13万人を超える受験者の中から晴れて介護福祉士になった皆さんに、仕事をしながら勉強を続けるコツや効果的な勉強法、受験を仕事に活かす展望についてうかがいました。
第27回 仁藤広美さん
介護老人保健施設併設通所リハビリ 介護職員
仁藤さんが使った参考書
介護福祉士受験ワークブック
中央法規出版
中央法規出版
仁藤さんの合格までの道のり
楽しく介護の仕事を
仁藤さんが介護の仕事に就いたのは、お祖父さんの介護がきっかけでした。知識もなく介護しているよりは専門家に習おうと、ヘルパー講習を受けたのです。その講習がきっかけで、介護の仕事も向いていると感じ、講習を行っていた事業所にそのまま勤務。そこは訪問介護の会社でしたが、子育てと家事、そして仕事の両立を図る必要があり、訪問介護は時間に融通が利くので、仕事に就きやすかったことが大きな理由でした。その祖父も昨年93歳で亡くなりましたが、介護の知識、技術をもったことで、祖父も家族も介護が楽になったと感じたのでした。
仁藤さんは、訪問介護事業所に2年近く携わったところで、子どもたちも大きくなってきたことから、日中に常勤で働ける職場を考えるようになりました。それもやはり介護の仕事でと。たまたま比較的自宅に近い現在の老健併設の通所リハビリで職員募集をしていて、訪問介護の職歴が認められ、ここに勤めることになりました。
さて、通所リハビリで働き出してみると、訪問の仕事で介護は分かっているつもりでしたが、場の違いには大きなものがありました。訪問介護は、そのときどきの1対1の介護です。濃密な関わりとはなりますが、どこかにゆとりが感じられます。しかし通所リハビリは、定員が40名でほぼ毎日、定員一杯の利用者があります。そして朝から夕方まで8時間、一定のスタッフで、40名すべてに気配りをしていかなくてはなりません。顔を覚えること、名前を覚えることも大変ですし、また利用者一人ひとりに対応した介護を、その都度行わなくてはなりません。その切り替えに戸惑いました。
現在の職場に替わって2年。老健の通所リハビリは退院後の利用者が多く、身体状況も実に様々です。訪問ではそれほど多くの症例に出会う機会はないので、あえて言えば勉強になります。そして、入院していてADLが衰え歩行が困難になっていた利用者さんが、通所リハビリのプログラムで踏み台やステップ訓練を通して、自宅の階段が楽に登れるようになったなど、成果を聞かされると、「自分たちの介護の成果が実感できて、とても嬉しい」とのこと。そこに介護の楽しさを感じている毎日だそうです。
仁藤さんは、訪問介護事業所に2年近く携わったところで、子どもたちも大きくなってきたことから、日中に常勤で働ける職場を考えるようになりました。それもやはり介護の仕事でと。たまたま比較的自宅に近い現在の老健併設の通所リハビリで職員募集をしていて、訪問介護の職歴が認められ、ここに勤めることになりました。
さて、通所リハビリで働き出してみると、訪問の仕事で介護は分かっているつもりでしたが、場の違いには大きなものがありました。訪問介護は、そのときどきの1対1の介護です。濃密な関わりとはなりますが、どこかにゆとりが感じられます。しかし通所リハビリは、定員が40名でほぼ毎日、定員一杯の利用者があります。そして朝から夕方まで8時間、一定のスタッフで、40名すべてに気配りをしていかなくてはなりません。顔を覚えること、名前を覚えることも大変ですし、また利用者一人ひとりに対応した介護を、その都度行わなくてはなりません。その切り替えに戸惑いました。
現在の職場に替わって2年。老健の通所リハビリは退院後の利用者が多く、身体状況も実に様々です。訪問ではそれほど多くの症例に出会う機会はないので、あえて言えば勉強になります。そして、入院していてADLが衰え歩行が困難になっていた利用者さんが、通所リハビリのプログラムで踏み台やステップ訓練を通して、自宅の階段が楽に登れるようになったなど、成果を聞かされると、「自分たちの介護の成果が実感できて、とても嬉しい」とのこと。そこに介護の楽しさを感じている毎日だそうです。
資格取得を目指すことになってしまって
仁藤さんが勤める老健では、職場で介護福祉士資格を取ることを奨励しています。また資格があると給与面で手当てが付きます。そうしたこともあって、職場では資格取得の勉強会なども開かれて、職員の間では資格への関心が高くなっています。仁藤さんは資格に関心がなかったわけではありませんでしたが、それほど積極的に取得しようとまでは思っていませんでした。しかし、老健は看護職も多く、医療面の知識の不足を感じていたことから、受験対策の勉強会ではありましたが、医学知識などを身に付けるにはよい機会だと、職場の受験勉強会に参加することにしました。
