13万人を超える受験者の中から晴れて介護福祉士になった皆さんに、仕事をしながら勉強を続けるコツや効果的な勉強法、受験を仕事に活かす展望についてうかがいました。
第33回 柏木香苗さん
特養介護職員
柏木さんが使った受験参考書等
介護福祉士受験ワークブック 上
中央法規出版
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介護福祉士受験ワークブック 下
中央法規出版
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見て覚える! 介護福祉士国試ナビ
中央法規出版
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速習 一問一答 介護福祉士国試対策
中央法規出版
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柏木さんの合格までの道のり
「介護の仕事は大変」といった印象からスタート
「学校を卒業後、一般職の事務職をしていたのですが、何かボランティアをやってみたいと思っていたんです。でもボランティアとして介護をしたいと思っていたわけではなかったんです」。そんなとき、介護の仕事をしてみないかと誘われて、1年ほど勤務の形となったことがきっかけとなり、いま介護の仕事に就いているというのは柏木香苗さん。
柏木さんは、結婚等で一旦は仕事を離れましたが、7年ほど経って家庭も落ち着き、再び仕事をしたいと思っていたところ、現在の職場から声をかけられて、以来、パートの立場ではあるのですが、日勤で特養の入所部門で介護職として働くようになりました。仕事を選ぶとき、1年間ではあっても介護の仕事をしたことが後押ししたようです。
でも、介護の仕事については、「初めてこの世界を知った10年前の時点では、大変だといった気持ちのほうが強かった」と言います。「職場の先輩の仕事ぶりを見ていて、この仕事への思いがないと続けられない」とも感じたそうです。いまは日勤帯だけのパートの立場で勤めていますが、自分にできる範囲で、この仕事を継続してやっていければと思えるようになってきたといいます。
柏木さんは、結婚等で一旦は仕事を離れましたが、7年ほど経って家庭も落ち着き、再び仕事をしたいと思っていたところ、現在の職場から声をかけられて、以来、パートの立場ではあるのですが、日勤で特養の入所部門で介護職として働くようになりました。仕事を選ぶとき、1年間ではあっても介護の仕事をしたことが後押ししたようです。
でも、介護の仕事については、「初めてこの世界を知った10年前の時点では、大変だといった気持ちのほうが強かった」と言います。「職場の先輩の仕事ぶりを見ていて、この仕事への思いがないと続けられない」とも感じたそうです。いまは日勤帯だけのパートの立場で勤めていますが、自分にできる範囲で、この仕事を継続してやっていければと思えるようになってきたといいます。
パート職員でも資格を取得するのが当たり前の職場環境
柏木さんが介護福祉士の資格を取ろうとしたきっかけの一つに、職場の環境があります。柏木さんが勤めている特養では、パート職員であっても、経験年数を満たした人たちが皆、資格を取っていて、柏木さんも経験年数を満たしたことから、資格取得を目指そうという気持ちになったことが大きかったようです。この特養では資格取得を積極的に推奨していて、内部の学習会の体制が整っているのだそうです。
「私の場合、職場の学習会が勉強の基礎ともなり、またペースメーカーともなっていた」と柏木さん。
そもそも、介護福祉士の資格に、試験科目が13科目もあるということすら知らなかったといいますから、受験のいろはから学ばないとなりません。広範な知識をどのように勉強したらよいのか、おそらく「独学で勉強しようとしたら戸惑うばかりだった」のではないかと柏木さんは振り返っています。学習会に参加してみても、最初のうちは、ここでの学習と復習以外に、自分でどのように勉強をしたらよいのか、つかめずにいたくらいでした。
「私の場合、職場の学習会が勉強の基礎ともなり、またペースメーカーともなっていた」と柏木さん。
そもそも、介護福祉士の資格に、試験科目が13科目もあるということすら知らなかったといいますから、受験のいろはから学ばないとなりません。広範な知識をどのように勉強したらよいのか、おそらく「独学で勉強しようとしたら戸惑うばかりだった」のではないかと柏木さんは振り返っています。学習会に参加してみても、最初のうちは、ここでの学習と復習以外に、自分でどのように勉強をしたらよいのか、つかめずにいたくらいでした。
職場学習会で勉強のペースをつかむ
職場の学習会は、毎年6月からスタートします。講師には主に介護部長が当たり、専門分野はOT、栄養士、看護師が担当しています。6月から秋までは毎月2回。夕方6時から2〜3時間の設定で、10月からは週1回のペースとなるのだそうです。
