13万人を超える受験者の中から晴れて介護福祉士になった皆さんに、仕事をしながら勉強を続けるコツや効果的な勉強法、受験を仕事に活かす展望についてうかがいました。
第21回 林 和代さん
訪問介護事業所 主任サービス提供責任者
林さんが使った参考書
介護福祉士養成講座
中央法規出版
中央法規出版
介護福祉士国家試験過去問題解説集
成美堂出版
成美堂出版
林さんの合格までの道のり
訪問介護事業所で介護の専門性を考える
今回ご登場いただくのは、訪問介護事業所でサービス提供責任者の立場にある、林和代さんです。林さんは、一昨年、介護福祉士の資格を取得したのですが、訪問介護員としての活動のなかで、資格の必要性を様々に感じたことが、資格取得を志したきっかけでした。
●バラバラな介護であってはいけない
林さんは、大学卒業後、大手の大規模小売店に就職しました。しかし結婚と出産を機に退職。子育ても一段落して落ち着いてきた頃に、実家の父が要介護の状態になりました。林さんが直接介護に当たることはなかったのですが、介護の仕事はやりがいがあるのでは、また自分も介護を勉強しておけば役に立つことも多いのではと、ヘルパー2級の講習を受けたのでした。それが介護の仕事に関わるきっかけでした。講習を主催した事業所で、そのまま働くことになったのです。
林さんが最初に勤めたところは、訪問介護では大手の事業所で、多くのヘルパーさんたちが介護の仕事に従事していました。しかし携わってみると、いろいろな疑問が生まれました。最も課題と感じたのは、訪問介護計画が立てられ、それに基づいてそれぞれのヘルパーが訪問し介護しているわけですが、一人の利用者さんに対応するのに、各ヘルパーの介護はバラバラでした。そのため、「前に来た人はこうした、ああした」と、利用者や家族から苦情とはいかないまでも、それに近い小言を聞くことが多く、こうした状態を改善できないかと職場のサービス提供責任者に相談したところ、それはあなたの仕事ではないと、聞き入れてもらえなかったと言います。
介護は、ケアプランに基づいて、たとえ何人かのヘルパーが関わることになったとしても、基本的な介護の仕方は統一されていることが大切です。人と人との相性といったことは、どうしても避けられないものですが、それを超えた「専門性にもとづいた介護ができてこそ、職業としての介護ではないか」、林さんはそのことを強く感じました。
介護の専門性とはどういったことか、もっと学んでみたいと、林さんはヘルパー1級の講習を受けます。1級ではさまざまな介護の場での研修があり、また受講生が集まって介護についてのディスカッションをするなど、介護の理念とその実現について、多くのことを学ぶことができました。周囲からは「どうせなら介護福祉士の資格を取ったらよいのに」、と言われたそうですが、1級講習を受けたことは勉強するという本質的な姿勢を培ってくれたと、林さんは講習のあり方を大切に感じていました。
しかし、職場のあり様に変化はなく、そんなとき友人から訪問介護の事業所を手伝って欲しいと頼まれ、所長さんと意見が合ったことから、現在の職場で働くこととなったのでした。
林さんは、すぐにサービス提供責任者としてヘルパーさんたちを管理する立場を任されます。林さんのサービス提供責任者としてのスタンスは、利用者をいつも身近に感じながら、ヘルパーさんたちがそれぞれの利用者さんに対応するのに、いかに専門性にもとづいて統一のとれた介護を提供できるか、そしてそれぞれの持ち味をも大切にしながら介護していくことができるか、そこをアドバイスしていくことでした。
林さんとしては、1級講習を受けてそれなりの理論的な裏づけをもって話すことはできても、まだまだ指導していく立場としては力不足を感じました。利用者さん家族も、国家資格をもった専門職というと、話を受け入れる態度が明らかに異なるのでした。またサービス提供責任者としてケアマネジャーとの対応するときも、有資格者であるのとないのとでは、対応に違いがあることを感じていました。そこで、林さんは介護福祉士資格を取得することにしたのでした。
●バラバラな介護であってはいけない
林さんは、大学卒業後、大手の大規模小売店に就職しました。しかし結婚と出産を機に退職。子育ても一段落して落ち着いてきた頃に、実家の父が要介護の状態になりました。林さんが直接介護に当たることはなかったのですが、介護の仕事はやりがいがあるのでは、また自分も介護を勉強しておけば役に立つことも多いのではと、ヘルパー2級の講習を受けたのでした。それが介護の仕事に関わるきっかけでした。講習を主催した事業所で、そのまま働くことになったのです。
