13万人を超える受験者の中から晴れて介護福祉士になった皆さんに、仕事をしながら勉強を続けるコツや効果的な勉強法、受験を仕事に活かす展望についてうかがいました。
第17回 桑折阿津子さん
訪問介護員
桑折さんが使った参考書
介護福祉士受験ワークブック
中央法規出版
中央法規出版
介護福祉士 過去5年問題集
成美堂出版
成美堂出版
桑折さんの合格までの道のり
学ぶよろこび
桑折さんは平成16年にホームヘルパー2級の資格を取り、登録ヘルパーとして介護の仕事をスタートしました。介護の仕事を選んだきっかけは、すでにヘルパーとして働いていた友だちの影響が大きかったとのこと。しかし、仕事を始めた当初は介護福祉士の資格を取ろうなどとは思ってもみなかったと言います。訪問介護の仕事をする中で、利用者のご家族から、介護保険のことや介護技術のこと、認知症のお年寄りとの接し方について、質問される機会が多くなりました。きちんと答えることができなかった自分が恥ずかしくて、本格的に勉強がしたいと思い、介護福祉士の資格にチャレンジすることを決意しました。学生時代以降、本気で勉強する機会はありませんでしたが、学ぶことの楽しさに目覚めていきます。学生時代は嫌々やっていた勉強も、今回は自分の意思で始めたものであり、自分の成長、そして仕事にも直結するので、どんどん知識が吸収されていくことが楽しくて仕方ありません。こうして介護福祉士受験のための本格的な勉強が4月から始まります。
過去問を徹底的に
桑折さんの勉強方法はいたってシンプルなものです。5年間の過去問を徹底的に解き、そして解説にじっくり目を通します。最初は全然問題が解けず、愕然としたそうです。しかし、そんなことにはめげずに、過去問を解き続けます。6月までには一通り過去問を解き終わりました。夏を過ぎたあたりから、ワークブックによる勉強が加わります。まずは2か月ぐらいをかけて一通り全科目を読破しました。その後はまた過去問に戻り、問題文や解説にあるキーワードをワークブックで確認し、知識を確実なものにしていきます。特に苦手科目(老人福祉論、障害者福祉論などの制度系科目)は何度も何度も繰り返し解き、暗記しなければならない項目は、大学ノートに書き込んで、暇を見つけては覚えるようにしました。この勉強法が試験前日まで続きます。努力の証である、過去問とワークブックは今でも捨てずに大切にとってあるとのこと。桑折さんの勉強法から学ぶべきことは、あちこち目移りせずに、信頼できる参考書を1・2冊に絞り、徹底的にやることです。
自分のペースで勉強する
では、仕事と子育てに追われる中、桑折さんはどうやって勉強時間を作ったのでしょうか? 勤務形態が登録ヘルパーということもあり、訪問と訪問の間に時間が空くことがあり、家にいる時間が結構ありました。子どもが学校から帰るまでの時間を利用して、勉強に当てました。「夜は9時ごろになると眠くなってしまうタイプなので…」と桑折さん。自分が一番集中できる時間帯、無理せず続けられる時間帯を見つけることが大事です。
また、「子供の学校の役員=卒業対策委員(卒業式や謝恩会を仕切る役割)をやっていたので、年末あたりから忙しくなることが事前にわかっていたので、それまでに受験勉強の目処をつけておこうと思ったのも、早めのスタートにつながり、よかったのかもしれません。実際、試験直前は学校の活動で、ほとんど勉強できませんでしたから」と笑いながら話してくれました。
また、「子供の学校の役員=卒業対策委員(卒業式や謝恩会を仕切る役割)をやっていたので、年末あたりから忙しくなることが事前にわかっていたので、それまでに受験勉強の目処をつけておこうと思ったのも、早めのスタートにつながり、よかったのかもしれません。実際、試験直前は学校の活動で、ほとんど勉強できませんでしたから」と笑いながら話してくれました。
試験当日
試験当日は思ったほど緊張しなかったそうです。過去問を徹底的にやったということが自信になり、これだけやってダメなら仕方がないと開き直ったそうです。周りの受験生が試験当日もたくさんの参考書を試験会場に持ち込み、最後のあがきをしているのを横目に、暗記用に作った大学ノートを1冊、お守りがわりに持って行っただけとのこと。ただ、問題を解くにあたって、慎重になりすぎたこともあり、時間に余裕が無く、見直しをする時間がなかった点を反省しています。日本介護福祉士会や民間の受験業者が行っている模擬試験(会場受験形式のもの)を一度受けておくのもよいかもしれません。緊張感を事前に味わっておくことで、当日あがることが予防できますし、時間配分やマークシート方式の記述にも慣れることができます。
受験を振り返って
晴れて介護福祉士の資格を取り、専門職として介護の仕事に携わっている桑折さんですが、受験勉強を経験して得たものは何かとお尋ねしました。「学ぶことの楽しさを知ることができたことが収穫でした。介護保険制度にも精通することができたし、医学知識も介護の現場で役立っています。介護技術に関しては、介護技術講習会でみっちり鍛えていただいたことが役に立っています。当初は登録ヘルパーということもあり、家事援助が中心で、身体介護のしっかりした技術を学ぶ機会があまりありませんでした。もちろん現在の仕事にも役立っていますが、プライベートでも、祖母の介護に役立っています。特に介護者である母に介護の仕方を教えることができ、助かりました」。