13万人を超える受験者の中から晴れて介護福祉士になった皆さんに、仕事をしながら勉強を続けるコツや効果的な勉強法、受験を仕事に活かす展望についてうかがいました。
第31回 安永周平さん
特養介護職員
安永さんが使った参考書
2009介護福祉士国家試験過去問題集
介護福祉士国家試験模擬問題集
中央法規出版
中央法規出版
介護福祉士国家試験予想問題集
速習 一問一答 介護福祉士国家試験対策2008
中央法規出版
中央法規出版
安永さんの合格までの道のり
トップの意欲が質の向上に繋がる施設で
理想とする介護を目指して、職場のトップに意識と情熱があると、その職場の介護は大きく変わります。トップの要求に応えようとスタッフもいろいろと工夫を重ね、その中で次第に質が向上していくのです。あまりに大きな組織になってしまうと、こうした意識の伝達が困難になっていきますが、多くの介護事業は単位が小さいので意思が反映しやすいと言えます。しかしその分、トップの意識のあり様如何で、職場が変わってしまいやすいとも言えます。皆さんの職場のトップの意識はどうですか? 特に、認知症を患う人の介護では多くのケアノウハウを要求されますので、質の向上には職場全体の意識のあり方が大きく影響します。それこそ、トップが形づくって行くものだと思います。
今回ご登場いただくのは、安永周平さん。トップである特養の施設長さんが大変熱心に介護のあり方を模索されていて、職場のスタッフがその情熱に応えようと努力をしているという施設で、チームリーダーをされている方です。
安永さんが介護の仕事に就いたのは、叔父さんが老健施設に勤めていたことで介護の仕事のイメージをしっかりと持っていたこと、そして地域のサッカーチームのチームメイトに現在の職場のスタッフが2名いて、その二人から職場のこと、介護の仕事のことをよく聞いていたことが下地としてありました。25歳のとき、安永さんは生涯の仕事として自分の将来を捉え直していて、介護の仕事こそ、自分に適した職業ではないかと思えるようになって、この特養の門を叩いたのでした。
今回ご登場いただくのは、安永周平さん。トップである特養の施設長さんが大変熱心に介護のあり方を模索されていて、職場のスタッフがその情熱に応えようと努力をしているという施設で、チームリーダーをされている方です。
安永さんが介護の仕事に就いたのは、叔父さんが老健施設に勤めていたことで介護の仕事のイメージをしっかりと持っていたこと、そして地域のサッカーチームのチームメイトに現在の職場のスタッフが2名いて、その二人から職場のこと、介護の仕事のことをよく聞いていたことが下地としてありました。25歳のとき、安永さんは生涯の仕事として自分の将来を捉え直していて、介護の仕事こそ、自分に適した職業ではないかと思えるようになって、この特養の門を叩いたのでした。
介護の仕事は難しくなっていくばかり
以来6年の月日が流れ、安永さんは職場の中堅として責任のある立場に立つようになりました。しかし、仕事に就いた初めの頃より、むしろ今のほうが介護は難しいと思うようになってきたとのこと。「最初は、叔父が介護の仕事をしていたので、自分は介護が分かっていると思っていたのですが、介護を知れば知るほど、そこには奥深いものがあると分かるようになってきて、ますます悩むようになってきました」(安永さん)。チームリーダーとしてスタッフをまとめていく立場に立ったことで、一層そうした思いが強くなってきたのかもしれません。
安永さんが勤める特養は、見学者や研修に訪れる人が多い施設です。その人たちから他の施設の実状を聞くことがあって、自分たちのケアが他の施設から評価されているのだと知ったと言いますが、「日々、当然のこととして行っているケアであっても、何故、自分たちのケアが評価されるのか、そうしたことを意識していくことが、その質の維持とさらなる向上にとって大切である」とも感じ始めているとのこと。
「施設長は理念が高いので、それに付いていくのは大変と感じることもありますが、応えることができたときは喜びにもなる」と安永さん。さらに理想の実現に向けて、一層の努力を重ねていきたいとのことです。
