13万人を超える受験者の中から晴れて介護福祉士になった皆さんに、仕事をしながら勉強を続けるコツや効果的な勉強法、受験を仕事に活かす展望についてうかがいました。
第20回 夏目善史さん
特養 介護主任
夏目さんが使った参考書
介護福祉士養成講座
中央法規出版
中央法規出版
介護福祉士国家試験過去問題解説集
中央法規出版
中央法規出版
介護福祉士受験対策講座
ユーキャン
ユーキャン
夏目さんの合格までの道のり
特養での環境といった介護の背景
特養という施設は、往々にして、管理・監視的な意図からその建物構造が決められてしまっているといったところがあります。そのため、自分の居場所といった感覚をもてずに、徘徊などが顕著となるなど、介護する側にとっても辛い環境で働かざるをえない、といったところがあります。
今回ご紹介するのは、こうした構造的な課題に果敢に取り組んだ特養で、介護主任をされている夏目善史さんです。この施設に入職した当時は、全体が見渡せない構造に戸惑うこともあったと言いますが、慣れてくるとかえって職員自身も落ち着けるとのこと。願って転職をした夏目さんにとっても、職場の環境は大事な要素となっているようです。
夏目さんは、この施設の開設時の職員募集で介護の仕事に携わるようになりました。それまでは自動車業界の製作部門の会社で総務・経理の仕事をしていたのだそうです。しかし、数字が中心の仕事よりも人との出会いや関わることの面白さに憧れ、お祖父さんが老健を利用していたことで介護の職場を知るようになり、こうした仕事に就いてみたいと、ヘルパー2級の講習を受けたのでした。そんな折、新規開設の募集があり、この施設に応募しました。面接のときにも、経理の仕事もあると問われたのだそうですが、夏目さんは介護職を希望して採用となりました。
今回ご紹介するのは、こうした構造的な課題に果敢に取り組んだ特養で、介護主任をされている夏目善史さんです。この施設に入職した当時は、全体が見渡せない構造に戸惑うこともあったと言いますが、慣れてくるとかえって職員自身も落ち着けるとのこと。願って転職をした夏目さんにとっても、職場の環境は大事な要素となっているようです。
夏目さんは、この施設の開設時の職員募集で介護の仕事に携わるようになりました。それまでは自動車業界の製作部門の会社で総務・経理の仕事をしていたのだそうです。しかし、数字が中心の仕事よりも人との出会いや関わることの面白さに憧れ、お祖父さんが老健を利用していたことで介護の職場を知るようになり、こうした仕事に就いてみたいと、ヘルパー2級の講習を受けたのでした。そんな折、新規開設の募集があり、この施設に応募しました。面接のときにも、経理の仕事もあると問われたのだそうですが、夏目さんは介護職を希望して採用となりました。
夏目さんと介護福祉士資格
●夏目さんの資格取得の動機
以来8年の歳月が流れ、いま夏目さんは主任として介護職員を統括していますが、介護現場を一から作り上げていった経験とともに、次第に管理する立場となっていったことが、夏目さんの資格取得への一つの動機ともなりました。
いま特養には養成校の出身者が増える傾向にあります。夏目さんの職場でも、新人としての入職ではあっても、学校で介護を学び介護福祉士の資格を取得して入ってくるスタッフが大勢います。夏目さんは入職して3年目にはユニットリーダーの立場にありました。職場での経験は重ねていても、体系だった教育を受けてきたわけではないので、先輩としてもしっかりとした理論的な背景をもった指導をしていきたいと、介護福祉士資格の取得を目指すことにしたのでした。
●夏目さんの受験対策
夏目さんの施設は、医療法人が母体となっていて、各職場のワーカーさんに向けて法人として資格取得のための研修会なども行われているのだそうですが、夏目さんは仕事の都合がつけづらく、そのために独学での学習となったとのこと。04年の8月に、試験センターに申し込むと、早速受験勉強の体制を組むこととしました。
