平均の合格率が約20%と、介護・福祉の資格としては最難関のケアマネ試験。この高いハードルを突破した後には何が待ちかまえているのか──ケアマネジャーを目指す皆さんに向けて、具体的な業務内容から相談援助の魅力、そしてちょっと大変なところまで、現役ケアマネジャーが“ケアマネの仕事”をホンネで解説します。
第4回 ケアマネジャーの仕事(1)
今回は、ケアマネジャーの具体的な業務の内容についてお話ししたいと思います。もちろんケアマネジャーの職場や所属する法人、さらには各人の考え方などにより実際の業務内容はさまざまです。ここでは、居宅介護支援事業所における一般的な業務の流れについて、その主なものをご紹介します。
(1)契約
サービス(居宅介護支援)の提供前には他のサービス同様、利用者さんに対し重要事項を説明した後に書面による契約を行います。このとき、必要に応じて要介護認定申請の手続きを代行する場合もあります。
(2)課題分析(アセスメント)
それぞれの利用者さんが生活をするうえで解決をしないといけない課題(ニーズ)や、また現在もっている能力・意欲などを把握することが目的です。その方法は、ケアマネジャーの経験や勘に頼るのではなく、課題分析票(アセスメントシート)を用いるなどして、客観的・科学的に状況を調べます。調べる、とはいってもケアマネジャーから利用者さんに対して一方的に問いかけるのではなく、その課程で「そういえば、そんな風にできたらすばらしいなぁ」などと利用者さん自身も積極的に参加し、新たな発見や再確認ができるような内容であるべきです。
(3)居宅サービス計画(ケアプラン)の作成
課題分析で明かになった各ニーズについて、それぞれ目標設定をします。この目標は長期目標と短期目標にわかれ、利用者さんが見てもわかりやすい具体的な内容や数値であらわしたものとすると、後述のモニタリングでの「評価」がしやすくなります。ここでも課題分析と同様にケアマネジャーが一方的に目標を設定するのではなく、「そのくらいまでならいっちょうがんばってみようか」などと利用者さんがサービスを利用しているときにもその目標が常に意識でき、また絵にかいた餅とならず達成することが見込めるように設定することが重要です。
目標が決まれば、つぎに援助内容を検討します。援助内容とは、サービス内容、種類、サービス提供者、頻度、期間などのことであり、ケアマネジャーはこれらに関する情報を的確に利用者さんに提供し、最終的には利用者さんが選択し決定することはいうまでもありません。
またサービスについては、介護保険の給付対象となる、いわゆるフォーマルサービスだけではなく、市町村が実施する一般保健福祉サービスや、さらに家族、近隣の人、ボランティアといったインフォーマルなものも盛り込まれることになります。
(4)サービス担当者会議の開催
前項で作成した計画はあくまでも“原案”であり、これを実際にサービスを担当する各分野の専門家が集まり検討するのが、サービス担当者会議です。その際には、利用者さんや家族が話し合いに取り残されることのないよう、十分意見を反映してもらったうえで計画を確定します。
(5)モニタリング
モニタリングとは、サービス利用状況と利用者さんの生活状況についての見守り、目標の達成状況の評価などです。モニタリングの頻度は少なくとも月に1回、利用者さんの自宅を訪問し面接し、その結果を記録することが求められています。こうした定期的なモニタリングで、生活課題などに変化があった場合は、再度課題分析にもどり、(2)から(5)の課程をくりかえすことになります。
以上、少し長くなってしまいましたが、全体的な業務の流れをご紹介しました。次回はケアマネジャーのひと月、いち日の単位でどのように仕事を進めているのかということについてお話ししたいと思います。
(1)契約
サービス(居宅介護支援)の提供前には他のサービス同様、利用者さんに対し重要事項を説明した後に書面による契約を行います。このとき、必要に応じて要介護認定申請の手続きを代行する場合もあります。
(2)課題分析(アセスメント)
それぞれの利用者さんが生活をするうえで解決をしないといけない課題(ニーズ)や、また現在もっている能力・意欲などを把握することが目的です。その方法は、ケアマネジャーの経験や勘に頼るのではなく、課題分析票(アセスメントシート)を用いるなどして、客観的・科学的に状況を調べます。調べる、とはいってもケアマネジャーから利用者さんに対して一方的に問いかけるのではなく、その課程で「そういえば、そんな風にできたらすばらしいなぁ」などと利用者さん自身も積極的に参加し、新たな発見や再確認ができるような内容であるべきです。
(3)居宅サービス計画(ケアプラン)の作成
課題分析で明かになった各ニーズについて、それぞれ目標設定をします。この目標は長期目標と短期目標にわかれ、利用者さんが見てもわかりやすい具体的な内容や数値であらわしたものとすると、後述のモニタリングでの「評価」がしやすくなります。ここでも課題分析と同様にケアマネジャーが一方的に目標を設定するのではなく、「そのくらいまでならいっちょうがんばってみようか」などと利用者さんがサービスを利用しているときにもその目標が常に意識でき、また絵にかいた餅とならず達成することが見込めるように設定することが重要です。
目標が決まれば、つぎに援助内容を検討します。援助内容とは、サービス内容、種類、サービス提供者、頻度、期間などのことであり、ケアマネジャーはこれらに関する情報を的確に利用者さんに提供し、最終的には利用者さんが選択し決定することはいうまでもありません。
またサービスについては、介護保険の給付対象となる、いわゆるフォーマルサービスだけではなく、市町村が実施する一般保健福祉サービスや、さらに家族、近隣の人、ボランティアといったインフォーマルなものも盛り込まれることになります。
(4)サービス担当者会議の開催
前項で作成した計画はあくまでも“原案”であり、これを実際にサービスを担当する各分野の専門家が集まり検討するのが、サービス担当者会議です。その際には、利用者さんや家族が話し合いに取り残されることのないよう、十分意見を反映してもらったうえで計画を確定します。
(5)モニタリング
モニタリングとは、サービス利用状況と利用者さんの生活状況についての見守り、目標の達成状況の評価などです。モニタリングの頻度は少なくとも月に1回、利用者さんの自宅を訪問し面接し、その結果を記録することが求められています。こうした定期的なモニタリングで、生活課題などに変化があった場合は、再度課題分析にもどり、(2)から(5)の課程をくりかえすことになります。
以上、少し長くなってしまいましたが、全体的な業務の流れをご紹介しました。次回はケアマネジャーのひと月、いち日の単位でどのように仕事を進めているのかということについてお話ししたいと思います。