安永さんが勤める特養は、見学者や研修に訪れる人が多い施設です。その人たちから他の施設の実状を聞くことがあって、自分たちのケアが他の施設から評価されているのだと知ったと言いますが、「日々、当然のこととして行っているケアであっても、何故、自分たちのケアが評価されるのか、そうしたことを意識していくことが、その質の維持とさらなる向上にとって大切である」とも感じ始めているとのこと。
「施設長は理念が高いので、それに付いていくのは大変と感じることもありますが、応えることができたときは喜びにもなる」と安永さん。さらに理想の実現に向けて、一層の努力を重ねていきたいとのことです。
毎日欠かさずコツコツと勉強
安永さんが介護福祉士の資格を取得しようと思ったのは、この仕事をしていく以上、資格があったほうがよいと思っていたからでした。施設の給与体系でも、資格取得者の場合には少しアップすることも一因ではあります。しかし実務経験3年を満たした年は、仕事が忙しく試験の申し込み期限を逃してしまいました。そこで翌年は間違いなく申し込もうと、介護技術講習会の受講と併せて怠りなく手続きを済ませました。
誰しもそうなのですが、試験のために勉強するとなると、なかなか神輿の上がらないもの。安永さんが受験勉強を始めたのは10月になってからでした。短期間での挑戦となるので、兎に角、毎日コツコツと欠かさず、夜寝る前に1〜2時間を割くことにし、休日は、朝と夜の2回に分けて取り組むことにしました。
誰しもそうなのですが、試験のために勉強するとなると、なかなか神輿の上がらないもの。安永さんが受験勉強を始めたのは10月になってからでした。短期間での挑戦となるので、兎に角、毎日コツコツと欠かさず、夜寝る前に1〜2時間を割くことにし、休日は、朝と夜の2回に分けて取り組むことにしました。
3冊の問題集を使い分ける
勉強に使った参考書としては、1冊で各教科の出題の全体像を把握できるような形のものをまず選びました。それは先に受験していた先輩の勧めでした。できる教科とできない教科とを早く自覚して、できない教科への対応策を考えるためです。この参考書を短期間で読み込みました。受験で問われるのはどのような事柄なのか、そうしたことを把握しておいて、それから問題集を解いたほうが、効率が良いとの考えです。
次いで、過去3年分の国家試験問題が掲載されていて、解説がよく整っているものを購入しました。そして一通り全部の問題を解いてみました。安永さんは福祉系の学校で福祉を学んだという経験はなかったので、福祉の歴史上の人物とその功績、福祉特有の考え方や支援法についての知識はほとんど身に付いていませんでした。また法制度についても、介護保険法を除くと普段使うことのほとんどないものですので、これも知識がありません。「なんだ、これはー。といった感じで、全くできなかったんです」(安永さん)。本試験で午後の時間で出題される介護技術系の教科については、それほど問題がないことは分かったのですが、しかし午前の科目については、これから徹底して覚えないと、受かりそうもありません。
その過去問題集には、それぞれの出題で問われている事柄について、詳細な解説が付記されていましたので、できなかった問題についてはノートに事項整理の項目を立てて、その解説を整理して書き込みました。そして復習として、この書き出したノートを毎日声に出して読み上げたのです。『声に出して読みたい日本語』ではありませんが、ただ目で文字を追っているだけでは、記憶を高めることには結びつきにくいものです。一つの事項に一定のイメージを持たせることができると、人の記憶は強く残るようになります。声に出すというのは、このイメージトレーニングにもつながるもののようです。
過去問題集を繰り返して解き、そこに書かれている解説が自分でもある程度消化できたと感じた頃、安永さんは今度は模擬問題集を購入して、これまでの自分の勉強の成果を確認してみました。過去問題集を最初解いたときに全く太刀打ちできなかった午前中の教科が、この問題集ではある程度得点できるようになっていたのです。これですっかり自信がつきました。