しかし、どう勉強を進めていけばよいのかは、模索しながらの取り組みです。一人での学習ですし、仕事の合間を縫っての勉強ですから、どうしても家に帰ってからとか、勉強時間は曖昧になりやすくなります。夜になれば疲れも出てきますし、眠気を催したまま受験参考書など開いていても、学習効果は知れています。「頁を追っていても、少しも内容が頭に残らないことが数回あった」と夏目さん。
また、一度に根を詰めて時間を割いても、それが効果的とも限りません。長続きしなければ、どうしても知識はあやふやなままになってしまいます。そこで、すでに資格取得した同僚たちに話しを聞くなどし、勉強の仕方を修正していきました。その間、およそ3か月ほどかかったとのこと。
自分に適した勉強の仕方なども考えた結果、短時間でも継続して学習できる体制にし、毎日15分から30分、朝なら出かける前に、昼なら昼食の後で、夜は入浴後のさっぱりしたときになど、ちょっとしたことの合間合間を使って、気軽な学習スタイルとしたのだそうです。また、勉強場所を工夫するのも効果的ではないかとのこと。家に居るときは普段は利用しないような場所や、あるいは図書館に出かけるなど、いつもと異なった雰囲気を作って自分自身のモチベーションを高めたのだそうです。これは効果が上がりそうです。
「とにかく、自分が夜型なのか昼型なのか、朝型なのか、自分のタイプを知ってより効果的な環境を作ってみるとよいのでは」と夏目さん。
●夏目さんの学習ペース作り
さて、夏目さんの使った参考書としては、まず介護福祉士養成の科目別のテキストがあります。ただ資格を取得すればよいといったことならば、問題集で数多くの問題を解けばよいのかもしれませんが、夏目さんの場合は、介護福祉士資格の受験勉強は、介護についての体系だった学習のためといった副次的な目的もありました。そこで何故こうした知識が求められるのか、その原理原則といった背景までも理解していたいとの思いもありました。
次いで、こうして学んだ知識の理解を確かめるために、介護福祉士国家試験の過去問題集に取り組みました。そのとき夏目さんが心がけたことは、ただ正解を得るのではなく、その問いがどのような知識を求めて出題されているのか、出題の背景、問われていることの意味を考えるということでした。それは学習効果を上げることにもなり、また自身の勉強にとっても有意義な取り組みでした。
独学で勉強していくには、ペース作りも課題です。そこでより効果的な受験対策としては、民間会社が提供している資格取得のための添削指導付きの受験講座がありました。これは受験学習のポイントが分かりやすく示されていて、さらに問題を解いては月1回の提出となっていて、回答結果を検討し、その人の弱点を指摘して今後の学習の指針を提示してくれるのだそうです。この添削指導は値段がそれなりにするのですが、「大変に有効だ」とのこと。
こうして夏目さんは、いつまでにどの教科を学ぶといった月単位の計画を立てられるようになり、苦手な科目の勉強の仕方や、得意な科目の漏れを無くすなどの補強といったことも対策として立てていきました。
●学習を確実にするためのポイント
多くの受験生に共通なのは、制度系と医学一般といった知識を詰め込まないとならない科目です。そこで単語帳を作成しては仕事の休みどきにそれを確認する、また知識を確実なものにするために、書き出して覚えることを繰り返したのだそうです。「書くということは、知識を整理し直すことにつながるので、理解するという訓練になる」と夏目さん。受験勉強ではありますが、ノートを作る人もいますし、夏目さんのように単語帳を作る人もいます。今年受験の申し込みを考えている人は、自分の勉強スタイルを考えて、自分に合った学習法をつかみ出すと良いですね。
試験当日、夏目さんは落ち着いて問題に向うことができました。またしっかりと問題を読み込み、得点を確実にするため、最後まで解答がこれでよいか、点検を惜しみませんでした。なお、受験会場へは電車、バスの乗り継ぎが多く、予想以上に時間がかかってしまったとのこと。事前の下見をしておくべきだったと反省しています。