林さんが最初に勤めたところは、訪問介護では大手の事業所で、多くのヘルパーさんたちが介護の仕事に従事していました。しかし携わってみると、いろいろな疑問が生まれました。最も課題と感じたのは、訪問介護計画が立てられ、それに基づいてそれぞれのヘルパーが訪問し介護しているわけですが、一人の利用者さんに対応するのに、各ヘルパーの介護はバラバラでした。そのため、「前に来た人はこうした、ああした」と、利用者や家族から苦情とはいかないまでも、それに近い小言を聞くことが多く、こうした状態を改善できないかと職場のサービス提供責任者に相談したところ、それはあなたの仕事ではないと、聞き入れてもらえなかったと言います。
介護は、ケアプランに基づいて、たとえ何人かのヘルパーが関わることになったとしても、基本的な介護の仕方は統一されていることが大切です。人と人との相性といったことは、どうしても避けられないものですが、それを超えた「専門性にもとづいた介護ができてこそ、職業としての介護ではないか」、林さんはそのことを強く感じました。
介護の専門性とはどういったことか、もっと学んでみたいと、林さんはヘルパー1級の講習を受けます。1級ではさまざまな介護の場での研修があり、また受講生が集まって介護についてのディスカッションをするなど、介護の理念とその実現について、多くのことを学ぶことができました。周囲からは「どうせなら介護福祉士の資格を取ったらよいのに」、と言われたそうですが、1級講習を受けたことは勉強するという本質的な姿勢を培ってくれたと、林さんは講習のあり方を大切に感じていました。
しかし、職場のあり様に変化はなく、そんなとき友人から訪問介護の事業所を手伝って欲しいと頼まれ、所長さんと意見が合ったことから、現在の職場で働くこととなったのでした。
林さんは、すぐにサービス提供責任者としてヘルパーさんたちを管理する立場を任されます。林さんのサービス提供責任者としてのスタンスは、利用者をいつも身近に感じながら、ヘルパーさんたちがそれぞれの利用者さんに対応するのに、いかに専門性にもとづいて統一のとれた介護を提供できるか、そしてそれぞれの持ち味をも大切にしながら介護していくことができるか、そこをアドバイスしていくことでした。
林さんとしては、1級講習を受けてそれなりの理論的な裏づけをもって話すことはできても、まだまだ指導していく立場としては力不足を感じました。利用者さん家族も、国家資格をもった専門職というと、話を受け入れる態度が明らかに異なるのでした。またサービス提供責任者としてケアマネジャーとの対応するときも、有資格者であるのとないのとでは、対応に違いがあることを感じていました。そこで、林さんは介護福祉士資格を取得することにしたのでした。
林さんの受験勉強
●養成講座を読破
林さんの受験勉強は、ただ有資格者という名目があればよいというものではありませんでした。それは林さんの性分なのでしょうか、福祉士と名乗る以上はそれなりの専門性を身につけている必要があるから、それにはしっかりと勉強しないとならないと、まずは介護福祉士養成施設で使われている全15巻のテキストを購入したのです。そしてそれを1冊ずつ読み解いていくことにしたのでした。問題集などは、そうした勉強の成果を確かめるものと考え、まずはこのテキストの読破を受験勉強の中心に据えました。
15巻のテキスト購入は一度にかなりの出費となりますが、大手の資格取得の通信講座の経費と比較してみると、こちらのほうが割安です。ただ、添削指導などはなく、あくまで独学となるので、それだけに気合を入れて臨まないと、折角の出費が無駄になってしまいます。
とはいっても受験の申し込みをする直前になって始めたことでしたので、1冊ずつ読み込んでの学習には計画性がないと、試験に間に合いません。それにはいかに勉強時間を捻出するかが課題でした。
多くの方がそうだと思いますが、仕事を終えて帰宅してから、家事もこなしながら夜間に勉強する、というのは容易なことではありません。仕事の疲れも出てきますし、睡魔に打ち勝って効率よく勉強するというのも、なかなか困難です。そこで林さんは、朝早く起きて1時間から2時間を読書に費やすことに決めたのでした。朝はお子さんのお弁当も作らないとなりません。7時半には家を出ます。それでも1日に50頁は読み進めると決めて、毎日欠かさずテキストを開きました。