参加者はその年によって異なるようですが、柏木さんが受講した年は10数名の仲間がいたと言います。このメンバーでお互いに励まし合いながらの勉強となっていったのだそうですが、仲間がいるということは、勉強の仕方の工夫やお互いの知識の確認などにつながって、とても有意義だったと振り返っています。
職場内の学習会なので、特に決まったテキストがあるわけではありません。講師を務める部長さんが、いろいろな資料等からコピーを取って配布し、それを皆で読み合わせながらの学習が主なスタイルでした。柏木さんは学校を卒業して以来、このような勉強をするといったことがなかったので、どのように知識を習得したらよいのか悩んだとも。しかし、まずは学習会での資料をしっかりと把握しようと、自宅に帰ってからは次の学習会までの間に、その資料を何度も読むようにしたと言います。
参加者はその年によって異なるようですが、柏木さんが受講した年は10数名の仲間がいたと言います。このメンバーでお互いに励まし合いながらの勉強となっていったのだそうですが、仲間がいるということは、勉強の仕方の工夫やお互いの知識の確認などにつながって、とても有意義だったと振り返っています。
職場内の学習会なので、特に決まったテキストがあるわけではありません。講師を務める部長さんが、いろいろな資料等からコピーを取って配布し、それを皆で読み合わせながらの学習が主なスタイルでした。柏木さんは学校を卒業して以来、このような勉強をするといったことがなかったので、どのように知識を習得したらよいのか悩んだとも。しかし、まずは学習会での資料をしっかりと把握しようと、自宅に帰ってからは次の学習会までの間に、その資料を何度も読むようにしたと言います。
自分自身の勉強の仕方を工夫する
学習会に参加している仲間の間では、「過去問題」を繰り返して勉強するのがよい、との話があったそうです。そこで本屋さんに出かけて、こうした問題集を見てみたのですが、とてもすぐに解けそうもありません。問題を解くだけの知識がまだ自分には備わっていないのだと自覚した柏木さんは、「まずは受験に必要な基本的な知識の全体を知って、それを身につけないことには、試験問題を解くなどできない」と思ったそうです。本屋さんの書棚を見ていると、様々な受験参考書が並んでいます。中でもそのときの自分に適した本だと感じた「受験ワークブック」と「試験のナビゲーション」と銘打っていた本を購入し、それで勉強をすることにしました。
さて、ここからは柏木さんならではの学習スタイルというか、勉強ということへのスタンスといったことが問われていきました。
柏木さんは、自分自身がそもそも「福祉の世界で必要とされる言葉を知らない」、ということが根本の問題だと自覚しました。そこでどういった言葉があるのかを知り、その言葉の意味や内容を覚えることが大切だと感じたのでした。そのためにワークブックの勉強では、言葉を知り覚えることを目標としました。何度も繰り返して読み込み、書き出して覚えました。3〜4回は繰り返したと柏木さん。
もう1冊の国家試験のナビゲーションの本では、試験で問われる知識についての体系だった捉え方を知って、ワークブックで得た知識を補強することができました。
このように書くと随分と本格的に勉強しているように思われるかもしれませんが、1度読んで覚えたはずの知識でも、子どもの頃とは違って、数か月もするともう忘れてしまっていて、なかなか身につくものではなかったと柏木さん。
さて、ここからは柏木さんならではの学習スタイルというか、勉強ということへのスタンスといったことが問われていきました。
柏木さんは、自分自身がそもそも「福祉の世界で必要とされる言葉を知らない」、ということが根本の問題だと自覚しました。そこでどういった言葉があるのかを知り、その言葉の意味や内容を覚えることが大切だと感じたのでした。そのためにワークブックの勉強では、言葉を知り覚えることを目標としました。何度も繰り返して読み込み、書き出して覚えました。3〜4回は繰り返したと柏木さん。
もう1冊の国家試験のナビゲーションの本では、試験で問われる知識についての体系だった捉え方を知って、ワークブックで得た知識を補強することができました。
このように書くと随分と本格的に勉強しているように思われるかもしれませんが、1度読んで覚えたはずの知識でも、子どもの頃とは違って、数か月もするともう忘れてしまっていて、なかなか身につくものではなかったと柏木さん。
柏木さんの勉強のペース
6月頃は、学習会以外の勉強といっても、毎日はとてもできませんでしたし、また知識を習得すること自体が大変なことだといったことも、実感としてわかっていなかったようです。
8月には介護技術講習会を受講しました。これで実技試験が免除となったので、とにかく筆記試験に向けて勉強していこうと、気持ちが真剣に上向いたのは10月に入ってからでした。