●実技試験に臨む
夏目さんが受験した当時は、丁度、介護技術講習会が始まる前年でした。夏目さんは実技試験も受けたのですが、これは比較的ポイントが分かっていて、あいさつと笑顔を欠かさない、同意をしっかりと求めて確認する、落ち着いてゆったりとした気分で、といったことが肝心だと、先に受験した人のアドバイスを活かしました。特に、最初に部屋に入ってモデルとなる利用者のところに詰めるとき、その「立つ位置に気をつける」と、後は日々の実践がものを言うといった感じだそうです。そして言葉かけを確実に。
夏目さんは試験の終了後に一緒に受験した職場の仲間と、どのように行ったかを点検したのだそうですが、少々、落しがあったといった程度で、およそ合格ラインだとの感触は得たそうです。それでも通知が届くまでは、心配だったとのこと。合格証の重みをかみ締めたのでした。
以来8年の歳月が流れ、いま夏目さんは主任として介護職員を統括していますが、介護現場を一から作り上げていった経験とともに、次第に管理する立場となっていったことが、夏目さんの資格取得への一つの動機ともなりました。
いま特養には養成校の出身者が増える傾向にあります。夏目さんの職場でも、新人としての入職ではあっても、学校で介護を学び介護福祉士の資格を取得して入ってくるスタッフが大勢います。夏目さんは入職して3年目にはユニットリーダーの立場にありました。職場での経験は重ねていても、体系だった教育を受けてきたわけではないので、先輩としてもしっかりとした理論的な背景をもった指導をしていきたいと、介護福祉士資格の取得を目指すことにしたのでした。
●夏目さんの受験対策
夏目さんの施設は、医療法人が母体となっていて、各職場のワーカーさんに向けて法人として資格取得のための研修会なども行われているのだそうですが、夏目さんは仕事の都合がつけづらく、そのために独学での学習となったとのこと。04年の8月に、試験センターに申し込むと、早速受験勉強の体制を組むこととしました。
しかし、どう勉強を進めていけばよいのかは、模索しながらの取り組みです。一人での学習ですし、仕事の合間を縫っての勉強ですから、どうしても家に帰ってからとか、勉強時間は曖昧になりやすくなります。夜になれば疲れも出てきますし、眠気を催したまま受験参考書など開いていても、学習効果は知れています。「頁を追っていても、少しも内容が頭に残らないことが数回あった」と夏目さん。
また、一度に根を詰めて時間を割いても、それが効果的とも限りません。長続きしなければ、どうしても知識はあやふやなままになってしまいます。そこで、すでに資格取得した同僚たちに話しを聞くなどし、勉強の仕方を修正していきました。その間、およそ3か月ほどかかったとのこと。
自分に適した勉強の仕方なども考えた結果、短時間でも継続して学習できる体制にし、毎日15分から30分、朝なら出かける前に、昼なら昼食の後で、夜は入浴後のさっぱりしたときになど、ちょっとしたことの合間合間を使って、気軽な学習スタイルとしたのだそうです。また、勉強場所を工夫するのも効果的ではないかとのこと。家に居るときは普段は利用しないような場所や、あるいは図書館に出かけるなど、いつもと異なった雰囲気を作って自分自身のモチベーションを高めたのだそうです。これは効果が上がりそうです。
「とにかく、自分が夜型なのか昼型なのか、朝型なのか、自分のタイプを知ってより効果的な環境を作ってみるとよいのでは」と夏目さん。
●夏目さんの学習ペース作り
さて、夏目さんの使った参考書としては、まず介護福祉士養成の科目別のテキストがあります。ただ資格を取得すればよいといったことならば、問題集で数多くの問題を解けばよいのかもしれませんが、夏目さんの場合は、介護福祉士資格の受験勉強は、介護についての体系だった学習のためといった副次的な目的もありました。そこで何故こうした知識が求められるのか、その原理原則といった背景までも理解していたいとの思いもありました。
