13万人を超える受験者の中から晴れて介護福祉士になった皆さんに、仕事をしながら勉強を続けるコツや効果的な勉強法、受験を仕事に活かす展望についてうかがいました。
第26回 松若恵美さん
認知症高齢者共同生活介護事業所 介護職員
松若さんが使った参考書
介護福祉士受験ワークブック
中央法規出版
中央法規出版
NHK学園 専攻科社会福祉コース 通信講座テキスト
松若さんの合格までの道のり
生きがいとしての介護の仕事
子どもたちが独立したら、ボランティアなどの生きがいのある活動をしたい、そんな想いをもつ方も多いことでしょう。今回ご紹介する松若恵美さんもこうしたお一人。介護の世界に踏み込んだきっかけは、たまたま市役所の広報に載っていたヘルパー2級の講習会募集の案内を読み、親の介護もいずれは考えないといけないので、講習を受けることは無駄ではないと受講することにしたことからでした。
その後、末の娘さんの就職を機に、訪問介護の事業所に勤めることに。しかし働き出してみると、松若さんが求める介護への理念との間に隔たりが感じられました。松若さんは、ネットのホームページなどで他の事業所の取り組みなどを調べてみます。そこで眼にしたのが、市民が主体となって地域住民の高齢化の問題に取り組もうと特養を立ち上げたといった経緯のある法人でした。住民活動が背景にあるならば、自分のボランティアへの想いとも通ずるものがあるのでは、とその法人のもとで働くこととなったのでした。
松若さんは、かねてより、地域密着型生活介護の職場を経験してみたいとの願いがありました。法人への応募の際に、そのことを告げておいたので、希望を配慮して市内にあるGHへの配属となったのが4か月前のことです。GHでの介護は、訪問介護とはまったく様相を異にするので、まだ職場でのかかわり方など模索している段階だとのこと。
限られた時間内でのスポット訪問で一定の取り決められた介護を提供する訪問介護と異なり、GHでの介護は密着度が高く、朝から晩までその都度、様々な支援を気付きながら行っていくことになります。そして夜勤もこなしていかなくてはなりません。こうした違いに戸惑いながらも、人の生活を支えていくということがどういったものかを考えるようになれれば、それが松若さんの志の原点であり、そこから介護を見つめていきたいとのことでした。
その後、末の娘さんの就職を機に、訪問介護の事業所に勤めることに。しかし働き出してみると、松若さんが求める介護への理念との間に隔たりが感じられました。松若さんは、ネットのホームページなどで他の事業所の取り組みなどを調べてみます。そこで眼にしたのが、市民が主体となって地域住民の高齢化の問題に取り組もうと特養を立ち上げたといった経緯のある法人でした。住民活動が背景にあるならば、自分のボランティアへの想いとも通ずるものがあるのでは、とその法人のもとで働くこととなったのでした。
松若さんは、かねてより、地域密着型生活介護の職場を経験してみたいとの願いがありました。法人への応募の際に、そのことを告げておいたので、希望を配慮して市内にあるGHへの配属となったのが4か月前のことです。GHでの介護は、訪問介護とはまったく様相を異にするので、まだ職場でのかかわり方など模索している段階だとのこと。
限られた時間内でのスポット訪問で一定の取り決められた介護を提供する訪問介護と異なり、GHでの介護は密着度が高く、朝から晩までその都度、様々な支援を気付きながら行っていくことになります。そして夜勤もこなしていかなくてはなりません。こうした違いに戸惑いながらも、人の生活を支えていくということがどういったものかを考えるようになれれば、それが松若さんの志の原点であり、そこから介護を見つめていきたいとのことでした。
松若さん、介護福祉士資格取得を目指す
松若さんが介護福祉士の資格取得を考えるようになったのは、偶然のきっかけでした。松若さんは、介護の仕事に携わるに当たって『福祉新聞』を購読していたのですが、ある年の1月の末のこと、そこにその年の介護福祉士国家試験の筆記試験問題が全問掲載されていました。少し問題を読んでみると、それほど難しいとも感じられません。では、「どのくらい解けるものだろうか」と、松若さんは全くの好奇心からその年の国家試験問題に挑戦してみたのでした。