この勉強会は、国家試験の13科目を、職場のスタッフが講師となって、6月から毎月2回のペースで、夕方仕事が終わってからの2時間程度で行われています。講師を務めるスタッフは資料を揃え、それなりに学習しなくてはならないので大変ですが、教えるということは本人の学習にもなり、それがまた仕事にも反映しているといった効用があるようです。受講者は、漫然と講義を聞いているということはできません。毎回レポートを提出するのです。折角の講義ですから、成果を確実にしていきたいとの思いが感じられます。
さて、こうして勉強会に参加していると、周囲の人たちは皆、受験を志しているわけですから、仁藤さんも自ずと受験するのが当たり前といった雰囲気に呑まれていきました。8月には皆が申し込んでいるので、試験センターに受験を申し込みます。そしてセンターから「受験の手引き」が届き、やがて受講票なども送られてくるようになりました。
そうなると、やはり「受験勉強もそれなりにやっておかないと」と、あまり積極的ではなかった仁藤さんでしたが、受験に臨もうと、気持ちが変わっていったのです。
この勉強会は、国家試験の13科目を、職場のスタッフが講師となって、6月から毎月2回のペースで、夕方仕事が終わってからの2時間程度で行われています。講師を務めるスタッフは資料を揃え、それなりに学習しなくてはならないので大変ですが、教えるということは本人の学習にもなり、それがまた仕事にも反映しているといった効用があるようです。受講者は、漫然と講義を聞いているということはできません。毎回レポートを提出するのです。折角の講義ですから、成果を確実にしていきたいとの思いが感じられます。
さて、こうして勉強会に参加していると、周囲の人たちは皆、受験を志しているわけですから、仁藤さんも自ずと受験するのが当たり前といった雰囲気に呑まれていきました。8月には皆が申し込んでいるので、試験センターに受験を申し込みます。そしてセンターから「受験の手引き」が届き、やがて受講票なども送られてくるようになりました。
そうなると、やはり「受験勉強もそれなりにやっておかないと」と、あまり積極的ではなかった仁藤さんでしたが、受験に臨もうと、気持ちが変わっていったのです。
遅ればせながら受験勉強開始
しかし、もう秋も終わる頃で、ほとんど時間に余裕はありません。施設の学習会で一定の勉強はしてはきましたが、以前勉強したことも忘れかけています。
そこで、とにかく受験対策の参考書を購入し、それを元に徹底して学習することにしました。あれもこれもと買い求めるよりは、1冊にじっくりと取り組むほうが効果的だと、先輩資格取得者より話を聞いていたので、書店で自分に合ったものをと探しました。そして毎日、夜寝る前の1時間程度を、勉強会の資料と購入した参考書での学習に充てることにしたのです。
資料を読み返してみると、社会福祉の歴史や制度など、自分の知らない事柄や知識不足の事柄が多いことに気がつきました。そこで参考書で用語を調べていきましたが、それだけでは不十分です。そこでパソコンのインターネットで検索して知識を補強しました。いま、インターネットでは、実に多くの情報が公開されていて、かなりの精度で知識が得られるので、短期に情報を集めるには便利です。そうしてネットを見ているうちに、介護福祉士国家試験対策の模擬問題や過去問題といったものも、検索できることがわかりました。中には、ゲーム感覚で楽しみながら問題を解いていけるように工夫されたサイトまであります。
仁藤さんの勉強スタイルは、この時点から、参考書を片手に、一方でインターネットのゲーム感覚で学べるサイトとの両輪で、短期集中の学習となっていきました。
そこで、とにかく受験対策の参考書を購入し、それを元に徹底して学習することにしました。あれもこれもと買い求めるよりは、1冊にじっくりと取り組むほうが効果的だと、先輩資格取得者より話を聞いていたので、書店で自分に合ったものをと探しました。そして毎日、夜寝る前の1時間程度を、勉強会の資料と購入した参考書での学習に充てることにしたのです。