次いで、こうして学んだ知識の理解を確かめるために、介護福祉士国家試験の過去問題集に取り組みました。そのとき夏目さんが心がけたことは、ただ正解を得るのではなく、その問いがどのような知識を求めて出題されているのか、出題の背景、問われていることの意味を考えるということでした。それは学習効果を上げることにもなり、また自身の勉強にとっても有意義な取り組みでした。
独学で勉強していくには、ペース作りも課題です。そこでより効果的な受験対策としては、民間会社が提供している資格取得のための添削指導付きの受験講座がありました。これは受験学習のポイントが分かりやすく示されていて、さらに問題を解いては月1回の提出となっていて、回答結果を検討し、その人の弱点を指摘して今後の学習の指針を提示してくれるのだそうです。この添削指導は値段がそれなりにするのですが、「大変に有効だ」とのこと。
こうして夏目さんは、いつまでにどの教科を学ぶといった月単位の計画を立てられるようになり、苦手な科目の勉強の仕方や、得意な科目の漏れを無くすなどの補強といったことも対策として立てていきました。
●学習を確実にするためのポイント
多くの受験生に共通なのは、制度系と医学一般といった知識を詰め込まないとならない科目です。そこで単語帳を作成しては仕事の休みどきにそれを確認する、また知識を確実なものにするために、書き出して覚えることを繰り返したのだそうです。「書くということは、知識を整理し直すことにつながるので、理解するという訓練になる」と夏目さん。受験勉強ではありますが、ノートを作る人もいますし、夏目さんのように単語帳を作る人もいます。今年受験の申し込みを考えている人は、自分の勉強スタイルを考えて、自分に合った学習法をつかみ出すと良いですね。
試験当日、夏目さんは落ち着いて問題に向うことができました。またしっかりと問題を読み込み、得点を確実にするため、最後まで解答がこれでよいか、点検を惜しみませんでした。なお、受験会場へは電車、バスの乗り継ぎが多く、予想以上に時間がかかってしまったとのこと。事前の下見をしておくべきだったと反省しています。
●実技試験に臨む
夏目さんが受験した当時は、丁度、介護技術講習会が始まる前年でした。夏目さんは実技試験も受けたのですが、これは比較的ポイントが分かっていて、あいさつと笑顔を欠かさない、同意をしっかりと求めて確認する、落ち着いてゆったりとした気分で、といったことが肝心だと、先に受験した人のアドバイスを活かしました。特に、最初に部屋に入ってモデルとなる利用者のところに詰めるとき、その「立つ位置に気をつける」と、後は日々の実践がものを言うといった感じだそうです。そして言葉かけを確実に。
夏目さんは試験の終了後に一緒に受験した職場の仲間と、どのように行ったかを点検したのだそうですが、少々、落しがあったといった程度で、およそ合格ラインだとの感触は得たそうです。それでも通知が届くまでは、心配だったとのこと。合格証の重みをかみ締めたのでした。
さらなる資格を目指して
夏目さんは、現在、介護主任として実習研修に来る他の職場の介護職への指導を行う立場でもあります。そこで日本介護福祉士会が主催する介護職員ファーストステップ研修に参加しています。これは年14回にわたるもので、40名の受講生と一緒に勉学に励んでいます。認知症の介護にしろ、介護保険の制度といったことにしろ、指導する立場としては、より一層、様々な知識を求められる立場となっています。そこで介護福祉士資格に留まらずに、介護支援専門員の資格取得を目指しています。
介護の仕事に情熱をもって臨んでいるように、今後は介護支援専門員の有資格者の立場からも、その人の生活背景を捉えた介護へと視野を一層広げ、積極的な介護のあり方を見出されていくことでしょう。
介護の仕事に情熱をもって臨んでいるように、今後は介護支援専門員の有資格者の立場からも、その人の生活背景を捉えた介護へと視野を一層広げ、積極的な介護のあり方を見出されていくことでしょう。