13万人を超える受験者の中から晴れて介護福祉士になった皆さんに、仕事をしながら勉強を続けるコツや効果的な勉強法、受験を仕事に活かす展望についてうかがいました。
第32回 高岡初江さん
デイサービス介護職員
高岡さんが使った参考書
介護福祉士国家試験過去問解説集
中央法規出版
中央法規出版
介護福祉士受験ワークブック 上
中央法規出版
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介護福祉士受験ワークブック 下
中央法規出版
中央法規出版
高岡さんの合格までの道のり
2度目の挑戦で合格に
「実は、20回試験を受験したんですが、それほど真剣に試験勉強に取り組んだわけではなかったので、落ちてしまったんです。でも受験をしてみると、やはり資格をもっているほうがよいと思えるようになって、改めて受けてみようと思うようになったんです」というのは、デイサービスの事業所に勤める高岡初江さん。「受けてみると、全く駄目だったわけではなく、かなりの科目では合格ラインに達していることも、また逆に、自分が勉強できていない科目や内容なども受験したことで分かって、そこをフォローする勉強をすれば、合格できるかもしれないと思えたんです。」
こうして志も固まったのですが、試験勉強となるとなかなか身が入るものではありません。高岡さんが本格的に勉強を開始したのは、再度試験センターに受験願書を送って後の秋になってから。「年のことを考えると、若いときのように覚えるということはできないし、かと言って早くから勉強していればそれなりに効果はあるとは思ってはいたんですが、どうも自分にはできないので」と、短期決戦型の勉強で臨もうと高岡さんは自分の勉強法を模索したのでした。
こうして志も固まったのですが、試験勉強となるとなかなか身が入るものではありません。高岡さんが本格的に勉強を開始したのは、再度試験センターに受験願書を送って後の秋になってから。「年のことを考えると、若いときのように覚えるということはできないし、かと言って早くから勉強していればそれなりに効果はあるとは思ってはいたんですが、どうも自分にはできないので」と、短期決戦型の勉強で臨もうと高岡さんは自分の勉強法を模索したのでした。
介護の仕事が天職と感じて
高岡さんが介護の仕事に就いたのは、子どもたちも育ち、何か仕事をしたいと探していて、たまたまボランティアで施設の介護に関わることになったことがきっかけでした。2年ほど施設にお世話になったのですが、介護の仕事が楽しくて、「これこそ自分の天職」だと思えるようになったと言います。
その後、一時、家の都合で他の仕事をしていたのですが、その仕事も片付き、自分の人生といったことを振り返る年になって、やはり介護の仕事をしたいと、現在のデイサービスの職場に勤めることとなったのでした。
以来4年。様々なお年寄りとの触れ合いは楽しく、利用者には認知症を患う方も多いのですが、その方たちからは料理の話題などで教わることが多く、お年よりから教わる事柄は自分の生活の足しにもなるとのこと。伝統や経験に基づく知恵といったものは、多くの方が生活の中で培って、しっかりとした記憶として留めていることが多いようで、介護者の立場ではあっても、そこに学びの要素があるようです。
その後、一時、家の都合で他の仕事をしていたのですが、その仕事も片付き、自分の人生といったことを振り返る年になって、やはり介護の仕事をしたいと、現在のデイサービスの職場に勤めることとなったのでした。
以来4年。様々なお年寄りとの触れ合いは楽しく、利用者には認知症を患う方も多いのですが、その方たちからは料理の話題などで教わることが多く、お年よりから教わる事柄は自分の生活の足しにもなるとのこと。伝統や経験に基づく知恵といったものは、多くの方が生活の中で培って、しっかりとした記憶として留めていることが多いようで、介護者の立場ではあっても、そこに学びの要素があるようです。
高岡さん、介護福祉士資格を目指す
高岡さんが、介護福祉士資格を取得しようと思ったのは、この仕事を続けていくことになるなら、資格があったほうがよいかな、といった軽い気持ちでした。ですから初回の受験では参考書は購入したものの、パラパラとめくる程度で、勉強しないといけないと思ったのも11月に入ってからだったそうです。
