主任介護支援専門員に要求されるスーパーバイザーとしての役割。その責務をどのように果たしていけばいいのか? 経験が浅くても無理なくできるスーパービジョンの方法を解説します。
第1回 スーパービジョンはさまざまな場面で実践できる
平成18年度の介護保険制度改正によって主任介護支援専門員が創設されました。その役割のひとつには、「他の介護支援専門員に対する助言・指導」が掲げられています。その手段として、研修などではスーパービジョンの時間が設けられていますが、悩んでいる人も多いようです。この連載では、主任介護支援専門員の方々がスーパービジョンを実践していくための手掛かりを提供することを意識して進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
私は現在、スーパーバイザーを名乗り、ケアマネジャーなど相談援助職にスーパービジョンを実践しています。しかし読者の皆さんなかに、スーパーバイザーに学んだ経験のある方は多くないのが現状でしょう。このようななか、主任介護支援専門員としてどのようにスーパービジョンを行えばいいのでしょうか? 実は、スーパーバイザーがいなくても、毎日の多くの場面でスーパービジョンは実践できるのです。初回はこうした場面について考えていきましょう。
私は現在、スーパーバイザーを名乗り、ケアマネジャーなど相談援助職にスーパービジョンを実践しています。しかし読者の皆さんなかに、スーパーバイザーに学んだ経験のある方は多くないのが現状でしょう。このようななか、主任介護支援専門員としてどのようにスーパービジョンを行えばいいのでしょうか? 実は、スーパーバイザーがいなくても、毎日の多くの場面でスーパービジョンは実践できるのです。初回はこうした場面について考えていきましょう。
スーパービジョンの機会意識する
まず、スーパ−ビジョンをどう定義するかが大事であると思います。すごい人がぐいぐい引っ張って指導してくれる─漠然とこんなイメージを持っている方も多いようです。そんなスーパーバイザーがいたとしても前述のように、出会える確率は低いのです。ですから、「特別な人にしかできないもの」という考えをまず捨てましょう。自分や仲間が、専門職である「介護支援専門員」として成長していくための方法ととらえなおして欲しいのです。こう定義すれば、同僚と自分の担当ケースに関してどういう支援をしたのか、そうしたのはなぜか、ということの報告の場面であっても、スーパービジョンの場とすることができます。
つまり、報告だけではなく、それが正にスーパービジョンの機会なのだという意識をもつということです。支援経過のなかから、例えば何を根拠にして判断したのかを考え、その判断がケアマネジャーの専門性から見て妥当だったかどうかを吟味する、他の支援方法があったとすればそれはどういうものかを検討し合う、といったことができます。
ここで大切なのは、実行した支援の評価よりも、その支援経過を振り返ることを通して他の場面でも活用できる力(アセスメント力・応用力・対応力など)をみつけていくことです。できたことも、できなかったこともその結果の背景にあるものを確認していくことが大事なのです。
つまり、報告だけではなく、それが正にスーパービジョンの機会なのだという意識をもつということです。支援経過のなかから、例えば何を根拠にして判断したのかを考え、その判断がケアマネジャーの専門性から見て妥当だったかどうかを吟味する、他の支援方法があったとすればそれはどういうものかを検討し合う、といったことができます。
ここで大切なのは、実行した支援の評価よりも、その支援経過を振り返ることを通して他の場面でも活用できる力(アセスメント力・応用力・対応力など)をみつけていくことです。できたことも、できなかったこともその結果の背景にあるものを確認していくことが大事なのです。
できるか、できないかは関係がない
「自分には肩書きに見合うだけの力がない」。このように自信をもてない地域包括支援センターや居宅介護支援事業所の主任介護支援専門員の方も少なくないでしょう。たしかにスーパーバイザーとして十全の役割を果たすには、まだまだ経験も勉強も足りないというケースがあるのも事実です。でも、こうした人であってもすぐに始められることがあります。それは、「基本的な部分に限って質問をする」ということです。援助職として当然押さえなければならない点に限って確認をしていくのです。居宅の事業所であれば、例えば事業所で作成しているマニュアルに添って、新人に質問していけば、それは立派なスーパービジョン(一人前にするための教育)となります。包括センターであれば、運営基準等の法令に則して確認していく方法があります。
どちらの場合も、必ず実施しなければいけないことを、その根拠を脇に置いて確認することが大事です。相手に必要なことを身につけてもらうことを目的とし、その必要性の根拠を両者の間の共通の土台とするのです。ですから自分がその時点でできるかどうかは関係ありません。こう考えれば、居宅の経験がない包括の主任ケアマネさんでも、居宅の方へのスーパービジョンができますよね。「指導をしなければいけない」と肩肘はらずに、当たり前のことを一緒に確認していくことから始めてみましょう。
どちらの場合も、必ず実施しなければいけないことを、その根拠を脇に置いて確認することが大事です。相手に必要なことを身につけてもらうことを目的とし、その必要性の根拠を両者の間の共通の土台とするのです。ですから自分がその時点でできるかどうかは関係ありません。こう考えれば、居宅の経験がない包括の主任ケアマネさんでも、居宅の方へのスーパービジョンができますよね。「指導をしなければいけない」と肩肘はらずに、当たり前のことを一緒に確認していくことから始めてみましょう。