土日はもっと多くの時間が取れはしましたが、土日は家事が溜まります。それらをこなしていると、実質的な勉強時間は「3時間程度だったのでは」と林さん。こうして11月の終わりまでは、テキストの読み込みに専念したのでした。
林さんの場合、ヘルパー1級講習を受け、また日々の仕事で介護保険制度については勉強していないとやっていけません。また職場でも月に1回、制度の勉強会を開いてスタッフへの周知を図っていたため、制度改正などがあるとその部分についてはよく覚えていました。
介護技術については、それが仕事ですからいかに理論的な裏づけを身につけるか、また自分が日々行っている介護方法でよいのか、これらはテキストを読み込むことで、確認しながら勉強ができます。しかし介護保険以外の制度やまた福祉の歴史や功労者とその業績などといったことは、なかなか覚えるのが大変でした。こればかりは一度テキストを読んだだけでは身につきません。テキストにそうした内容が書かれていたことは覚えていても、問題を解くとなると別のことです。
これらの科目と合わせて、家政学というジャンルもまた課題の多い科目でした。主婦として実際に家政を担っているため、日々の生活の中で培った経験から判断が進んでしまい、その知識が偏っていたり誤っていても、そのことに気付きにくいのです。これらの弱点が明確になった段階で、林さんは過去5年間の国家試験の問題が載っている試験問題の解説集を購入し、12月に入ってからは、問題を解くことで知識の裏づけを図っていきました。
12月から問題集に取り組むというのは、かなり遅いスタートです。しかしその分、真剣に、充実した勉強をこなしたのでしょう。わずか2か月ほどの間で、林さんは5回も問題集を繰り返して勉強したといいます。繰り返し解いてみると、自分が迷う問題は大抵同じところだったりしました。自分の苦手とする分野でこうした傾向があることもつかめました。また、過去の問題を解いていくと、一定範囲の知識が形を変えて繰り返し問われていることにも気付きました。それに加えて制度改正などがあると新しい知識が試されるといったパターンもあります。林さんはただ問題を解くだけでなく、分からない場合には養成テキストに戻って確かめたり、また1級講習のテキストを取り出して確認したりといったこともしました。
1月に入って、職場でその年に受験する仲間が集まって、仕事を終えた夜間に勉強会を4回ほど行いました。所長さんが出題者になり、皆が苦手な科目で出題されそうな問題を解いたのでした。これも直前の短期間での学習として効果的だったようです。
また、実際の試験時間に合わせて、問題を解く練習もしてみました。どのくらいのペースで問題が解けるのか、見直す時間はあるのか、予め時間配分などを考えておけば、いざというときに役立つと考えたからでした。やってみると多少の余裕はありそうです。林さんは、ある程度は自信をもって1次試験に臨むことができたのでした。
●一次試験に合格したものの
筆記試験当日は、午前の試験の筆頭にくる社会福祉概論にまず、じっくりと取り組むことにしました。これは苦手科目の一つですので、ここを抑えておけば、他の科目はそれなりにこなしていけるのではと考えました。午後の試験は技術系の問題が多いので、この分野で取りこぼすことはあまりないとの想定でした。そして最後まで、記載の間違いがないかなども確かめ、時間一杯問題を解くことに専念したとのことです。
試験終了後、受験した仲間同士で正解を確認しあったのですが、およそ80点くらいはとれたのではとの感触でした。しかし2月の発表までは疑心暗鬼の日々でした。
林さんの思惑どおりだったかは分かりませんが、1次試験は見事に合格しました。しかし2次の実技試験が落とし穴になってしまいました。自分ではそれなりに出来たつもりでいたのでしたが、ポイントを外してしまったようです。残念な結果に終わってしまったのですが、これで資格取得を諦めることはできません。林さんは、すぐに翌年の再受験を目指すことにしました。
●介護技術講習会を受講
林さんは周囲の勧めもあって、次回の受験では実技試験免除となる介護技術講習会を受けることにしました。ですが申し込むのが遅れ、受講できたのは11月になってからでした。しかしそれが幸いし、講習内容がとても良く記憶に残り、また講師の先生も受験を意識して出題されやすい課題などを示してくれたので、技術系の問題についてはかなりの備えができました。
