13万人を超える受験者の中から晴れて介護福祉士になった皆さんに、仕事をしながら勉強を続けるコツや効果的な勉強法、受験を仕事に活かす展望についてうかがいました。
第18回 新木勇人さん
知的障害者通所施設 サービス管理責任者
新木さんが使った参考書
介護福祉士受験ワークブック
中央法規出版
中央法規出版
介護福祉士国家試験過去問題解説集
中央法規出版
中央法規出版
介護福祉用語辞典
中央法規出版
中央法規出版
社会福祉用語辞典
ミネルヴァ書房
ミネルヴァ書房
ヘルプマン!(全10巻)
講談社
講談社
新木さんの合格までの道のり
知的障害者施設と介護
知的障害者の生活支援という領域は、高齢者介護の世界に比べると、知られることの少ない領域かもしれません。そのため、この領域の方が受験に臨むという話をお聞きする機会も極めて限られています。この記事を作っている編集者もまた、障害者施設にお邪魔する機会はあっても、そこですぐに介護福祉士の資格取得と結びつくことなく過ごしていました。
今回ご紹介する新木勇人さんは、この春、介護福祉士資格を取得され、本 「けあサポ」をよくチェックしておられたとのことで、合格体験談を寄せたいと申し出てくださった方でした。
そこで、改めて新木さんの関わる知的障害者施設について、少々ご紹介させていただき、それから受験対策へと移らせていただきたいと思います。
今回ご紹介する新木勇人さんは、この春、介護福祉士資格を取得され、本 「けあサポ」をよくチェックしておられたとのことで、合格体験談を寄せたいと申し出てくださった方でした。
そこで、改めて新木さんの関わる知的障害者施設について、少々ご紹介させていただき、それから受験対策へと移らせていただきたいと思います。
天職は保育士
新木さんが現在の知的障害者の通所施設に勤めることになったきっかけは、お子さんの喘息でした。それまでは都内の保育施設にて保育士として、その仕事がご自分の天職とも自負しながら6年のときを過ごしてきました。しかし、お子さんの健康を考えると、仕事に拘ってもいられません。そこで郊外の空気の良いこの地に転居し、現在の施設に勤めることになったのでした。
現在、新木さんの勤める施設には18歳から51歳まで、平均30代の方が中心となって通ってこられます。身体状況に応じて、送迎の必要な方もあればご自分で通われる方もいます。施設の活動には作業訓練と創作活動とがありますが、ここはいわゆる福祉作業所として、主に割り箸の袋詰め作業を1日4時間程度の範囲で行ってもらっているとのこと。
高齢者施設における通所介護ですと、身体機能の保持にとレクリエーションメニューなどを中心としながら入浴、食事を合わせて展開していきますが、そこにはベースとして3大介護の展開があります。しかし、知的障害者の通所サービスでは、身体介護の技術面といったことは、日頃はあまり必要としません。むしろ、心理面や情緒面をフォローしながら、福祉施策なども絡んだ支援に力を注ぐことになります。
現在、新木さんの勤める施設には18歳から51歳まで、平均30代の方が中心となって通ってこられます。身体状況に応じて、送迎の必要な方もあればご自分で通われる方もいます。施設の活動には作業訓練と創作活動とがありますが、ここはいわゆる福祉作業所として、主に割り箸の袋詰め作業を1日4時間程度の範囲で行ってもらっているとのこと。
高齢者施設における通所介護ですと、身体機能の保持にとレクリエーションメニューなどを中心としながら入浴、食事を合わせて展開していきますが、そこにはベースとして3大介護の展開があります。しかし、知的障害者の通所サービスでは、身体介護の技術面といったことは、日頃はあまり必要としません。むしろ、心理面や情緒面をフォローしながら、福祉施策なども絡んだ支援に力を注ぐことになります。
新木さん受験に臨む
新木さんは、現在、サービス管理責任者の立場にあります。ですから仕事のうえでは社会福祉士資格が是非とも欲しいところです。そのための受験対策を始めてきたのですが、事業所に働くワーカーさんには、介護保険制度が始まって以来、ヘルパー2級など介護の勉強をしてこられた方が増えてきたそうです。また、「介護福祉士の勉強は、知的障害者の支援においても、基礎として是非とも学んでおく必要のある学業」だと考えるようになり、介護福祉士資格の取得も目指すことにしました。
社会福祉士資格のための制度系の勉強はそのまま、介護福祉士の勉強に移行できますから、介護技術系の勉強と医学系の勉強を重ねることで、受験対策はできそうです。しかし、知的障害者施設での経験では、介護技術については実技試験を受けたのでは、合格が危ぶまれます。
そこで介護技術講習会に申し込んだのですが、申込者が多く、1年目は受講を諦めたそうです。2年目にしてなんとか9月からの受講ができることになり、そこで本格的に介護福祉士資格取得に向けた勉強が始まりました。
