13万人を超える受験者の中から晴れて介護福祉士になった皆さんに、仕事をしながら勉強を続けるコツや効果的な勉強法、受験を仕事に活かす展望についてうかがいました。
第25回 戸田恵子さん
訪問介護員
戸田さんが使った参考書
介護福祉士合格指導講座(通信講座)
日本ビジネスカレッジ
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介護福祉士国家試験過去問解説集
中央法規出版
中央法規出版
介護福祉士国家試験実技試験のチェックポイント
中央法規出版
中央法規出版
戸田さんの合格までの道のり
趣味と家庭と生きがいを鼎立させて
趣味を楽しみ、家庭を大切にしながら、生きがいとして訪問介護の仕事に携わる、登録タイプで訪問介護の仕事に就いている方にはそんな働き方をされている方が多いのではないでしょうか。その方たちは、あまり資格取得を意識されてはいないかもしれませんが、身近な家族の介護をより良いものにしたい、そんな想いから国家資格を取った方がいます。
ご紹介する戸田恵子さんは、コーラスを趣味に主婦として家庭での役割を大切にしながら、行政が設立した社会福祉法人が運営する訪問介護事業所において、訪問介護員の仕事に就いている方です。
戸田さんが介護の仕事についたのには、次のようなわけがありました。それは戸田さんが結婚して間もない頃のこと、ご主人の両親の実家に結婚後初めての挨拶に出かけ、親族が集まっての宴の最中に、お義父さんが脳溢血で倒れてしまい、要介護状態に陥ったのでした。ご主人の実家は遠距離にあり、お義母さんが介護を担っていたので、常時の介護ではなかったのですが、折をみてはお義母さんを助けるために、戸田さんはご主人の実家に赴いて介護に当たったのでした。
こうした介護体験を重ねるうちに、戸田さんは専門職の介護を学ぶことに関心が向うようになります。それは、「専門的な知識と技術を身に付ければ、少しでもお義母さんの介護が楽になり、またお義父さんもより快適に自宅での生活が送れるようになるのでは」との思いがあってのことでした。折りしも新聞の広告欄に、地元の自治体が設立した社会福祉法人が、3級ヘルパー講習を開催するとの案内が掲載されていました。3級のヘルパーは家事が中心です。しかし、その知識だけでは義父の介護に役立ちません。団体の登録ヘルパーとなったことで、身体介護も含む2級ヘルパー講習を受講し、仕事として実際の介護に関わるなかで、戸田さんは様々な体験を通して介護のノウハウを学びとり、お義父さんの介護にも役立つことが多くなっていきました。
ご紹介する戸田恵子さんは、コーラスを趣味に主婦として家庭での役割を大切にしながら、行政が設立した社会福祉法人が運営する訪問介護事業所において、訪問介護員の仕事に就いている方です。
戸田さんが介護の仕事についたのには、次のようなわけがありました。それは戸田さんが結婚して間もない頃のこと、ご主人の両親の実家に結婚後初めての挨拶に出かけ、親族が集まっての宴の最中に、お義父さんが脳溢血で倒れてしまい、要介護状態に陥ったのでした。ご主人の実家は遠距離にあり、お義母さんが介護を担っていたので、常時の介護ではなかったのですが、折をみてはお義母さんを助けるために、戸田さんはご主人の実家に赴いて介護に当たったのでした。
こうした介護体験を重ねるうちに、戸田さんは専門職の介護を学ぶことに関心が向うようになります。それは、「専門的な知識と技術を身に付ければ、少しでもお義母さんの介護が楽になり、またお義父さんもより快適に自宅での生活が送れるようになるのでは」との思いがあってのことでした。折りしも新聞の広告欄に、地元の自治体が設立した社会福祉法人が、3級ヘルパー講習を開催するとの案内が掲載されていました。3級のヘルパーは家事が中心です。しかし、その知識だけでは義父の介護に役立ちません。団体の登録ヘルパーとなったことで、身体介護も含む2級ヘルパー講習を受講し、仕事として実際の介護に関わるなかで、戸田さんは様々な体験を通して介護のノウハウを学びとり、お義父さんの介護にも役立つことが多くなっていきました。
義父の介護を支援したいと、介護福祉士資格に挑戦する
戸田さんの介護への思いは、お義父さんの介護をより良いものにしたいとの気持ちが背景にあります。介護保険制度が始まり、介護はケアプランを作成して、それに基づいて各サービスが展開される形に変わりました。そこで、「お義父さんの介護のためには自分自身でケアプランを立て、それによってお義父さんもお義母さんも楽になってほしい」と考えるようになりました。マイケアプランは誰でも作成できるわけですが、戸田さんは、制度をよく知って、なおかつより良い介護サービスとなるようにするには、介護支援専門員の勉強をすることが必要だと考えました。「それには資格をとって、専門職としてプランを提示してあげたい」、そんな思いが強くなっていったのです。