学生時代は遠い過去になってしまい、勉強するといっても、「どのように勉強したらよいのか、それが分からなかった」と言います。書店に出かけていろいろな参考書を手に取ってはみたのですが、基礎から勉強しないとならないものから、短期に要点だけ覚えておこうといったものまで、実に様々な参考書が出ています。基礎から学ぶとなると、それなりの勉強法を工夫しないと購入しても役立てられないで終わってしまいそうです。あれこれ迷ったものの、時間もないので、兎に角、まずは実際の試験で戸惑わないように、どのような問題がどのような形で出題されるのかを知っておく必要があるだろうと、国家試験の過去問題集を購入したのでした。
過去問題集は5年分の問題が掲載されており、兎に角、受験の日までには一通りは眼を通してみたのでした。ですが、それだけで力がつくことはありませんでした。試験が終わって帰宅してから、自分でインターネットの解答速報で点検してみたそうです。すると午前の科目で参考書にあったような合格ラインには到底及ばないものがあることが分かりました。高岡さんは、実技試験が免除になる介護技術講習会を受けてはいませんでしたので、2次試験の案内がないことで不合格が決まりました。
学生時代は遠い過去になってしまい、勉強するといっても、「どのように勉強したらよいのか、それが分からなかった」と言います。書店に出かけていろいろな参考書を手に取ってはみたのですが、基礎から勉強しないとならないものから、短期に要点だけ覚えておこうといったものまで、実に様々な参考書が出ています。基礎から学ぶとなると、それなりの勉強法を工夫しないと購入しても役立てられないで終わってしまいそうです。あれこれ迷ったものの、時間もないので、兎に角、まずは実際の試験で戸惑わないように、どのような問題がどのような形で出題されるのかを知っておく必要があるだろうと、国家試験の過去問題集を購入したのでした。
過去問題集は5年分の問題が掲載されており、兎に角、受験の日までには一通りは眼を通してみたのでした。ですが、それだけで力がつくことはありませんでした。試験が終わって帰宅してから、自分でインターネットの解答速報で点検してみたそうです。すると午前の科目で参考書にあったような合格ラインには到底及ばないものがあることが分かりました。高岡さんは、実技試験が免除になる介護技術講習会を受けてはいませんでしたので、2次試験の案内がないことで不合格が決まりました。
できない科目に集中すれば合格?
再度の受験をしようかどうか、実は高岡さんは迷ったそうです。もう若いときのように覚えることが難しくなってきていて、受験勉強はなかなか大変です。すべての科目を満遍なく勉強し直すとなると、それはどう考えても難しく思えます。しかし、自分で採点してみて、できなかったのは「社会福祉概論」「老人福祉論」「障害者福祉論」「精神保健」の4科目でだけであり、他の科目はほぼ合格ラインを超えていました。それならば、この4科目を集中的に勉強すれば合格できるのではないかと思え、翌年の再受験を決心したのでした。
さて、年度は変わりましたが、受験勉強となるとなかなか計画的に進めることはできません。そうこうしているうちに夏になって、試験センターに申請してからやっと、以前に合格した同僚などの体験談などを聞いて、過去問題を徹底して解くことが一番の近道であると思えるようになりました。そこで、今度は最新の過去3年分程度の問題が載っている問題集を購入し、それを繰り返し解くことにしました。もちろん特に得点の悪かった4科目を徹底して何度も繰り返すことにしたのです。
勉強時間は、平日は1時間程度を帰宅後に。休日は3時間程度を当てました。「書き出して覚えるとよい」と、以前に合格した人から勉強法として聞いてはいたのですが、やってみると長続きしません。しかし、声に出して読むというやり方をやってみたところ、体で覚えるというか、それが自分に合っていると思え、実際のところ「効果があったと思う」と言います。
苦手科目以外では、「医学一般」や「リハビリテーション論」などは、勤め先が介護職の研修機関でもあるため、さまざまな講師の方が来ていろいろな研修を行っているので、職場の研修でかなりの力が身についていて、それが受験勉強を楽にしてくれていました。もちろん、介護技術系の科目も同様です。それもあって、不得意である4科目に集中することにしたのでした。