「技術講習会は、受験のためだけでなく、介護技術そのものの勉強としても大変に意義がある」と林さん。現業のスタッフは、こうした技術の勉強をして研鑽する機会がそうは持てません。ですから受験のためではあっても、専門家による講習は大変に有意義だったと言います。
さて、再度のチャレンジとなった翌年の1次試験でしたが、さらに1年をかけて勉強したので万全の態勢で臨めたかというと、知識が豊富になった分、様々な事柄を考えるようになって、かえって答えに迷うことが多くなってしまったと林さんは言います。できなかったり迷ったりした問題に意識が向けられるようになり、それが自信を揺るがせてしまうのでしょう。3月の発表までの時間が長く感じられ、合格通知が届いたときには、とても安堵したとのことでした。
林さんの受験勉強は、ただ有資格者という名目があればよいというものではありませんでした。それは林さんの性分なのでしょうか、福祉士と名乗る以上はそれなりの専門性を身につけている必要があるから、それにはしっかりと勉強しないとならないと、まずは介護福祉士養成施設で使われている全15巻のテキストを購入したのです。そしてそれを1冊ずつ読み解いていくことにしたのでした。問題集などは、そうした勉強の成果を確かめるものと考え、まずはこのテキストの読破を受験勉強の中心に据えました。
15巻のテキスト購入は一度にかなりの出費となりますが、大手の資格取得の通信講座の経費と比較してみると、こちらのほうが割安です。ただ、添削指導などはなく、あくまで独学となるので、それだけに気合を入れて臨まないと、折角の出費が無駄になってしまいます。
とはいっても受験の申し込みをする直前になって始めたことでしたので、1冊ずつ読み込んでの学習には計画性がないと、試験に間に合いません。それにはいかに勉強時間を捻出するかが課題でした。
多くの方がそうだと思いますが、仕事を終えて帰宅してから、家事もこなしながら夜間に勉強する、というのは容易なことではありません。仕事の疲れも出てきますし、睡魔に打ち勝って効率よく勉強するというのも、なかなか困難です。そこで林さんは、朝早く起きて1時間から2時間を読書に費やすことに決めたのでした。朝はお子さんのお弁当も作らないとなりません。7時半には家を出ます。それでも1日に50頁は読み進めると決めて、毎日欠かさずテキストを開きました。
土日はもっと多くの時間が取れはしましたが、土日は家事が溜まります。それらをこなしていると、実質的な勉強時間は「3時間程度だったのでは」と林さん。こうして11月の終わりまでは、テキストの読み込みに専念したのでした。
林さんの場合、ヘルパー1級講習を受け、また日々の仕事で介護保険制度については勉強していないとやっていけません。また職場でも月に1回、制度の勉強会を開いてスタッフへの周知を図っていたため、制度改正などがあるとその部分についてはよく覚えていました。
介護技術については、それが仕事ですからいかに理論的な裏づけを身につけるか、また自分が日々行っている介護方法でよいのか、これらはテキストを読み込むことで、確認しながら勉強ができます。しかし介護保険以外の制度やまた福祉の歴史や功労者とその業績などといったことは、なかなか覚えるのが大変でした。こればかりは一度テキストを読んだだけでは身につきません。テキストにそうした内容が書かれていたことは覚えていても、問題を解くとなると別のことです。
これらの科目と合わせて、家政学というジャンルもまた課題の多い科目でした。主婦として実際に家政を担っているため、日々の生活の中で培った経験から判断が進んでしまい、その知識が偏っていたり誤っていても、そのことに気付きにくいのです。これらの弱点が明確になった段階で、林さんは過去5年間の国家試験の問題が載っている試験問題の解説集を購入し、12月に入ってからは、問題を解くことで知識の裏づけを図っていきました。
12月から問題集に取り組むというのは、かなり遅いスタートです。しかしその分、真剣に、充実した勉強をこなしたのでしょう。わずか2か月ほどの間で、林さんは5回も問題集を繰り返して勉強したといいます。繰り返し解いてみると、自分が迷う問題は大抵同じところだったりしました。自分の苦手とする分野でこうした傾向があることもつかめました。また、過去の問題を解いていくと、一定範囲の知識が形を変えて繰り返し問われていることにも気付きました。それに加えて制度改正などがあると新しい知識が試されるといったパターンもあります。林さんはただ問題を解くだけでなく、分からない場合には養成テキストに戻って確かめたり、また1級講習のテキストを取り出して確認したりといったこともしました。
