機に乗り、実家まで通っています。
兄も実家から離れたところで所帯をもっているのですが、私ほど遠くはありませんし、電話で親のことを相談すると、なんだかんだ言って話題を変えてしまい、協力してくれません。
将来のことを考えると、家族で引っ越し、実家のそばで暮らすことも考えますが、経済的な不安も大きく、簡単に踏み切れません。それに、私ひとりで両親の介護を背負い込んでしまいそうで、兄や義姉のことを憎らしく思ってしまうかも…。
介護のソムリエさん、どうしたらいいでしょうか。よろしくお願いします。
昨年末、両親は二人とも要介護1と認定されました。なんとか二人暮らしを続けていますが、なにかと私に連絡が来ます。私には兄がいるのですが、親からすると娘は気安い存在のようで、私にばかり電話をしてくる状態です。私もそのままにしておくわけにはいかないので、子連れで飛行機に乗り、実家まで通っています。
兄も実家から離れたところで所帯をもっているのですが、私ほど遠くはありませんし、電話で親のことを相談すると、なんだかんだ言って話題を変えてしまい、協力してくれません。
将来のことを考えると、家族で引っ越し、実家のそばで暮らすことも考えますが、経済的な不安も大きく、簡単に踏み切れません。それに、私ひとりで両親の介護を背負い込んでしまいそうで、兄や義姉のことを憎らしく思ってしまうかも…。
介護のソムリエさん、どうしたらいいでしょうか。よろしくお願いします。
マールさん〈女性〉より
親の状況をきょうだいで共有してみることも、一つの手です。
ご相談ありがとうございます。介護のソムリエ、こゆきです。ご相談内容を拝見して、「これはあの人しかいない!」と思い当たった方がいます。それは現在、当ページでブログ連載中の、NPO法人パオッコ理事長太田差惠子さんです。
NPO法人パオッコは「離れて暮らす親のケアを考える会」という別名のとおり、遠距離介護をしている人、離れて暮らす親の老後が気になる人が集い、情報交換、親子それぞれが地域で安心して暮らせる社会づくりをめざす特定非営利活動法人です。
それでは、太田さん、よろしくお願いいたします。
マールさん、はじめまして。
NPO法人パオッコの太田です。
飛行機をつかっての通い、お疲れのことでしょう。そんなマールさんの存在は、ご両親にとっては、言葉にはされなくても大きな支えになっていると思います。
きょうだい間のこと、心中お察しいたします。親の介護をめぐって生じる心の温度差、ツライですね。
NPO法人パオッコは「離れて暮らす親のケアを考える会」という別名のとおり、遠距離介護をしている人、離れて暮らす親の老後が気になる人が集い、情報交換、親子それぞれが地域で安心して暮らせる社会づくりをめざす特定非営利活動法人です。
それでは、太田さん、よろしくお願いいたします。
マールさん、はじめまして。
NPO法人パオッコの太田です。
飛行機をつかっての通い、お疲れのことでしょう。そんなマールさんの存在は、ご両親にとっては、言葉にはされなくても大きな支えになっていると思います。
きょうだい間のこと、心中お察しいたします。親の介護をめぐって生じる心の温度差、ツライですね。
きょうだいとの協力がいちばん難しい
「子ども」と一言でくくっても、親に対して抱いている気持ちも、物理的にかかわれる時間やお金にも差があることが一般的です。
親の介護やケアに取り組むたくさんの子世代と出会ってきましたが、「きょうだいとの協力が、いちばん難しい」という声を幾度となく聞きました。
一生懸命、親をささえていこうとする子からみれば、「どうして、私だけなの?」と思うのは当然です。一方、かかわろうとしないきょうだいからすれば、「好きでやっているんだろ。それなら、黙ってやれよ。巻き込むなよ」と、なるのでしょう。
なかには、きょうだいでローテーションを組んで、ばっちり親の介護をしている人もいますが、どちらかというと、うまくいっていないケースのほうが多いのではないでしょうか。
「子ども」と一言でくくっても、親に対して抱いている気持ちも、物理的にかかわれる時間やお金にも差があることが一般的です。