そしてもう1冊、今度は予想問題と銘打ってある問題集を購入し、挑戦してみました。さすがにこれだけの問題を解いてくると力がついていて、8〜9割りの問題が解けました。これで合格できるのでは、と思えるようになっていました。
さたに仕上げとして、試験の直前に「1問1答」と名のつく簡易な形態の問題集を買って解きました。これは、ほぼ満点が取れていました。こうして自信を高めたまま、安永さんは試験本番に臨むことができたのでした。
次いで、過去3年分の国家試験問題が掲載されていて、解説がよく整っているものを購入しました。そして一通り全部の問題を解いてみました。安永さんは福祉系の学校で福祉を学んだという経験はなかったので、福祉の歴史上の人物とその功績、福祉特有の考え方や支援法についての知識はほとんど身に付いていませんでした。また法制度についても、介護保険法を除くと普段使うことのほとんどないものですので、これも知識がありません。「なんだ、これはー。といった感じで、全くできなかったんです」(安永さん)。本試験で午後の時間で出題される介護技術系の教科については、それほど問題がないことは分かったのですが、しかし午前の科目については、これから徹底して覚えないと、受かりそうもありません。
その過去問題集には、それぞれの出題で問われている事柄について、詳細な解説が付記されていましたので、できなかった問題についてはノートに事項整理の項目を立てて、その解説を整理して書き込みました。そして復習として、この書き出したノートを毎日声に出して読み上げたのです。『声に出して読みたい日本語』ではありませんが、ただ目で文字を追っているだけでは、記憶を高めることには結びつきにくいものです。一つの事項に一定のイメージを持たせることができると、人の記憶は強く残るようになります。声に出すというのは、このイメージトレーニングにもつながるもののようです。
過去問題集を繰り返して解き、そこに書かれている解説が自分でもある程度消化できたと感じた頃、安永さんは今度は模擬問題集を購入して、これまでの自分の勉強の成果を確認してみました。過去問題集を最初解いたときに全く太刀打ちできなかった午前中の教科が、この問題集ではある程度得点できるようになっていたのです。これですっかり自信がつきました。
そしてもう1冊、今度は予想問題と銘打ってある問題集を購入し、挑戦してみました。さすがにこれだけの問題を解いてくると力がついていて、8〜9割りの問題が解けました。これで合格できるのでは、と思えるようになっていました。
さたに仕上げとして、試験の直前に「1問1答」と名のつく簡易な形態の問題集を買って解きました。これは、ほぼ満点が取れていました。こうして自信を高めたまま、安永さんは試験本番に臨むことができたのでした。
本番でのゆとりは、時間配分から
受験会場は、自宅からはかなり遠隔地になってしまいました。仕事を休んで下見に行くにも遠すぎます。宿泊しないと試験時間には間に合いませんので、前日に受験地に入って、宿泊場所から会場までの道順を確かめました。当日は、やはり多くの受験者を目にして緊張がありました。しかし問題を解き始めると平常心が戻ってきて、普段、自宅で問題を解いているときと同じペースで出題をこなしていけました。解答の時間配分については、自宅で問題集を解いているときにどのくらいのペースで解けばよいのか、意識して取り組んだことがあって、それが本番でも生きました。
兎に角、分からない問題があったら後に回して、全問を必ず解き終えること。一通り解き終えてから、ペンディングになった問題に戻って考えることにしていたので、そのように進めました。結果として、解答時間にはかなり余裕がもて、ペンディングにした問題を解き終えても、まだ全体を読み直す時間がありました。
ただこの年の出題は、普段なら組み合わせの問題が比較的多いのですが、全くの五肢択一形式の問題が多く、また少々、重箱の隅をつつくような出題が目立ったので、その分で戸惑いを感じていました。自宅に戻ってから、早速、民間の会社の解答速報と照らし合わせてみました。すると、午前の問題で幾つか取り落とした問題がありましたが、午後の問題はほぼ満点が取れていて、まずは合格できたろうとの予測がつきました。