資料を読み返してみると、社会福祉の歴史や制度など、自分の知らない事柄や知識不足の事柄が多いことに気がつきました。そこで参考書で用語を調べていきましたが、それだけでは不十分です。そこでパソコンのインターネットで検索して知識を補強しました。いま、インターネットでは、実に多くの情報が公開されていて、かなりの精度で知識が得られるので、短期に情報を集めるには便利です。そうしてネットを見ているうちに、介護福祉士国家試験対策の模擬問題や過去問題といったものも、検索できることがわかりました。中には、ゲーム感覚で楽しみながら問題を解いていけるように工夫されたサイトまであります。
仁藤さんの勉強スタイルは、この時点から、参考書を片手に、一方でインターネットのゲーム感覚で学べるサイトとの両輪で、短期集中の学習となっていきました。
ネットサイトのおすすめ
仁藤さんがよく利用したというサイトは、一つの問題が正解しないと、次に進めないようになっています。しかも制限時間があって、その範囲で答えを出さないとゲームアウトとなってしまいます。しかし何度も挑戦できるので、繰り返し考え、キーワードを早く探し出して、答えを導くといった訓練になって、一定の知識がそれなりに覚えられるようになっていきます。
他のサイトでは、過去問を検討して一定のキーワードと問題とが組み合わされて出題されるといったものもあって、この手の問題ではこのキーワードが拾えれば、そこから答えは○、×とすぐに選り分けできるように工夫されているものがあり、仁藤さんは、キーワードを覚えるのに、このサイトもよく利用するようになったと言います。
なかには、1科目の得点が70点を超えると、さらにランクアップした問題に取り組めるようになっているものもあって、レベルアップを図ることをねらった工夫がされたサイトもあるそうです。
さて、このようにインターネットのサイトで学習が完結してしまうとなると、受験参考書は必要なくなってしまいますが、やはりそこには向き、不向きがあります。年齢層にもよるのかもしれませんが、じっくりと学ぶことに慣れているなら、オーソドックスな参考書による学習法が適しているでしょうし、また年齢が若く、携帯サイトなどでゲームに親しんでいる世代なら、ネットの利用も有効でしょう。参考書だけの学習よりはバリエーションが広がり、飽きにくいといったことも利点かもしれません。
仁藤さんは、「このネットでの学習は自分に向いていた」と振り返っています。
他のサイトでは、過去問を検討して一定のキーワードと問題とが組み合わされて出題されるといったものもあって、この手の問題ではこのキーワードが拾えれば、そこから答えは○、×とすぐに選り分けできるように工夫されているものがあり、仁藤さんは、キーワードを覚えるのに、このサイトもよく利用するようになったと言います。
なかには、1科目の得点が70点を超えると、さらにランクアップした問題に取り組めるようになっているものもあって、レベルアップを図ることをねらった工夫がされたサイトもあるそうです。
さて、このようにインターネットのサイトで学習が完結してしまうとなると、受験参考書は必要なくなってしまいますが、やはりそこには向き、不向きがあります。年齢層にもよるのかもしれませんが、じっくりと学ぶことに慣れているなら、オーソドックスな参考書による学習法が適しているでしょうし、また年齢が若く、携帯サイトなどでゲームに親しんでいる世代なら、ネットの利用も有効でしょう。参考書だけの学習よりはバリエーションが広がり、飽きにくいといったことも利点かもしれません。
仁藤さんは、「このネットでの学習は自分に向いていた」と振り返っています。
実技試験も受験
仁藤さんが受験を決めた段階では、多くの介護技術講習会の会場は、ほぼ受付を終えてしまっていました。秋以降の講習もあったのですが、会場が遠かったりして諦め、筆記試験に受からないことには、受験もないからと、そのときになって考えることにしていました。
さて、筆記試験を終えた感触でしたが、ネットの回答速報などを点検してみると、疑心暗鬼ながら、ひょっとしたら合格するのではといったところがあって、既に資格取得している先輩に、実技試験の勉強法などを聞き出しました。その先輩が、過去問の受験対策ビデオを持っていて、受かったらこれで勉強しては、と貸してくれたのでした。
やはりというのもおかしいのですが、一次試験は合格しました。それなら何とか2次もクリアしたいと欲が出ます。そこで、またまた短期集中の学習です。先輩から借りたビデオを繰り返し観て、頭の中で、再度、自分で繰り返してやってみるといった勉強法を行いました。家族に手伝ってもらうとか、仲間内で練習してみるといったことは一切しなかったと仁藤さん。「どこか気恥ずかしいものだから」と言います。