解答を照らし合わせてみると、なんと50%以上の正解率です。全く受験勉強をしたことがない段階でもこの程度の得点ができるならば、しっかりと勉強しさえすれば、必ず資格はとれると、松若さんは思ったのでした。
また、こうして試験問題を解いてみると、そこで触れられている介護の考え方など、もっと基礎から福祉を学んでみたいとの欲も出てきました。そこで仕事をしながら学べるNHK学園の専攻科、介護福祉士の通信課程を受講することにしたのでした。
松若さんの場合、この時点で資格要件としての就業年限はクリアできていましたので、受験勉強のために通信講座を受けるというなら、もっと早い段階で受講すれば、資格取得にとっては早道でした。しかし、基礎を学ぶということが松若さんの意図でしたので、NHK学園の通信講座の受講はあくまで受験とは別のものとの意識でした。それが受験を決めた年の春のことでした。
通信教育は主に添削によって授業が進行していきます。そこでは、知識を深めるために、様々な参考書籍なども紹介されますが、それらが実は、受験勉強にも役に立つこととなりました。たとえば、『福祉小六法』や『厚生白書』、『国民福祉の動向』といった書籍などは、どちらかといえば、専門に福祉を学ぶ人たちにとっては有意義な参考書ですが、出題をみると、こうした資料的な文献に整理されている事柄が問われることが多いのです。制度の実状や、制度制定の経緯などは、これらのテキストには分かりやすく整理されています。受験勉強で苦労することが多いこれらの科目は、こうしたテキストを読み解くことで、かなりの力がついていったのでした。
受験勉強そのものとしては、松若さんが本格的に取り組みを始めたのは、試験センターに申し込んだ後の夏も過ぎようとした頃からでした。まずは、実際の試験問題に近い形で、問題を解いていくなかで力が身につくように、自分に最も使いやすい形式の問題集を書店でみつけ、それで学習することにしました。
そして、この問題集を解くことが、松若さんの受験勉強のほとんどすべてとなりました。
解答を照らし合わせてみると、なんと50%以上の正解率です。全く受験勉強をしたことがない段階でもこの程度の得点ができるならば、しっかりと勉強しさえすれば、必ず資格はとれると、松若さんは思ったのでした。
また、こうして試験問題を解いてみると、そこで触れられている介護の考え方など、もっと基礎から福祉を学んでみたいとの欲も出てきました。そこで仕事をしながら学べるNHK学園の専攻科、介護福祉士の通信課程を受講することにしたのでした。
松若さんの場合、この時点で資格要件としての就業年限はクリアできていましたので、受験勉強のために通信講座を受けるというなら、もっと早い段階で受講すれば、資格取得にとっては早道でした。しかし、基礎を学ぶということが松若さんの意図でしたので、NHK学園の通信講座の受講はあくまで受験とは別のものとの意識でした。それが受験を決めた年の春のことでした。
通信教育は主に添削によって授業が進行していきます。そこでは、知識を深めるために、様々な参考書籍なども紹介されますが、それらが実は、受験勉強にも役に立つこととなりました。たとえば、『福祉小六法』や『厚生白書』、『国民福祉の動向』といった書籍などは、どちらかといえば、専門に福祉を学ぶ人たちにとっては有意義な参考書ですが、出題をみると、こうした資料的な文献に整理されている事柄が問われることが多いのです。制度の実状や、制度制定の経緯などは、これらのテキストには分かりやすく整理されています。受験勉強で苦労することが多いこれらの科目は、こうしたテキストを読み解くことで、かなりの力がついていったのでした。
受験勉強そのものとしては、松若さんが本格的に取り組みを始めたのは、試験センターに申し込んだ後の夏も過ぎようとした頃からでした。まずは、実際の試験問題に近い形で、問題を解いていくなかで力が身につくように、自分に最も使いやすい形式の問題集を書店でみつけ、それで学習することにしました。
そして、この問題集を解くことが、松若さんの受験勉強のほとんどすべてとなりました。
1冊の問題集を3回繰り返し解く