さて、年度は変わりましたが、受験勉強となるとなかなか計画的に進めることはできません。そうこうしているうちに夏になって、試験センターに申請してからやっと、以前に合格した同僚などの体験談などを聞いて、過去問題を徹底して解くことが一番の近道であると思えるようになりました。そこで、今度は最新の過去3年分程度の問題が載っている問題集を購入し、それを繰り返し解くことにしました。もちろん特に得点の悪かった4科目を徹底して何度も繰り返すことにしたのです。
勉強時間は、平日は1時間程度を帰宅後に。休日は3時間程度を当てました。「書き出して覚えるとよい」と、以前に合格した人から勉強法として聞いてはいたのですが、やってみると長続きしません。しかし、声に出して読むというやり方をやってみたところ、体で覚えるというか、それが自分に合っていると思え、実際のところ「効果があったと思う」と言います。
苦手科目以外では、「医学一般」や「リハビリテーション論」などは、勤め先が介護職の研修機関でもあるため、さまざまな講師の方が来ていろいろな研修を行っているので、職場の研修でかなりの力が身についていて、それが受験勉強を楽にしてくれていました。もちろん、介護技術系の科目も同様です。それもあって、不得意である4科目に集中することにしたのでした。
短期集中が自分に合っている
高岡さんが、特に集中して勉強したのは、直前対策とも言える年末年始休暇のときでした。この間は平年なら年末の年中行事の支度に追われるところですが、家族にも協力してもらって6日間、問題集にかかりっきりになって解きました。「1日平均12時間はやった」といいます。「自分は、切羽詰らないとできないところがあり、また短期集中のほうが効果が上がるタイプのよう」だと高岡さん。この6日間で自信がついたのでした。
民間の受験講習会などがあることは知ってはいたそうですが、お金もかかることですし、過去問題集をやると決めた以上、「あれこれと迷わないことが良い」だろうと、それだけに専念しました。
ただ、問題集以外に、人名の覚え方や年号の覚え方も載っている参考書は利用しました。確実に覚えたとは言えなかったのですが、解答をスムーズに運ぶには、やはり一定の事柄は記憶しておいたほうが良いと思え、問題集で出てくる人物や事項の年号など、一定の成果はあったと言います。
問題集は何度も繰り返して問題を解いていると、捻っての出題や、ひっかけといった出題があることも分かるようになってきました。その問題集には解説も載っていて、解き方の指導なども出ているので、それが参考になったそうです。
民間の受験講習会などがあることは知ってはいたそうですが、お金もかかることですし、過去問題集をやると決めた以上、「あれこれと迷わないことが良い」だろうと、それだけに専念しました。
ただ、問題集以外に、人名の覚え方や年号の覚え方も載っている参考書は利用しました。確実に覚えたとは言えなかったのですが、解答をスムーズに運ぶには、やはり一定の事柄は記憶しておいたほうが良いと思え、問題集で出てくる人物や事項の年号など、一定の成果はあったと言います。
問題集は何度も繰り返して問題を解いていると、捻っての出題や、ひっかけといった出題があることも分かるようになってきました。その問題集には解説も載っていて、解き方の指導なども出ているので、それが参考になったそうです。
実技試験は、体で覚えないと
高岡さんは、直前対策の勉強で自信を高め、その勢いで2回目の筆記試験に臨むことができました。そして前年同様に、インターネットの解答速報で確かめてみましたが、今度はかなりの得点が取れていたので、まずは合格できるだろうと思ったそうですが、しっかりと2次試験の案内が届きました。
高岡さんは、前回同様に、介護技術講習会は申し込んでいませんでした。実は、実技試験はそれほど難しいものだとは考えておらずに、普段仕事で行っていることを、ポイントをつかんで外さないように展開すれば、合格できると思っていたからでした。過去問題集には、実技試験の問題も掲載されているので、それでどのような出題がなされるのかは、理解していました。それでも、頭の中だけで実技を展開していても駄目で、体を動かしてやってみることが大切と思えたので、職場の仲間に手伝ってもらい、過去問題を数問、職場で実際にやってみました。試験は5分という限られた時間内で行うわけですが、やはり実際に試しておかないと、どの程度に事を進行していけばよいのか、わからないと思ったからでした。
