1 介護保険制度の仕組み
サービスの利用限度
利用できるサービスには上限がある
介護保険制度では、「要介護」と「要支援」の違い及びその区分に応じて、利用できるサービスの量の上限が決められています。その範囲内であれば、基本的にサービスを自由に組み合わせて利用することができます。これを理解するには、まずサービスにかかる費用がどのように決められているのか、ということを説明しなければなりません。
サービスにかかる費用は、サービスの種類ごとに、その内容や要介護状態区分(もしくは要支援状態区分)によって決められています。たとえば、「訪問介護(ホームヘルプサービス)」の場合、入浴や食事などの介護を30分未満利用した際は「いくら」という具合です。
ただし、これは「金額」ではなく、「単位」で定められています。「訪問介護」で入浴や食事の介護を30分未満利用した場合は、「254単位(1回あたり)」です。これに、1単位の「単価」をかけて「金額」を出します。この「単価」は、地域とサービスによって、10円〜11.05円まで差があります。
サービスにかかる費用は、サービスの種類ごとに、その内容や要介護状態区分(もしくは要支援状態区分)によって決められています。たとえば、「訪問介護(ホームヘルプサービス)」の場合、入浴や食事などの介護を30分未満利用した際は「いくら」という具合です。
ただし、これは「金額」ではなく、「単位」で定められています。「訪問介護」で入浴や食事の介護を30分未満利用した場合は、「254単位(1回あたり)」です。これに、1単位の「単価」をかけて「金額」を出します。この「単価」は、地域とサービスによって、10円〜11.05円まで差があります。
単位があるのはなぜ?
なぜ、このような仕組みをとっているのでしょうか。介護は「人」によってまかなわれるサービスです。地域によって人件費などが異なるので、全国どこでも同じ料金というわけにはいきません。すると、たとえば北海道では「○○円」、東京では「△△円」と、サービスごとに決めなければなりませんが、それぞれ「金額」を明記していたのでは、大変です。一覧表にしたら、膨大な量になるでしょう。そのため、このような仕組みになっているのです。
利用できるサービス量の上限は、要介護度によって異なる
さて、肝心の「利用できるサービス量の上限」ですが、これは要介護(要支援)状態区分に応じて次の「単位」を上限としています(下表)。
要介護1 | 16,580単位/月 |
要介護2 | 19,480単位/月 |
要介護3 | 26,750単位/月 |
要介護4 | 30,600単位/月 |
要介護5 | 35,830単位/月 |
要支援1 | 4,970単位/月 |
要支援2 | 10,400単位/月 |
「訪問介護」で入浴や食事の介護を30分未満利用する場合は、1回あたり254単位ですから、極端にいえば、要介護5と認定された人では、1月に141回(35,830単位÷254単位=141.06…)、つまり4,230分(141回×30分)利用できるということです。
サービスは組み合わせて利用できる
サービスは、「利用できるサービスの上限」内におさまるのであれば、いくつかのサービスを組み合わせて利用することができます。たとえば、要介護1と認定された場合であれば、「訪問介護」による入浴や食事の介護30分未満(254単位/回)を月に20回、「訪問入浴介護」(1,250単位/回)を月に7回利用することができます。
訪問介護:254単位×20回=5,080単位
訪問入浴介護:1,250単位×7回=8,750単位 合計13,830単位
これを、「訪問介護」による入浴や食事の介護30分未満を月に10回、「訪問入浴介護」を月に11回とすることも可能です。
訪問介護:254単位×10回=2,540単位
訪問入浴介護:1,250単位×11回=13,750単位 合計16,290単位
このように、いくつかのサービスを組み合わせることができますが、その「組み合わせることのできるサービス」も決められています。それは次のとおりです。
訪問介護:254単位×20回=5,080単位
訪問入浴介護:1,250単位×7回=8,750単位 合計13,830単位
これを、「訪問介護」による入浴や食事の介護30分未満を月に10回、「訪問入浴介護」を月に11回とすることも可能です。
訪問介護:254単位×10回=2,540単位
訪問入浴介護:1,250単位×11回=13,750単位 合計16,290単位
このように、いくつかのサービスを組み合わせることができますが、その「組み合わせることのできるサービス」も決められています。それは次のとおりです。
「要介護」と認定された場合
訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、通所介護、通所リハビリテーション、短期入所生活介護、短期入所療養介護、福祉用具貸与、夜間対応型訪問介護、 認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護、 認知症対応型共同生活介護(短期利用に限ります)
訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、通所介護、通所リハビリテーション、短期入所生活介護、短期入所療養介護、福祉用具貸与、夜間対応型訪問介護、 認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護、 認知症対応型共同生活介護(短期利用に限ります)
「要支援」と認定された場合
介護予防訪問介護、介護予防訪問入浴介護、介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防通所介護、介護予防通所リハビリテーション、介護予防短期入所生活介護、介護予防短期入所療養介護、介護予防福祉用具貸与、介護予防認知症対応型通所介護、介護予防小規模多機能型居宅介護、介護予防認知症対応型共同生活介護(短期利用に限ります)
介護予防訪問介護、介護予防訪問入浴介護、介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防通所介護、介護予防通所リハビリテーション、介護予防短期入所生活介護、介護予防短期入所療養介護、介護予防福祉用具貸与、介護予防認知症対応型通所介護、介護予防小規模多機能型居宅介護、介護予防認知症対応型共同生活介護(短期利用に限ります)
単独で利用できるサービス
さて、「居宅療養管理指導」、「福祉用具購入費の支給」、「住宅改修費の支給」、「介護予防居宅療養管理指導」、「介護予防福祉用具購入費の支給」、「介護予防住宅改修費の支給」については、この「組み合わせることのできるサービス」には含まれていません。したがって、「組み合わせることのできるサービス」で仮に上限いっぱいまでサービスを利用していたとしても、これとは別に利用することができます。
ただし、「居宅療養管理指導」と「介護予防居宅療養管理指導」は利用回数に制限があります。「福祉用具購入費の支給」と「介護予防福祉用具購入費の支給」はあわせて10万円まで、「住宅改修費の支給」と「介護予防住宅改修費の支給」はあわせて20万円までと決められています(基本的には一生で20万円までですが、例外もあります。詳しくは「けあサポ'S EYE」の特集記事「介護保険で住宅改修!」をご覧ください。
なお、
・特定施設入居者生活介護(有料老人ホームなどで受けるサービス)
・介護福祉施設サービス(特別養護老人ホームで受けるサービス)
・介護保健施設サービス(介護老人保健施設で受けるサービス)
・介護療養施設サービス(介護療養型医療施設で受けるサービス)
・認知症対応型共同生活介護
・地域密着型特定施設入居者生活介護(定員が29人以下の有料老人ホームなどで受けるサービス)
・地域密着型老人福祉施設入所者生活介護(定員が29人以下の特別養護老人ホームで受けるサービス)
・介護予防特定施設入居者生活介護(有料老人ホームなどで受けるサービス)
・介護予防認知症対応型共同生活介護
については、ほかのサービスとあわせて利用することはできません。
また、要介護(要支援)状態区分ごとに利用料が決められています。
ただし、「居宅療養管理指導」と「介護予防居宅療養管理指導」は利用回数に制限があります。「福祉用具購入費の支給」と「介護予防福祉用具購入費の支給」はあわせて10万円まで、「住宅改修費の支給」と「介護予防住宅改修費の支給」はあわせて20万円までと決められています(基本的には一生で20万円までですが、例外もあります。詳しくは「けあサポ'S EYE」の特集記事「介護保険で住宅改修!」をご覧ください。
なお、
・特定施設入居者生活介護(有料老人ホームなどで受けるサービス)
・介護福祉施設サービス(特別養護老人ホームで受けるサービス)
・介護保健施設サービス(介護老人保健施設で受けるサービス)
・介護療養施設サービス(介護療養型医療施設で受けるサービス)
・認知症対応型共同生活介護
・地域密着型特定施設入居者生活介護(定員が29人以下の有料老人ホームなどで受けるサービス)
・地域密着型老人福祉施設入所者生活介護(定員が29人以下の特別養護老人ホームで受けるサービス)
・介護予防特定施設入居者生活介護(有料老人ホームなどで受けるサービス)
・介護予防認知症対応型共同生活介護
については、ほかのサービスとあわせて利用することはできません。
また、要介護(要支援)状態区分ごとに利用料が決められています。