松若さんは、初めて新聞に掲載されていた試験問題を解いた段階で、自分がどの科目の得点が高く、どの科目が不得手なのかが分かっていましたので、受験勉強に当たっては、まずは弱点を強化することが肝心だと思いました。得点率の高かったのは、技術系の問題で、これは80%以上の正解率でした。一方、法制度や福祉の体系といった問題は、日常の業務では知る機会の少ないだけに、正解率は50%に満たない状況でした。そして以外に成績の悪かったのが「家政学」です。主婦歴の長い松若さんにとっては、それほど難しいと感じたわけではないのですが、意外に迷う事柄が多く、また思い込みで覚えてしまった知識が多いことにも気付かされました。そこで家政学の参考書として「栄養成分表」を買ってきて、日々の訪問の仕事での調理にも、そして家族の食事づくりにも、実際に使って覚えることにしました。
「医学一般」は、NHK学園のテキストそのものが役に立ちました。医学知識は、個々の病気とその治療などは、自分が体験したり身近にそうした疾病を抱える人がいると、その病気についてはかなりの知識が得られますが、体系だって学ぶ機会がないので、そうした出題傾向には弱いところがあります。ですから、通信講座のテキストは、簡潔に体系的に医学知識が学べたので、有意義だったとのこと。
松若さんは、本試験までにこの問題集を3回繰り返して解くことにします。そのため、解答は必ずノートに書き出しました(余談ですが、合格した後は、翌年受験するという友人に、その問題集が役に立ったと譲ったそうです)。
1回目は、自分の弱点となっている教科については、特に念入りに、一問一問、出題の背景や、その出題の文面に記載されている制度の背景といったことなどを、参考書を開いて確かめていきました。そして、必ずノートに知識を整理して書き出します。その際、参考書としては、先のNHK学園で紹介された書籍が有効でした。
2回目は、間違えた場合に、再び学園のテキストや参考書類を開いて、どこに間違えた原因があったのかを確かめました。
3回目は、年末から1月にかけての追い込みとして解きました。
「医学一般」は、NHK学園のテキストそのものが役に立ちました。医学知識は、個々の病気とその治療などは、自分が体験したり身近にそうした疾病を抱える人がいると、その病気についてはかなりの知識が得られますが、体系だって学ぶ機会がないので、そうした出題傾向には弱いところがあります。ですから、通信講座のテキストは、簡潔に体系的に医学知識が学べたので、有意義だったとのこと。
松若さんは、本試験までにこの問題集を3回繰り返して解くことにします。そのため、解答は必ずノートに書き出しました(余談ですが、合格した後は、翌年受験するという友人に、その問題集が役に立ったと譲ったそうです)。
1回目は、自分の弱点となっている教科については、特に念入りに、一問一問、出題の背景や、その出題の文面に記載されている制度の背景といったことなどを、参考書を開いて確かめていきました。そして、必ずノートに知識を整理して書き出します。その際、参考書としては、先のNHK学園で紹介された書籍が有効でした。
2回目は、間違えた場合に、再び学園のテキストや参考書類を開いて、どこに間違えた原因があったのかを確かめました。
3回目は、年末から1月にかけての追い込みとして解きました。
確実なステップアップを実感しながらの学習
松若さんの受験勉強に充てた時間は、平日は夜の11時から12時の間。休日は近所にあった公立の歴史資料館にこもり、朝の9時から午後4時までみっちりと問題を解き、参考資料もここで読み進めました。NHK学園の通信添削は受験勉強そのものではありませんが、レポートをまとめて提出することは、受験知識を補足するには大いに役立ったことと思います。
晩秋になって、松若さんは民間事業者が行っていた国家試験の模擬試験を受けてみました。その結果は、自分が苦手としていた科目などが確実に得点できるようになっていて、正解率は80%を超えていました。初めて国家試験問題を解いたときが50%超といったところでしたので、確実にステップアップしていたのです。松若さんは、学習の成果を確かめながら勉強を進めていくことができたので、合格への確かな手ごたえを感じたと言います。
