13万人を超える受験者の中から晴れて介護福祉士になった皆さんに、仕事をしながら勉強を続けるコツや効果的な勉強法、受験を仕事に活かす展望についてうかがいました。
第35回 荻原和幹さん
特養介護職員・ユニットリーダー
荻原さんが使った受験参考書等
介護福祉士国家試験予想問題集
ユーキャン
ユーキャン
介護福祉士受験暗記ブック2010
中央法規出版
中央法規出版
荻原さんの合格までの道のり
介護の仕事も何かの縁
人が職を選ぶきっかけには、実に様々なものがあります。学生時代に専門職を志して、その種の学校を選ぶ。一度は就職して働くことを知ってから、改めて自分に適した仕事を探し直す。子どもが成長して手が離れたので再び働いてみたい、等々。今回ご登場いただく荻原さんの場合は、転職でした。
それまでは、建設関係の営業職として働いていたのですが、実家の都合等で家に戻り、たまたま目にした新聞の案内記事に載っていた地域の介護教室の講習を受けたことから、こうした仕事も自分には向いているのではと、介護の世界に足を踏み入れることになったのだそうです。最初の職場はデイサービス。それも土曜日のみをフォローする形でしたが、産休欠員のフォローで1年間の勤務となってみて、本格的に介護の仕事をやっていこうと決意し、特養の入所部門に改めて介護職として勤めることとなりました。
デイサービスの1年も含めて3年間の実務経験を終えたところで、荻原さんは、この世界で働いていくならば、そこに求められている資格としての介護福祉士の資格はもっておくべきだとの信念で、資格要件を満たすとすぐに受験することにしたのでした。
それまでは、建設関係の営業職として働いていたのですが、実家の都合等で家に戻り、たまたま目にした新聞の案内記事に載っていた地域の介護教室の講習を受けたことから、こうした仕事も自分には向いているのではと、介護の世界に足を踏み入れることになったのだそうです。最初の職場はデイサービス。それも土曜日のみをフォローする形でしたが、産休欠員のフォローで1年間の勤務となってみて、本格的に介護の仕事をやっていこうと決意し、特養の入所部門に改めて介護職として勤めることとなりました。
デイサービスの1年も含めて3年間の実務経験を終えたところで、荻原さんは、この世界で働いていくならば、そこに求められている資格としての介護福祉士の資格はもっておくべきだとの信念で、資格要件を満たすとすぐに受験することにしたのでした。
受験勉強は出題スタイルに慣れることから
荻原さんは、以前に働きながら建設関係の国家資格をとったことがあるという経歴の持ち主です。ですから受験勉強の仕方というものを、自分なりに形作っていました。その試験勉強の仕方は、予想問題集を徹底して繰り返し解くというスタイルです。しかし、ただ満遍なく解くというのではなく、そこにはコツがあります。介護福祉士国家試験の出題スタイルは、ほとんどの場合「五肢択一」です。一つの問いかけに対して、五つの選択肢が設けられ、その内容に対して、「正しいものを一つ選べ」「誤っているものを一つ選べ」とか、「最も適切であるものを一つ選べ」「適当でないと思われるものを一つ選べ」といった形式です。それぞれの選択肢には何らかの捻りや、紛らわしい事項が盛り込まれていて、そこを認識していないと間違えやすいように仕組まれています。
つまり、正答としてはA=Bであっても、選択肢には「B´」や「≒B」といった内容が紛れ込ませてあります。そこで試験勉強の仕方として、単純にA=Bとだけ覚えてしまうと、試験当日の緊張感の中では、A=B´の選択肢があると、どちらだったろうかと迷うようになるのです。それが出題する側の意図で、記憶の確かさ、その事柄への熟知の度合いといったことをそこから引き出しているのです。
つまり、正答としてはA=Bであっても、選択肢には「B´」や「≒B」といった内容が紛れ込ませてあります。そこで試験勉強の仕方として、単純にA=Bとだけ覚えてしまうと、試験当日の緊張感の中では、A=B´の選択肢があると、どちらだったろうかと迷うようになるのです。それが出題する側の意図で、記憶の確かさ、その事柄への熟知の度合いといったことをそこから引き出しているのです。
ノートに書き出し、そのノートを覚える
荻原さんは、問題集を解くとき、選択肢の一つひとつに対して、誤っている場合でも、そのどの部分が誤りで、どういう解説であればその内容が正しいものになるのか、それをノートに書き出して覚えるという勉強の仕方をしていきました。これは短期間で知識を確かなものに仕上げていく早道かもしれません。ノートには、それぞれの問題で問われる要点や覚えなくてはならない人名や名称、年号といったことも書き留めます。そしてこのノートを、その後の学習の糧として読み返すといったことをしていくのです。