1月に入って、職場でその年に受験する仲間が集まって、仕事を終えた夜間に勉強会を4回ほど行いました。所長さんが出題者になり、皆が苦手な科目で出題されそうな問題を解いたのでした。これも直前の短期間での学習として効果的だったようです。
また、実際の試験時間に合わせて、問題を解く練習もしてみました。どのくらいのペースで問題が解けるのか、見直す時間はあるのか、予め時間配分などを考えておけば、いざというときに役立つと考えたからでした。やってみると多少の余裕はありそうです。林さんは、ある程度は自信をもって1次試験に臨むことができたのでした。
●一次試験に合格したものの
筆記試験当日は、午前の試験の筆頭にくる社会福祉概論にまず、じっくりと取り組むことにしました。これは苦手科目の一つですので、ここを抑えておけば、他の科目はそれなりにこなしていけるのではと考えました。午後の試験は技術系の問題が多いので、この分野で取りこぼすことはあまりないとの想定でした。そして最後まで、記載の間違いがないかなども確かめ、時間一杯問題を解くことに専念したとのことです。
試験終了後、受験した仲間同士で正解を確認しあったのですが、およそ80点くらいはとれたのではとの感触でした。しかし2月の発表までは疑心暗鬼の日々でした。
林さんの思惑どおりだったかは分かりませんが、1次試験は見事に合格しました。しかし2次の実技試験が落とし穴になってしまいました。自分ではそれなりに出来たつもりでいたのでしたが、ポイントを外してしまったようです。残念な結果に終わってしまったのですが、これで資格取得を諦めることはできません。林さんは、すぐに翌年の再受験を目指すことにしました。
●介護技術講習会を受講
林さんは周囲の勧めもあって、次回の受験では実技試験免除となる介護技術講習会を受けることにしました。ですが申し込むのが遅れ、受講できたのは11月になってからでした。しかしそれが幸いし、講習内容がとても良く記憶に残り、また講師の先生も受験を意識して出題されやすい課題などを示してくれたので、技術系の問題についてはかなりの備えができました。
「技術講習会は、受験のためだけでなく、介護技術そのものの勉強としても大変に意義がある」と林さん。現業のスタッフは、こうした技術の勉強をして研鑽する機会がそうは持てません。ですから受験のためではあっても、専門家による講習は大変に有意義だったと言います。
さて、再度のチャレンジとなった翌年の1次試験でしたが、さらに1年をかけて勉強したので万全の態勢で臨めたかというと、知識が豊富になった分、様々な事柄を考えるようになって、かえって答えに迷うことが多くなってしまったと林さんは言います。できなかったり迷ったりした問題に意識が向けられるようになり、それが自信を揺るがせてしまうのでしょう。3月の発表までの時間が長く感じられ、合格通知が届いたときには、とても安堵したとのことでした。
後輩の育成に勉強会の指導者を務める
いま、林さんの職場では、新たに受験に臨むヘルパーさんたちに、林さんが講師となって出題をしたりして勉強会を行っています。試験は5択ですので、なぜこの選択肢が正しく、これは間違っているのか、それを解説するといった勉強の進め方です。それがまた林さん自身の勉強にもなって、さらに知識が充実していくとのことでした。
介護福祉士の試験は出題範囲が広く、介護の様々な要素を学ぶことになります。それは仕事に結びついた知識となって、やがては介護の専門性の確立につながっていくのでしょう。林さんのように、介護の専門性を求めて資格を取るといった姿勢があれば、受験勉強は仕事そのものにも大いに役立つことでしょう。ただ問題集を解くのではなく、皆さんも、養成講座といったテキストで勉強してみてはどうでしょうか。介護の理念を確かなものとするとき、受験することの意味合いも変わってくるのではと思います。
介護福祉士の試験は出題範囲が広く、介護の様々な要素を学ぶことになります。それは仕事に結びついた知識となって、やがては介護の専門性の確立につながっていくのでしょう。林さんのように、介護の専門性を求めて資格を取るといった姿勢があれば、受験勉強は仕事そのものにも大いに役立つことでしょう。ただ問題集を解くのではなく、皆さんも、養成講座といったテキストで勉強してみてはどうでしょうか。介護の理念を確かなものとするとき、受験することの意味合いも変わってくるのではと思います。