一方、12月からは学習会で模試が行われるようになりました。これまで学んできたことを振り返って、どれだけ知識が身についたのか、自分の実力を図ってみようというものです。柏木さんは模試を受けてみて愕然としました。これまでワークブックなどで読み込んできたはずの事柄でも、試験問題として問われてみると、その知識が曖昧であることに気がついたのです。
模試は一度だけではなく、その後も数回行われました。そこで、得点のとれている科目と不十分な科目とがわかってきて、以降はできていない科目を中心にして、ワークブックでその部分を徹底して詰め込むようにしました。この頃から、自宅での勉強時間もほぼ毎日となり、2時間程度はやっていたと柏木さん。また休日は4〜5時間ぐらいかけた日もあったそうです。
柏木さんは、さらに知識を補強するため、「一問一答」といった本を新たに購入して、短期間で習得できる知識をそれで補足するようにしました。
これだけ勉強してくると、試験は絶対に落としたくないといった気持ちになってくるものです。ささいなことでミスを犯して落第しては悔いが残ります。国家試験のナビゲーションの本には、問題を解くときの1問あたりの時間配分といったことも指南されていましたので、自分の解答のペースなども図って、どのくらいの時間の余裕があるのかも事前に確認してみました。それによって本番の試験で読み直す時間があるかもわかります。またどの科目でどのような得点ができていればよいのかといった知識も書かれていましたので、こうした指南を参考にしたといいます。
8月には介護技術講習会を受講しました。これで実技試験が免除となったので、とにかく筆記試験に向けて勉強していこうと、気持ちが真剣に上向いたのは10月に入ってからでした。
一方、12月からは学習会で模試が行われるようになりました。これまで学んできたことを振り返って、どれだけ知識が身についたのか、自分の実力を図ってみようというものです。柏木さんは模試を受けてみて愕然としました。これまでワークブックなどで読み込んできたはずの事柄でも、試験問題として問われてみると、その知識が曖昧であることに気がついたのです。
模試は一度だけではなく、その後も数回行われました。そこで、得点のとれている科目と不十分な科目とがわかってきて、以降はできていない科目を中心にして、ワークブックでその部分を徹底して詰め込むようにしました。この頃から、自宅での勉強時間もほぼ毎日となり、2時間程度はやっていたと柏木さん。また休日は4〜5時間ぐらいかけた日もあったそうです。
柏木さんは、さらに知識を補強するため、「一問一答」といった本を新たに購入して、短期間で習得できる知識をそれで補足するようにしました。
これだけ勉強してくると、試験は絶対に落としたくないといった気持ちになってくるものです。ささいなことでミスを犯して落第しては悔いが残ります。国家試験のナビゲーションの本には、問題を解くときの1問あたりの時間配分といったことも指南されていましたので、自分の解答のペースなども図って、どのくらいの時間の余裕があるのかも事前に確認してみました。それによって本番の試験で読み直す時間があるかもわかります。またどの科目でどのような得点ができていればよいのかといった知識も書かれていましたので、こうした指南を参考にしたといいます。
勉強の仕上げは過去問題集で
1月になって、受験勉強の最後として、それまでワークブックを中心にして取り組んできた勉強法でしたが、柏木さんは過去問題集を購入して一通り解いてみました。基本的な事柄を理解するというこれまでの勉強スタイルが成果が得られたと実感した瞬間でした。
あとは、試験当日に焦ったりしないこと、体調管理をしっかりと行うことに専念しました。特に寝不足になったりすると風邪を引きやすくなります。追い込みで夜更かしして勉強する人もいるようですが、柏木さんは試験前の1週間は体調を整えることにしたのです。
試験会場の下見は特に行わなかったそうです。というのは、会場は何度も近くを通って知っていましたし、また駅から近く、当日は多くの受験者が歩いているから、その人たちについていけば迷うことはないと、先に資格を取得していた職員からも聞いていました。それでも何か突発事故が起こらないとは限りません。当日は1時間の余裕をもって出かけたそうです。
会場では上がらないように、まずは焦らずに試験問題をしっかりと丁寧に読むようにしました。そうすることで気持ちも落ち着いてきます。そして「これが特別の日なのだ」と思い込むと、かえって緊張してしまうので、普段の自分のままでいようと、周囲の受験者をあまり気にかけないように努めました。
問題は繰り返し読み返す時間がありました。これは先に過去問題を解いてみたときの想定どおりでした。解答欄を誤っていないか、それも点検したそうです。