実のところ、荻原さんの受験勉強の開始は大変に遅かったのでした。社会福祉振興試験センターに受験の手続きをしたものの、仕事をしながらの勉強時間の捻出です。だらだらと取り組んでみても効果は上がらないだろうと、秋も深まっていく頃から、一気に追い込みました。「毎日欠かさず問題集を開き、休日は集中して10時間程度」は取り組みます(荻原さん)。そして前述のようにノートに書き出しては、このノートを覚えたのでした。
誰もが苦手とすることではありますが、荻原さんも「社会福祉概論」などの制度系の科目は、普段の業務で問われることのない事柄だけに、兎に角覚えていかないとなりません。老人福祉論などでは「介護保険法」が出題されることも多いのですが、施設に勤めていて、実際の日々の介護においては法の内容そのものを扱う機会は、そう多くはありません。知っておく必要は感じてはいても、実のところ、試験勉強などの機会がないと、そのこと自体を覚えることはしないものです。ですから、「試験勉強ではあっても、その勉強自体が日々の仕事を改めて捉えなおす機会になっていた」と荻原さん。
実のところ、荻原さんの受験勉強の開始は大変に遅かったのでした。社会福祉振興試験センターに受験の手続きをしたものの、仕事をしながらの勉強時間の捻出です。だらだらと取り組んでみても効果は上がらないだろうと、秋も深まっていく頃から、一気に追い込みました。「毎日欠かさず問題集を開き、休日は集中して10時間程度」は取り組みます(荻原さん)。そして前述のようにノートに書き出しては、このノートを覚えたのでした。
誰もが苦手とすることではありますが、荻原さんも「社会福祉概論」などの制度系の科目は、普段の業務で問われることのない事柄だけに、兎に角覚えていかないとなりません。老人福祉論などでは「介護保険法」が出題されることも多いのですが、施設に勤めていて、実際の日々の介護においては法の内容そのものを扱う機会は、そう多くはありません。知っておく必要は感じてはいても、実のところ、試験勉強などの機会がないと、そのこと自体を覚えることはしないものです。ですから、「試験勉強ではあっても、その勉強自体が日々の仕事を改めて捉えなおす機会になっていた」と荻原さん。
「受かるのだ」という強い信念を持って臨む
「いや、実質的な勉強時間を思い出してみると、1月半程度だったのでは?」と荻原さんは言いますが、そこには「やるからには絶対に資格を取るのだ」といった強い信念があったそうです。つまり「必死になって取り組んだ」ということでしょうか!
荻原さんの例は、誰もが参考にすることはできませんが、しかし受験勉強というものは、勉強の仕方と集中が大切であることは、多くの人の参考になるのでは。「仕事が忙しくて勉強時間が取れない」「覚えるのは大変」といった意識が先行していては、勉強する姿勢としてまず失格だと荻原さんは言います。
さて、そんな荻原さんでしたが、弱点がありました。それは実技試験です。筆記試験は、短期間の学習にも関わらずに成果があって、見事合格しました。そこで実技の試験ですが、これは日々の仕事でしていることだから、といった意識が災いし、要点をうまくまとめて実演することに失敗してしまいました。そのために不合格。盲点でした。
しかし、筆記試験で合格しているのですから、このままあきらめることはできません。次回に向けて、再度の挑戦を決意しました。今度は、実技で落としたくはありませんので、介護技術講習会を申し込み、そこでしっかりと免除の講習を受けました。そして筆記試験です。昨年受かっているのですから、今度筆記で落ちてしまっては面目が立ちません。やはり「絶対に合格してみせる」との決意のもと、昨年同様に繰り返して問題集を解き、さらに暗記ブックなどで知識をフォローしました。ですから、問題集に掲載されているのと同じ内容の出題があったなら、絶対に間違えないとまで自信をもって筆記試験に臨んだのでした。
余談ですが、荻原さんは「受験勉強そのものは苦にならない」と言います。勉強してみれば、その内容は仕事にも返ってきますし、そのことから得られる充実感は大切だとのこと。
荻原さんの例は、誰もが参考にすることはできませんが、しかし受験勉強というものは、勉強の仕方と集中が大切であることは、多くの人の参考になるのでは。「仕事が忙しくて勉強時間が取れない」「覚えるのは大変」といった意識が先行していては、勉強する姿勢としてまず失格だと荻原さんは言います。
さて、そんな荻原さんでしたが、弱点がありました。それは実技試験です。筆記試験は、短期間の学習にも関わらずに成果があって、見事合格しました。そこで実技の試験ですが、これは日々の仕事でしていることだから、といった意識が災いし、要点をうまくまとめて実演することに失敗してしまいました。そのために不合格。盲点でした。