新木さんが資格取得を考えるようになったのには、もう一つの背景があります。家庭と職場とが分離された現代社会においては、親の働く姿を子どもが見て育つという機会はあまりありません。そんな現代生活においても、受験勉強をするという形でなら、親の取り組む後姿を子どもたちに見せることができます。学童期のお子さんがいる新木さんにとって、「父親が勉強に励んでいる姿勢を見せることは、子どもの教育にとっても大切だ」と考えたのでした。
しかし、それだけに懸命に取り組まないことには子どもたちに示しがつきません。新木さんの奥さんはPSWとして共働きの環境です。家事も二人で協働でこなしてきたので、勉強時間の捻出には、家族の同意も必要でした。朝夕15分は必ず集中して取り組むことにし、特に朝は頭の働きも柔軟ですから、これは一貫して遣りぬきました。また受験の4か月前からは本格的に勉強を始めました。集中しているときには、お子さんたちが抱きついてきても、気にならなかったそうです。しかし、ときに家事が滞ることもあり、家族は負担感があったとか。
社会福祉士資格のための制度系の勉強はそのまま、介護福祉士の勉強に移行できますから、介護技術系の勉強と医学系の勉強を重ねることで、受験対策はできそうです。しかし、知的障害者施設での経験では、介護技術については実技試験を受けたのでは、合格が危ぶまれます。
そこで介護技術講習会に申し込んだのですが、申込者が多く、1年目は受講を諦めたそうです。2年目にしてなんとか9月からの受講ができることになり、そこで本格的に介護福祉士資格取得に向けた勉強が始まりました。
新木さんが資格取得を考えるようになったのには、もう一つの背景があります。家庭と職場とが分離された現代社会においては、親の働く姿を子どもが見て育つという機会はあまりありません。そんな現代生活においても、受験勉強をするという形でなら、親の取り組む後姿を子どもたちに見せることができます。学童期のお子さんがいる新木さんにとって、「父親が勉強に励んでいる姿勢を見せることは、子どもの教育にとっても大切だ」と考えたのでした。
しかし、それだけに懸命に取り組まないことには子どもたちに示しがつきません。新木さんの奥さんはPSWとして共働きの環境です。家事も二人で協働でこなしてきたので、勉強時間の捻出には、家族の同意も必要でした。朝夕15分は必ず集中して取り組むことにし、特に朝は頭の働きも柔軟ですから、これは一貫して遣りぬきました。また受験の4か月前からは本格的に勉強を始めました。集中しているときには、お子さんたちが抱きついてきても、気にならなかったそうです。しかし、ときに家事が滞ることもあり、家族は負担感があったとか。
不得意科目を得意に変える
介護技術講習会では、講師の先生の説明が実によくできていて、どんどんと頭に入っていったとのこと。「筆記試験におけるポイントなども、この技術講習会の勉強が大変に役に立った」そうです。
また、これはイメージトレーニングにもなってお勧めというのが、実はコミック本。講談社から出ている『ヘルプマン!』は、「事例を扱いながら物語が展開され、そこに制度や介護技術のあり方なども触れられているので、エピソード記憶として特に頭に入りました」とのこと。制度の学習が苦手という方、技術のポイント把握ができていない方。コミックの活用というのも一つの手段かもしれませんよ。
新木さんが参考書として使ったのは、受験対策ワークブックと過去の試験問題集でした。特にワークブックを繰り返して紐解くことで、受験ポイントを押えます。一度目は、読んで意味の分からない用語などは、社会福祉辞典で調べ、それでも分からないとインターネットで検索して調べて、兎に角、サブノートに書き出します。このサブノートを折々に開いては、知識の精度を高めるようにしました。
医学一般の科目は、これまでまったく学んでこなかった分野だけに、「身体の図式なども絵にして書き出し、さらに病気の話題などがあると、積極的に聞き出す」といったこともしました。新木さんは管理者として仕事の責任も重なり、途中で過労入院となってしまうのですが、入院中に看護士さん相手に医学一般の知識のおさらいをしていたという集中ぶりで、その甲斐あって、医学一般が最高得点だったそうです。
また、本試験では介護技術系の得点もよく、一番できが悪かったのは、自分の本来の仕事で使っている障害者福祉論だったとのこと。これはなまじ知識があるだけに、誤って理解していたり、多くの事柄を想像しすぎて、何が問われているのかのポイントの把握ができなくなってしまったことが原因のようです。こうしたことは介護を仕事としている方にも同じことが言えるので、普段の仕事で使っている知識だからと慢心するのではなく、自分がもっている知識の確認に、必ず問題集などで解いた後に、制度の解説などを読んでおくことが大切でしょう。