さて、介護支援専門員資格を取得するには、戸田さんの場合ですと、介護福祉士の資格が前提となります。そこで戸田さんは介護福祉士資格を取るために勉強を始めたのでした。
誰しもそうですが、試験勉強をするのは戸田さんにとっても学校を出て以来のことです。そもそも勉強するという姿勢ができていないので、戸田さんは自分で自分を律しながら作っていくことが難しく感じました。そこで他力本願で、介護福祉士資格取得のための通信講座に申し込みました。これは送られてきたテキストを読み込み、決められた期限で問題を解いて送付しては添削してもらうということを繰り返していくものです。
戸田さんは、毎回、確実に期限を守って提出し、添削による指摘箇所については、テキストに戻って学習をし直すという勉強スタイルを作っていきました。
通信講座での学習は、出題頻度なども加味されたものですので、しっかりと勉強していくと確実に力がつきました。戸田さんはさらに、特に暗記をしないとならない科目については、「必ず書き出して覚える」ことを習慣づけました。書き出す先はノートや、たまたま手元にあった広告の裏までに及び、とにかく、せっせと書き出しては整理することに徹したのでした。
また、数多くの問題に接して出題に慣れるために、過去問題集を購入しました。そして秋になると、所属団体が開催してくれた筆記試験の模擬試験を受けました。これは、それまでの勉強の成果を確認するためのものです。また、多くの受験生の中で問題を解くという、実際の試験の雰囲気に慣れるといった意味合いもありました。
戸田さんは、受験するということを家族以外の周囲の人には話していませんでした。もし落ちたら恥ずかしいといった気持ちがあって、全くの独学となっていました。ですから勉強の仕方、出題に関する情報交換といったこともせず、ひたすら通信講座の添削と過去問題集を解くことに専念したのでした。通信講座では、制度の変更があると、解説をつけて紹介してくれましたので、それがまた勉強に結びつきました。
さて、介護支援専門員資格を取得するには、戸田さんの場合ですと、介護福祉士の資格が前提となります。そこで戸田さんは介護福祉士資格を取るために勉強を始めたのでした。
誰しもそうですが、試験勉強をするのは戸田さんにとっても学校を出て以来のことです。そもそも勉強するという姿勢ができていないので、戸田さんは自分で自分を律しながら作っていくことが難しく感じました。そこで他力本願で、介護福祉士資格取得のための通信講座に申し込みました。これは送られてきたテキストを読み込み、決められた期限で問題を解いて送付しては添削してもらうということを繰り返していくものです。
戸田さんは、毎回、確実に期限を守って提出し、添削による指摘箇所については、テキストに戻って学習をし直すという勉強スタイルを作っていきました。
通信講座での学習は、出題頻度なども加味されたものですので、しっかりと勉強していくと確実に力がつきました。戸田さんはさらに、特に暗記をしないとならない科目については、「必ず書き出して覚える」ことを習慣づけました。書き出す先はノートや、たまたま手元にあった広告の裏までに及び、とにかく、せっせと書き出しては整理することに徹したのでした。
また、数多くの問題に接して出題に慣れるために、過去問題集を購入しました。そして秋になると、所属団体が開催してくれた筆記試験の模擬試験を受けました。これは、それまでの勉強の成果を確認するためのものです。また、多くの受験生の中で問題を解くという、実際の試験の雰囲気に慣れるといった意味合いもありました。
戸田さんは、受験するということを家族以外の周囲の人には話していませんでした。もし落ちたら恥ずかしいといった気持ちがあって、全くの独学となっていました。ですから勉強の仕方、出題に関する情報交換といったこともせず、ひたすら通信講座の添削と過去問題集を解くことに専念したのでした。通信講座では、制度の変更があると、解説をつけて紹介してくれましたので、それがまた勉強に結びつきました。
筆記試験より実技試験
戸田さんが受験した当時は、まだ介護技術講習会はなく、筆記試験の合格通知が届くと、2次の実技試験に臨まないとなりませんでした。戸田さんは、実技試験対策のための参考書を購入し、それによって実技試験で問われるポイントを確認していきました。実技試験では、介助者が介助をしていく際に、これから何を行うのか、声かけをして利用者の合意、納得を得て介助動作に入ります。このポイントを外してしまう受験生が多く、それで不合格になることがしばしばです。戸田さんは、参考書でその点をしっかりと確認し、家族にモデルになってもらい、過去問題を実際にやってみました。また、所属団体でも実技試験対策の講座を設けてくれていたので、それも受講しました。