親の介護やケアに取り組むたくさんの子世代と出会ってきましたが、「きょうだいとの協力が、いちばん難しい」という声を幾度となく聞きました。
一生懸命、親をささえていこうとする子からみれば、「どうして、私だけなの?」と思うのは当然です。一方、かかわろうとしないきょうだいからすれば、「好きでやっているんだろ。それなら、黙ってやれよ。巻き込むなよ」と、なるのでしょう。
なかには、きょうだいでローテーションを組んで、ばっちり親の介護をしている人もいますが、どちらかというと、うまくいっていないケースのほうが多いのではないでしょうか。
解決策は…
さて、こういった場合の解決策ですが。
残念ながら、妙案はないと思います。なぜなら、介護とかケアは無理強いしてもうまくいくものではないからです。
お兄さんたちは、そういう考え方なのです。
ひとつアイデアがあるとすれば、親の状況をきょうだい間で共有すること。「もっと、○○をやって」と言うのではなく、マールさんが親のところに行ったときの親の心身状況などを文章にして、お兄さんたちにメール送信するという作業をしてみてはどうでしょう。
書いてみることで、マールさん自身、親の心身の状態を冷静に観察できるようになると思います。以前、出会った女性は、「家族新聞」と題して、親の状況をきょうだいにファクス送信しておられました。
さて、こういった場合の解決策ですが。
残念ながら、妙案はないと思います。なぜなら、介護とかケアは無理強いしてもうまくいくものではないからです。
お兄さんたちは、そういう考え方なのです。
ひとつアイデアがあるとすれば、親の状況をきょうだい間で共有すること。「もっと、○○をやって」と言うのではなく、マールさんが親のところに行ったときの親の心身状況などを文章にして、お兄さんたちにメール送信するという作業をしてみてはどうでしょう。
書いてみることで、マールさん自身、親の心身の状態を冷静に観察できるようになると思います。以前、出会った女性は、「家族新聞」と題して、親の状況をきょうだいにファクス送信しておられました。
無理はしないで
冷静に親の状態を見つめたうえで、マールさんも無理をしすぎないようにしてください。できることもたくさんありますが、できないことだってたくさんあります。それは、仕方のないことだと思います。
情報の共有をして、それでもきょうだいの対応が変わらないなら、おっしゃるように「いないもの」と考えるのも一案だと思います。
「なんで、やってくれないの」と考え続けることは、大きなストレスになるからです。
それよりも、いろんなサービスを使って、やっていくのがいいのではないでしょうか。
冷静に親の状態を見つめたうえで、マールさんも無理をしすぎないようにしてください。できることもたくさんありますが、できないことだってたくさんあります。それは、仕方のないことだと思います。
情報の共有をして、それでもきょうだいの対応が変わらないなら、おっしゃるように「いないもの」と考えるのも一案だと思います。
「なんで、やってくれないの」と考え続けることは、大きなストレスになるからです。
それよりも、いろんなサービスを使って、やっていくのがいいのではないでしょうか。
いろいろな人の事例を参考に
私の主宰するNPO法人パオッコにも、似た悩みを抱える方は大勢いらっしゃいます。皆さん、「同じ、同じ!」と、仲間の存在にほっとされます。
先日出した新刊『故郷の親が老いたとき』にも、こういった事例を取り上げています。参考になることも多いと思います。
介護をめぐる人間関係。苦しいけれど、どこかで割り切るしかないのではないでしょうか。
私の主宰するNPO法人パオッコにも、似た悩みを抱える方は大勢いらっしゃいます。皆さん、「同じ、同じ!」と、仲間の存在にほっとされます。
先日出した新刊『故郷の親が老いたとき』にも、こういった事例を取り上げています。参考になることも多いと思います。
介護をめぐる人間関係。苦しいけれど、どこかで割り切るしかないのではないでしょうか。