この年の問題は比較的に難度が高い出題でした。多少自信が揺らいだ柏木さんでしたが、一緒に受験した仲間も同じ意見でした。しかし合格の可否は、実際の発表を見てみないとわかりません。発表は3月末。それまで待つのは辛いものがあったそうです。
あとは、試験当日に焦ったりしないこと、体調管理をしっかりと行うことに専念しました。特に寝不足になったりすると風邪を引きやすくなります。追い込みで夜更かしして勉強する人もいるようですが、柏木さんは試験前の1週間は体調を整えることにしたのです。
試験会場の下見は特に行わなかったそうです。というのは、会場は何度も近くを通って知っていましたし、また駅から近く、当日は多くの受験者が歩いているから、その人たちについていけば迷うことはないと、先に資格を取得していた職員からも聞いていました。それでも何か突発事故が起こらないとは限りません。当日は1時間の余裕をもって出かけたそうです。
会場では上がらないように、まずは焦らずに試験問題をしっかりと丁寧に読むようにしました。そうすることで気持ちも落ち着いてきます。そして「これが特別の日なのだ」と思い込むと、かえって緊張してしまうので、普段の自分のままでいようと、周囲の受験者をあまり気にかけないように努めました。
問題は繰り返し読み返す時間がありました。これは先に過去問題を解いてみたときの想定どおりでした。解答欄を誤っていないか、それも点検したそうです。
この年の問題は比較的に難度が高い出題でした。多少自信が揺らいだ柏木さんでしたが、一緒に受験した仲間も同じ意見でした。しかし合格の可否は、実際の発表を見てみないとわかりません。発表は3月末。それまで待つのは辛いものがあったそうです。
受験勉強が仕事への眼を変えた
さて、自分の受験勉強を振り返ってみて、「勉強を通して知識を得ていくごとに、仕事の見方が変わっていく自分があった」と柏木さん。単に資格という肩書きを得るための勉強ではなく、それによって仕事自体に臨む姿勢が変わり、利用者への対応も変わっていくことが実感できた、そんな受験勉強であったのです。受験勉強とはいいますが、それは仕事に対する勉強でもあったのです。
柏木さんは「本を読むことが好きなので、参考書を読み込んでいくことは苦にならない」そうです。しかし、読んだ知識を自分のものとして身に着けていくといったことは、受験といったことでもないと、なかなか経験しないことです。今回の受験という経験は、「何事かに目標をもって人生を歩んでいくことの大切さを教わったように感じている」とのこと。今後、新たな資格を目指すということはいまは考えていないそうですが、目標をもった生き方は続けていきたいと柏木さん。受験をしたということが、人生のあり方を考えるきっかけになったようです。
柏木さんは「本を読むことが好きなので、参考書を読み込んでいくことは苦にならない」そうです。しかし、読んだ知識を自分のものとして身に着けていくといったことは、受験といったことでもないと、なかなか経験しないことです。今回の受験という経験は、「何事かに目標をもって人生を歩んでいくことの大切さを教わったように感じている」とのこと。今後、新たな資格を目指すということはいまは考えていないそうですが、目標をもった生き方は続けていきたいと柏木さん。受験をしたということが、人生のあり方を考えるきっかけになったようです。
柏木さんからのアドバイス
柏木さんは、これから受験に臨む人たちには、自分に合った勉強法を見つけることが最も大切だと言いたいとのこと。初めは朝早く起きて勉強時間をつくろうと考えていたのだそうですが、普段が夜型なので、とてもできなかったと言います。
「自分というものを知って、自分に合った勉強法を探してほしいと思います。私は過去問題を解くよりも、知識をしっかりとさせたいといった思いが強かったのでワークブックを徹底して勉強したのですが、過去問題集だけでやるという人もいるようです。そこはその人なりの工夫であって、さまざまなやり方があると思う」と柏木さん。
また、柏木さんが住んでいる地域では受験のための民間の学習会などは行われていません。都市部などではこうした機会も多いようですが、「自分が都会に住んでいたなら、こうした学習の機会も利用したと思う」とのこと。多くの情報をつかんでおくことも、受験に役に立つのではとのアドバイスをもらいました。
「自分というものを知って、自分に合った勉強法を探してほしいと思います。私は過去問題を解くよりも、知識をしっかりとさせたいといった思いが強かったのでワークブックを徹底して勉強したのですが、過去問題集だけでやるという人もいるようです。そこはその人なりの工夫であって、さまざまなやり方があると思う」と柏木さん。
また、柏木さんが住んでいる地域では受験のための民間の学習会などは行われていません。都市部などではこうした機会も多いようですが、「自分が都会に住んでいたなら、こうした学習の機会も利用したと思う」とのこと。多くの情報をつかんでおくことも、受験に役に立つのではとのアドバイスをもらいました。