試験が実際と異なることは当然なのですが、しかし、いきなり本番に臨むと戸惑いがあるものです。「実際の利用者は、声をかければ表情がありますし、声の出せる人は、感情を交えて対応します。しかし、試験会場のモデルは、頷きはしますが無表情です。特段の反応を返してはきません」と戸田さん。ですから、受験生はそこで「独演をする」といった気持ちで、一つひとつのポイントを外さないように、演技をし続けないとなりません。このとき、気持ちが上ずってしまい、どうしても演技に徹し切れないといった人もいるようです。
本番の試験では、戸田さんは声かけはクリアできたのでしたが、ポータブルトイレの蓋を閉め忘れて演技を終えてしまったそうです。「実際の訪問介護では、汚物の臭いがするので蓋をしないわけにいかずに、それと意識していなくとも自然に蓋をしている」のです。しかし試験会場では、環境が後押ししてくれることはありません。受験者が意識して動作を作っていかないとなりません。この意識して取り組むという姿勢は、普段は見落としがちな仕事への観点を教えているのかもしれません。受験するということは、そうした意識付けを確認することになるのかもしれません。
戸田さんは、1回の受験で合格を果たしました。振り返ってみて、独学で勉強するならば、通信講座を利用するのは有意義ではといいます。また模擬試験を受けるとか、実技試験対策に演技の仕方を学ぶことも大切だと感じています。
試験が実際と異なることは当然なのですが、しかし、いきなり本番に臨むと戸惑いがあるものです。「実際の利用者は、声をかければ表情がありますし、声の出せる人は、感情を交えて対応します。しかし、試験会場のモデルは、頷きはしますが無表情です。特段の反応を返してはきません」と戸田さん。ですから、受験生はそこで「独演をする」といった気持ちで、一つひとつのポイントを外さないように、演技をし続けないとなりません。このとき、気持ちが上ずってしまい、どうしても演技に徹し切れないといった人もいるようです。
本番の試験では、戸田さんは声かけはクリアできたのでしたが、ポータブルトイレの蓋を閉め忘れて演技を終えてしまったそうです。「実際の訪問介護では、汚物の臭いがするので蓋をしないわけにいかずに、それと意識していなくとも自然に蓋をしている」のです。しかし試験会場では、環境が後押ししてくれることはありません。受験者が意識して動作を作っていかないとなりません。この意識して取り組むという姿勢は、普段は見落としがちな仕事への観点を教えているのかもしれません。受験するということは、そうした意識付けを確認することになるのかもしれません。
戸田さんは、1回の受験で合格を果たしました。振り返ってみて、独学で勉強するならば、通信講座を利用するのは有意義ではといいます。また模擬試験を受けるとか、実技試験対策に演技の仕方を学ぶことも大切だと感じています。
その後の戸田さん
戸田さんは、介護福祉士資格を取得した翌年、今度は介護支援専門員資格も取得し、念願のお義父さんのケアプランを作成しました。これらの専門性をもった勉強の成果もあって、「お義父さんの状態が急変して戸惑いの電話がお義母さんからかかってきても、落ち着いて話を聞き、必要ならば出かけて、医師にも的確にお義父さんの状態を伝えることができるようになった」といいます。
そのお義父さんも、お義母さんが高齢になり自宅での介護が困難になって、最近、近くの特養に入所しました。特養に入所してからも、たまには外泊として自宅に戻ってもらい、お義母さんとの団欒を楽しんでもらうようにしているとのこと。生きることへの温かい視点が、こうした対応を生み出しているのだと思います。30年の長きに渡るお義父さんの介護ですが、そのことを通じて多くの学びを得たと戸田さん。介護をマイナスにしないためにも、専門性を得たことが役に立ったのではないでしょうか。
(戸田さんは、介護支援専門員の資格は取得しましたが、その資格を仕事で利用してはいません。あくまでお義父さんのケアプランを立てるためにのみの資格で、職場では訪問介護員です)
そのお義父さんも、お義母さんが高齢になり自宅での介護が困難になって、最近、近くの特養に入所しました。特養に入所してからも、たまには外泊として自宅に戻ってもらい、お義母さんとの団欒を楽しんでもらうようにしているとのこと。生きることへの温かい視点が、こうした対応を生み出しているのだと思います。30年の長きに渡るお義父さんの介護ですが、そのことを通じて多くの学びを得たと戸田さん。介護をマイナスにしないためにも、専門性を得たことが役に立ったのではないでしょうか。
(戸田さんは、介護支援専門員の資格は取得しましたが、その資格を仕事で利用してはいません。あくまでお義父さんのケアプランを立てるためにのみの資格で、職場では訪問介護員です)