安永さんは、介護技術講習会を受講していたので、実技試験が免除されます。介護技術講習会は、あくまで日々の介護技術を再確認して、その内実を高めることに主眼がありますが、これを受講すると筆記試験の技術系の出題においても、かなり役立つといわれます。安永さんも、技術講習会を受講することは、本試験にも効果があったと感じたとのこと。
3月末には合格通知が届き、試験センターでの登録手続きを済ませました。さて、こうして一つの資格を取ってみると、さらに他の資格も取っておきたいと考えるようになり、先頃、ケアマネジャーの試験に臨んだところです。受験勉強することにも慣れ、知識を高めることの面白さも分かってきたようです。チームリーダーとしての責務を考えると、施設ケアプランの作成において、資格取得の勉強を活かしてさらにその質を向上させていきたいとの希望があります。ですから、是非ともケアマネの資格は取得しておきたいとのことでした。
兎に角、分からない問題があったら後に回して、全問を必ず解き終えること。一通り解き終えてから、ペンディングになった問題に戻って考えることにしていたので、そのように進めました。結果として、解答時間にはかなり余裕がもて、ペンディングにした問題を解き終えても、まだ全体を読み直す時間がありました。
ただこの年の出題は、普段なら組み合わせの問題が比較的多いのですが、全くの五肢択一形式の問題が多く、また少々、重箱の隅をつつくような出題が目立ったので、その分で戸惑いを感じていました。自宅に戻ってから、早速、民間の会社の解答速報と照らし合わせてみました。すると、午前の問題で幾つか取り落とした問題がありましたが、午後の問題はほぼ満点が取れていて、まずは合格できたろうとの予測がつきました。
安永さんは、介護技術講習会を受講していたので、実技試験が免除されます。介護技術講習会は、あくまで日々の介護技術を再確認して、その内実を高めることに主眼がありますが、これを受講すると筆記試験の技術系の出題においても、かなり役立つといわれます。安永さんも、技術講習会を受講することは、本試験にも効果があったと感じたとのこと。
3月末には合格通知が届き、試験センターでの登録手続きを済ませました。さて、こうして一つの資格を取ってみると、さらに他の資格も取っておきたいと考えるようになり、先頃、ケアマネジャーの試験に臨んだところです。受験勉強することにも慣れ、知識を高めることの面白さも分かってきたようです。チームリーダーとしての責務を考えると、施設ケアプランの作成において、資格取得の勉強を活かしてさらにその質を向上させていきたいとの希望があります。ですから、是非ともケアマネの資格は取得しておきたいとのことでした。
見て、聞いて、書いて、そして声に出して
安永さんの勉強の仕方は全くの独学で、民間の講習会や模擬試験などは一つも利用しませんでした。しかし、受験勉強の王道は、やはり自分自身がどのように勉強していくのかにあります。安永さんは職場でこれから受験する後輩たちにも、試験勉強は毎日の積み重ね以外にはないと、コツコツ、一定の時間を継続することを強調します。手を抜くと、そこに必ずほころびが生じ、本番では焦りにつながると感じています。また「声に出して読んで」覚える、という安永さん独自の勉強法ですが、これは効果があるとのこと。安永さん自身も、実は親から勧められてこうした勉強法を身につけたのでした。子どもの頃に「見て、聞いて、書いて、そして声に出せ」と教わったのだそうです。今回は、久しぶりにその実践でした。
介護の現場は、これからますます運営の厳しさが増していきます。それでも社会にとっては欠かせない基本サービスの一つであることは間違いありません。それだけに、介護の質を高める努力は、しっかりと継続していかなくてはなりません。「お年寄りの幸せを願って、一人でも笑顔になってくれる人を増やしたい」、それが安永さんの願いです。
介護の現場は、これからますます運営の厳しさが増していきます。それでも社会にとっては欠かせない基本サービスの一つであることは間違いありません。それだけに、介護の質を高める努力は、しっかりと継続していかなくてはなりません。「お年寄りの幸せを願って、一人でも笑顔になってくれる人を増やしたい」、それが安永さんの願いです。