さて、いよいよ試験本番です。松若さんは、追い込みに問題集を解いて知識を確かめます。そして何より、健康管理に留意しました。会場が遠かったので下見にも行きました。そして当日は、日々の勉強の成果を確かめるとの意識で、適度な緊張感のなかで試験に臨むことができたそうです。このあたりの感覚は、受験する人、それぞれの性格もあって、どんなに準備万端でも本番になると緊張しすぎてしまい、覚えていたはずのことが出てこない、判断に迷うといった方がいます。その場合は、受験のテクニックとしてより、様々な場面で緊張を解くにはどうしたらよいか、自分なりの工夫を身につけるしかありません。また、多くの受験生が集まる本番の雰囲気は、格段に異なるものでもあります。
あまり緊張しないで試験に臨めたとの背景には、松若さんにとっては、介護福祉士資格はゴールではなく、その先にこれからの自分自身の生き方として、福祉を学んで実践に当たりたいとの意欲が強く反映していることもあるのではないでしょうか。つまりその過程としての受験であり、合格が全てではなかったのです。ですから受験はあえて言えば「力試し」。学んだことを活かして、さらに地域において住民同士が互いにその生活を支え合うには、どういった取り組みが求められるのか、その際に課題となることは何なのか、それを介護実践の中から掴み取ろうといった問題意識があって、それが松若さんのそもそもの学習の動機となっていました。
松若さんは、自分の勉強が確実にステップアップしていくことを実感しながら、本試験にも臨めました。そしてそれなりの得点で合格を手にしたのでした。
晩秋になって、松若さんは民間事業者が行っていた国家試験の模擬試験を受けてみました。その結果は、自分が苦手としていた科目などが確実に得点できるようになっていて、正解率は80%を超えていました。初めて国家試験問題を解いたときが50%超といったところでしたので、確実にステップアップしていたのです。松若さんは、学習の成果を確かめながら勉強を進めていくことができたので、合格への確かな手ごたえを感じたと言います。
さて、いよいよ試験本番です。松若さんは、追い込みに問題集を解いて知識を確かめます。そして何より、健康管理に留意しました。会場が遠かったので下見にも行きました。そして当日は、日々の勉強の成果を確かめるとの意識で、適度な緊張感のなかで試験に臨むことができたそうです。このあたりの感覚は、受験する人、それぞれの性格もあって、どんなに準備万端でも本番になると緊張しすぎてしまい、覚えていたはずのことが出てこない、判断に迷うといった方がいます。その場合は、受験のテクニックとしてより、様々な場面で緊張を解くにはどうしたらよいか、自分なりの工夫を身につけるしかありません。また、多くの受験生が集まる本番の雰囲気は、格段に異なるものでもあります。
あまり緊張しないで試験に臨めたとの背景には、松若さんにとっては、介護福祉士資格はゴールではなく、その先にこれからの自分自身の生き方として、福祉を学んで実践に当たりたいとの意欲が強く反映していることもあるのではないでしょうか。つまりその過程としての受験であり、合格が全てではなかったのです。ですから受験はあえて言えば「力試し」。学んだことを活かして、さらに地域において住民同士が互いにその生活を支え合うには、どういった取り組みが求められるのか、その際に課題となることは何なのか、それを介護実践の中から掴み取ろうといった問題意識があって、それが松若さんのそもそもの学習の動機となっていました。
松若さんは、自分の勉強が確実にステップアップしていくことを実感しながら、本試験にも臨めました。そしてそれなりの得点で合格を手にしたのでした。
●介護技術講習会について
なお、松若さんは、11月に介護技術講習会を受講したため、筆記試験だけが課題でした。技術講習会は介護技術の根拠を詳しく伝授するなど、現場ではなかなか学ぶ機会の少ない技術の基礎を理解することができ、有意義との評価が高いものです。また、講習会の講師の技量によるのかもしれませんが、筆記試験受験のポイントを指導してくれるところもあるとのことで、経費と時間はかかりますがお徳感のある講習です。ただし、申し込みが殺到することがあり、なかなか思う期間に受講ができないことも多いのです。また定員が一杯となって、仕方なく実技試験を受けたなどといった話もあります。しかし、来年の試験を考えるなら、まだ受講申し込みを受け付けている会場もあるようですので、問い合わせてみてはいかがでしょうか。