しかし、筆記試験で合格しているのですから、このままあきらめることはできません。次回に向けて、再度の挑戦を決意しました。今度は、実技で落としたくはありませんので、介護技術講習会を申し込み、そこでしっかりと免除の講習を受けました。そして筆記試験です。昨年受かっているのですから、今度筆記で落ちてしまっては面目が立ちません。やはり「絶対に合格してみせる」との決意のもと、昨年同様に繰り返して問題集を解き、さらに暗記ブックなどで知識をフォローしました。ですから、問題集に掲載されているのと同じ内容の出題があったなら、絶対に間違えないとまで自信をもって筆記試験に臨んだのでした。
余談ですが、荻原さんは「受験勉強そのものは苦にならない」と言います。勉強してみれば、その内容は仕事にも返ってきますし、そのことから得られる充実感は大切だとのこと。
晴れて合格
翌年(22回)の出題内容は、連続しての試験ですので、出題する側も同じ内容の問題を問うことは控えたのかもしれません。昨年の出題とはかなり異なる内容が問われています。そして問題集には載っていない出題も多くあります。「絶対に落とさない」との思いで、まずは確実に解ける問題をどんどん解き進めました。そして改めてすぐには解けなかった問題に臨みます。荻原さんは何度も見直し、時間一杯を使って解答していない問題がないようにしました。それでも、これで落としたらとの意識が先行し、「その分、かえって1回目の受験のときより緊張しました」と荻原さん。
解答がこれで正しいのか、疑問に思う問題もいくつかありました。一応、合格水準は取れたのではとの感触はあったのですが、実際の発表を見ないと不安なものです。しかも実技試験を受けないので、発表は2か月も先のことになります。この待ち時間も辛いものがありました。しかし、それも杞憂。今回は確実に合格を手に入れたのでした。
解答がこれで正しいのか、疑問に思う問題もいくつかありました。一応、合格水準は取れたのではとの感触はあったのですが、実際の発表を見ないと不安なものです。しかも実技試験を受けないので、発表は2か月も先のことになります。この待ち時間も辛いものがありました。しかし、それも杞憂。今回は確実に合格を手に入れたのでした。
足裏についた米粒−受験に臨む姿勢の大切さ
荻原さんは、自分の仕事への姿勢を次のように語っています。それは以前に勤めていた先の上司の言葉なのですが、「資格というものは、足の裏についた米粒のようなものだ。歩くには取らないと歩けないが、取ったからと言ってそのまま食べることはできない」と。
その道で生きるには、そこで必要とされているものは獲得することが大切だ、だが獲得したからと言って、それだけで生きていくことはできない、といった教えです。荻原さんは、介護の職に就いた以上、そこで必要とされる資格として介護福祉士の資格をとることには意義のあるとして、信念をもって資格取得に臨んだのでした。そして資格をただの肩書に終わらせるのではなく、その資格を内実ともに高めることで、資格を取得したことに意義を与える努力を欠かさないようにしています。
荻原さんは、これから介護福祉士の資格を取ろうと考えている皆さんに、受験しようと思うならば、「まず大切なのは自分自身の意思ではないか」と言います。その意思が曖昧では、受験勉強もおざなりになって、なんだかんだと自分自身に言い訳をしてしまう。そして挫折。受験を志すならば、まずは自分の意思をしっかりと持って、その気持ちを高めていくことが大切ではと話してくれました。
荻原さんは、これから介護支援専門員の資格取得に臨みます。特養のユニットリーダーとして、より良いケアを提供していくためにきちんとした個別援助計画を作って実践すること。そのことの大切さを、荻原さんはリーダーとして噛みしめているのでした。
その道で生きるには、そこで必要とされているものは獲得することが大切だ、だが獲得したからと言って、それだけで生きていくことはできない、といった教えです。荻原さんは、介護の職に就いた以上、そこで必要とされる資格として介護福祉士の資格をとることには意義のあるとして、信念をもって資格取得に臨んだのでした。そして資格をただの肩書に終わらせるのではなく、その資格を内実ともに高めることで、資格を取得したことに意義を与える努力を欠かさないようにしています。
荻原さんは、これから介護福祉士の資格を取ろうと考えている皆さんに、受験しようと思うならば、「まず大切なのは自分自身の意思ではないか」と言います。その意思が曖昧では、受験勉強もおざなりになって、なんだかんだと自分自身に言い訳をしてしまう。そして挫折。受験を志すならば、まずは自分の意思をしっかりと持って、その気持ちを高めていくことが大切ではと話してくれました。
荻原さんは、これから介護支援専門員の資格取得に臨みます。特養のユニットリーダーとして、より良いケアを提供していくためにきちんとした個別援助計画を作って実践すること。そのことの大切さを、荻原さんはリーダーとして噛みしめているのでした。