また、これはイメージトレーニングにもなってお勧めというのが、実はコミック本。講談社から出ている『ヘルプマン!』は、「事例を扱いながら物語が展開され、そこに制度や介護技術のあり方なども触れられているので、エピソード記憶として特に頭に入りました」とのこと。制度の学習が苦手という方、技術のポイント把握ができていない方。コミックの活用というのも一つの手段かもしれませんよ。
新木さんが参考書として使ったのは、受験対策ワークブックと過去の試験問題集でした。特にワークブックを繰り返して紐解くことで、受験ポイントを押えます。一度目は、読んで意味の分からない用語などは、社会福祉辞典で調べ、それでも分からないとインターネットで検索して調べて、兎に角、サブノートに書き出します。このサブノートを折々に開いては、知識の精度を高めるようにしました。
医学一般の科目は、これまでまったく学んでこなかった分野だけに、「身体の図式なども絵にして書き出し、さらに病気の話題などがあると、積極的に聞き出す」といったこともしました。新木さんは管理者として仕事の責任も重なり、途中で過労入院となってしまうのですが、入院中に看護士さん相手に医学一般の知識のおさらいをしていたという集中ぶりで、その甲斐あって、医学一般が最高得点だったそうです。
また、本試験では介護技術系の得点もよく、一番できが悪かったのは、自分の本来の仕事で使っている障害者福祉論だったとのこと。これはなまじ知識があるだけに、誤って理解していたり、多くの事柄を想像しすぎて、何が問われているのかのポイントの把握ができなくなってしまったことが原因のようです。こうしたことは介護を仕事としている方にも同じことが言えるので、普段の仕事で使っている知識だからと慢心するのではなく、自分がもっている知識の確認に、必ず問題集などで解いた後に、制度の解説などを読んでおくことが大切でしょう。
模擬試験講師の解説で受験ポイントを把握
新木さんは、受験日が近づいた段階で、模擬試験も受けました。この模擬試験では講師の先生の的確な試験ポイントの解説があって、大きな動機付けにつながったそうです。その後も出された問題を復習し、過去問題を繰り返し解くなかで、「講師が指摘した事柄を繰り返し覚えたことは、大きな成果だった」といいます。試験日が迫ってくると、体も頭もそれなりの対応になってくるようで、直前の勉強は特に頭によく入ったと新木さんは述懐していました。
筆記試験本番に臨んで、新木さんは会場の下見に出かけます。当日は会場に1時間前につくことにしていたので、道中にどのような経路で行くのか、所要時間はなど、やはり確認しておかないと、何が起こるか分かりません。1時間前に到着するというのは、もちろん、突発的な事柄があったときへの配慮です。「会場に到着しても、部屋がどこになるのか、またトイレの位置は、食事の場所は、など確認することが幾つもあります。試験に集中するためには、こうした瑣末なことで心を乱すことのないように、事前準備を怠らないことが大切だ」と、新木さんは注意を促していました。
さて、新木さんは、介護福祉士資格を取得したことから、これからは社会福祉士資格の取得を目指します。現在は通信教育を受けながらレポートの作成に追われているそうです。家では奥さんを知識の確認者に見立てて制度の解説などを行い、理解が曖昧だと指摘を受けながらの日々だとか。
障害者自立支援法は、制度利用者の声などでより使い勝手のよい制度にと、今後もまだ大きく変革されることになります。在宅での暮らしを支援する形を整えていくためには、知的障害がある人にとっても、介護支援などの生活支援が欠かせません。「介護の仕事においても、広く障害者の立場について関心をもって見ていってほしい」と新木さんは話していました。
筆記試験本番に臨んで、新木さんは会場の下見に出かけます。当日は会場に1時間前につくことにしていたので、道中にどのような経路で行くのか、所要時間はなど、やはり確認しておかないと、何が起こるか分かりません。1時間前に到着するというのは、もちろん、突発的な事柄があったときへの配慮です。「会場に到着しても、部屋がどこになるのか、またトイレの位置は、食事の場所は、など確認することが幾つもあります。試験に集中するためには、こうした瑣末なことで心を乱すことのないように、事前準備を怠らないことが大切だ」と、新木さんは注意を促していました。
さて、新木さんは、介護福祉士資格を取得したことから、これからは社会福祉士資格の取得を目指します。現在は通信教育を受けながらレポートの作成に追われているそうです。家では奥さんを知識の確認者に見立てて制度の解説などを行い、理解が曖昧だと指摘を受けながらの日々だとか。
障害者自立支援法は、制度利用者の声などでより使い勝手のよい制度にと、今後もまだ大きく変革されることになります。在宅での暮らしを支援する形を整えていくためには、知的障害がある人にとっても、介護支援などの生活支援が欠かせません。「介護の仕事においても、広く障害者の立場について関心をもって見ていってほしい」と新木さんは話していました。