高岡さんは、前回同様に、介護技術講習会は申し込んでいませんでした。実は、実技試験はそれほど難しいものだとは考えておらずに、普段仕事で行っていることを、ポイントをつかんで外さないように展開すれば、合格できると思っていたからでした。過去問題集には、実技試験の問題も掲載されているので、それでどのような出題がなされるのかは、理解していました。それでも、頭の中だけで実技を展開していても駄目で、体を動かしてやってみることが大切と思えたので、職場の仲間に手伝ってもらい、過去問題を数問、職場で実際にやってみました。試験は5分という限られた時間内で行うわけですが、やはり実際に試しておかないと、どの程度に事を進行していけばよいのか、わからないと思ったからでした。
待たされることが辛い実技試験
実技試験の試験会場では、控室に入ってから3時間近くも待たされました。第一次の控え室と、さらに試験直前の控え室と、2度に渡って待機させられるのですが、「この待ち時間が辛かった」と高岡さん。
試験本番では、出題された内容の全体をまず頭に入れて、順に取り掛かっていきます。最初は良かったのですが、やっているうちに次第に緊張が高まっていって、だんだんとどのように問題を解いていったのかが記憶から途切れていました。これは振り返ってみての想像ですが、恐らく普段の仕事において手順を踏まえて一つひとつやっていて身についていることだったので、記憶は定かではないものの、そうしたことが反映されるのでしょう。そのときの試験では、2つのポイントがありました。どちらも普段の介護でも自信をもってできている内容で、「自覚が無くても、そのように体が動いた」のかもしれないと高岡さん。
しかし、記憶に無いのはやはり不安で、落ちたのではないかと思い込んでいたところ、合格通知となったことで喜びは一段と大きかったそうです。
試験本番では、出題された内容の全体をまず頭に入れて、順に取り掛かっていきます。最初は良かったのですが、やっているうちに次第に緊張が高まっていって、だんだんとどのように問題を解いていったのかが記憶から途切れていました。これは振り返ってみての想像ですが、恐らく普段の仕事において手順を踏まえて一つひとつやっていて身についていることだったので、記憶は定かではないものの、そうしたことが反映されるのでしょう。そのときの試験では、2つのポイントがありました。どちらも普段の介護でも自信をもってできている内容で、「自覚が無くても、そのように体が動いた」のかもしれないと高岡さん。
しかし、記憶に無いのはやはり不安で、落ちたのではないかと思い込んでいたところ、合格通知となったことで喜びは一段と大きかったそうです。
過去問題集を繰り返し解く
高岡さんは、自分の勉強を振り返ってみて、これから介護福祉士の資格をとろうとされるならば、「自分に合った学習法をみつけること」が大切だと思うとのこと。働きながらの受験は、時間を取ることも困難となるので、ポイントを絞って効率よくやっていくことが大切だと考えているそうです。その後、いろいろな人に尋ねてみても、過去問題を解くという勉強スタイルが最もオーソドックスなのではないかとのこと。数多くの問題を解いてみることは、確実に合格に近づく早道だと思えるそうです。用語の覚え方、捻った出題といったことも、多くの問題を解くことによって、慣れで解決できるのでは。
高岡さんは、これから介護支援専門員資格をもってみたいとの思いもある一方、試験に改めて臨もうといった気構えがまだ整っていません。ケアマネジャーの試験は、介護福祉士の試験より細部が問われると聞きます。そこまで詰めて勉強ができるかといったことも課題です。介護支援専門員としての仕事に臨むのでなければ、資格があるからといって、職場の待遇が変わるわけでもありません。それでも再度、チャレンジしてみようと思うかもしれないと、自分の成長をどこかに期待したいとの思いもあるようでした。
高岡さんは、これから介護支援専門員資格をもってみたいとの思いもある一方、試験に改めて臨もうといった気構えがまだ整っていません。ケアマネジャーの試験は、介護福祉士の試験より細部が問われると聞きます。そこまで詰めて勉強ができるかといったことも課題です。介護支援専門員としての仕事に臨むのでなければ、資格があるからといって、職場の待遇が変わるわけでもありません。それでも再度、チャレンジしてみようと思うかもしれないと、自分の成長をどこかに期待したいとの思いもあるようでした。