そして受験当日。控え室に集まった受験生は、皆、自信たっぷりといった雰囲気。少々怖気づきながらも気を取り直して、渡された出題を自分なりにどのように展開するか、組み立ててみました。そして名前が呼ばれます。「試験会場に足を踏み入れた途端、頭が真っ白になって、さっきまで考えていたことなど、どこかに行ってしまった」と仁藤さん。それでも掲示板の出題を点検しているうちに、気持ちも落ち着いてきて、そこで試験官に挨拶して実技にとりかかりました。
結果として、問題の演技を全て終えることができない内に、時間が来てしまい、これで落ちたと思ったそうです。会場を出ると、外では知り合いの受験生同士が、どのように演技したのか、お互いに話し合ったりしています。「あの人たちは、きっと合格するだろう」と思いながら、仁藤さんは会場を後にしたのでした。
さて、筆記試験を終えた感触でしたが、ネットの回答速報などを点検してみると、疑心暗鬼ながら、ひょっとしたら合格するのではといったところがあって、既に資格取得している先輩に、実技試験の勉強法などを聞き出しました。その先輩が、過去問の受験対策ビデオを持っていて、受かったらこれで勉強しては、と貸してくれたのでした。
やはりというのもおかしいのですが、一次試験は合格しました。それなら何とか2次もクリアしたいと欲が出ます。そこで、またまた短期集中の学習です。先輩から借りたビデオを繰り返し観て、頭の中で、再度、自分で繰り返してやってみるといった勉強法を行いました。家族に手伝ってもらうとか、仲間内で練習してみるといったことは一切しなかったと仁藤さん。「どこか気恥ずかしいものだから」と言います。
そして受験当日。控え室に集まった受験生は、皆、自信たっぷりといった雰囲気。少々怖気づきながらも気を取り直して、渡された出題を自分なりにどのように展開するか、組み立ててみました。そして名前が呼ばれます。「試験会場に足を踏み入れた途端、頭が真っ白になって、さっきまで考えていたことなど、どこかに行ってしまった」と仁藤さん。それでも掲示板の出題を点検しているうちに、気持ちも落ち着いてきて、そこで試験官に挨拶して実技にとりかかりました。
結果として、問題の演技を全て終えることができない内に、時間が来てしまい、これで落ちたと思ったそうです。会場を出ると、外では知り合いの受験生同士が、どのように演技したのか、お互いに話し合ったりしています。「あの人たちは、きっと合格するだろう」と思いながら、仁藤さんは会場を後にしたのでした。
合格通知が届いて
3月末。どうせ駄目だろうと思っていただけに、合格通知が届いたときの喜びは大きかったと仁藤さん。「自分の受験勉強は、付け焼刃のようなもので、遊び感覚といったものだったので、他の人の参考にはならないのでは」と言いながら、この1年を振り返ってくれました。
人には様々な学習のスタイルがあり、その人に合った学習法は、探してみないことには分かりません。インターネットが発達してきた時代においては、仁藤さんのように、ネットを活用した学習も、これからの一つの学習法となっていくでしょうし、またそのようなサイトも充実していくことでしょう。
また、実技試験について仁藤さんは、「実技が受かったのは、通所リハビリで様々な障害を負った利用者さんの介護に日々取り組んでいることそのものが、合格につながったのでは」と感じているそうです。そしてビデオでの過去問の学習も、全くどのように展開するのかといった知識がなかったなら受からなかったと、観て覚える視覚の効用も大切だと感じているとのことでした。
人には様々な学習のスタイルがあり、その人に合った学習法は、探してみないことには分かりません。インターネットが発達してきた時代においては、仁藤さんのように、ネットを活用した学習も、これからの一つの学習法となっていくでしょうし、またそのようなサイトも充実していくことでしょう。
また、実技試験について仁藤さんは、「実技が受かったのは、通所リハビリで様々な障害を負った利用者さんの介護に日々取り組んでいることそのものが、合格につながったのでは」と感じているそうです。そしてビデオでの過去問の学習も、全くどのように展開するのかといった知識がなかったなら受からなかったと、観て覚える視覚の効用も大切だと感じているとのことでした。