13万人を超える受験者の中から晴れて介護福祉士になった皆さんに、仕事をしながら勉強を続けるコツや効果的な勉強法、受験を仕事に活かす展望についてうかがいました。
第16回 寒竹幸浩さん
介護老人保健施設 介護職員
寒竹さんが使った参考書
介護福祉士受験ワークブック
中央法規出版
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介護福祉士国家試験過去問題解説集
中央法規出版
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見て覚える!介護福祉士国試ナビ
中央法規出版
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ユーキャンのテキスト
ユーキャン
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寒竹さんの合格までの道のり
資格を取ることだけが目標といった場合に陥りがちなのが、受験テクニックに走りすぎることと闇雲な勉強です。この場合、気ばかり焦って、なかなか覚えることができずに試験に至ってしまう、不安な自分から抜け出せず、覚えているはずのことも迷ってしまう。そんな結果に終わってしまうことにもなりかねません。
まだ9月、ここで介護の仕事に就いた初心を思い出し、介護の仕事の本質といったことを思い返してみると、また新たな気持ちで日々の仕事に臨むことができ、仕事を通じて覚えるということも出てきます。それは勉強の質が変わってくるというもので、まだこの時期ならば、こうした見直しをしてみることで勉強の効果が上がるかもしれません。
転職が天職に
今回ご紹介する寒竹幸浩さんは、一般企業に勤めていて、本当に自分に相応しい仕事とは何かを模索してきた人でした。仕事を通して、やはり自分は人に関わり、人を支援すること、人の役に立つことが実感できる仕事が向いていると感じていたといいます。同じ仕事であっても、報酬がよければ何でもよい、どのような仕事も皆同じ、といった人もいるかもしれませんが、寒竹さんは、生きがいを感じられる仕事にこだわりがありました。
一般企業に勤めているとき、介護の仕事に触れる機会があったことから、こうした職業は自分に向いているのではと、求人情報に眼を光らせていました。そうした折に飛び込んできたのが、現在の勤め先である老人保健施設の求人広告でした。
寒竹さんに「実際に仕事に就いてみると、想像していたのとは異なることもあるのでは?」と、少々意地悪な質問をしてみると、「この仕事に就いて、これは自分の天職だと思って毎日を過ごしている」との答えが返ってきました。人を支援すること、かかわり合うことの意義を改めて痛感したのでしょう。毎日が楽しいといいます。
しかし、介護の仕事は意識だけではやっていけません。仕事に就いた当初は、技術などが伴わずに、半年で腰を痛めてしまったそうです。男性は力がある分、自分の腕力に頼って介助してしまいやすいのです。また女性の多い職場ですので、男性職員の腕力に期待するところも多いといったこともあるかもしれません。しかしそれでは、安心・安全な介護にはなりません。たとえ男性であっても、しっかりとした技術があることは、利用者にとっても望ましいのです。そうした失敗も経験するなかで、寒竹さんは、介護の奥深さを学んでいったのでした。
一般企業に勤めているとき、介護の仕事に触れる機会があったことから、こうした職業は自分に向いているのではと、求人情報に眼を光らせていました。そうした折に飛び込んできたのが、現在の勤め先である老人保健施設の求人広告でした。
寒竹さんに「実際に仕事に就いてみると、想像していたのとは異なることもあるのでは?」と、少々意地悪な質問をしてみると、「この仕事に就いて、これは自分の天職だと思って毎日を過ごしている」との答えが返ってきました。人を支援すること、かかわり合うことの意義を改めて痛感したのでしょう。毎日が楽しいといいます。
しかし、介護の仕事は意識だけではやっていけません。仕事に就いた当初は、技術などが伴わずに、半年で腰を痛めてしまったそうです。男性は力がある分、自分の腕力に頼って介助してしまいやすいのです。また女性の多い職場ですので、男性職員の腕力に期待するところも多いといったこともあるかもしれません。しかしそれでは、安心・安全な介護にはなりません。たとえ男性であっても、しっかりとした技術があることは、利用者にとっても望ましいのです。そうした失敗も経験するなかで、寒竹さんは、介護の奥深さを学んでいったのでした。
資格取得に向けて
日々の仕事は充実したものでしたが、「この仕事についた以上、資格取得することでより責任感をもって仕事に臨むことができるし、職場にいると資格取得は当然といった雰囲気があって」寒竹さんは、3年の職歴条件を満たすことが確実になった段階で、受験することを決めました。しかし、申し込みなどの手続きとは異なり、気持ちはあっても受験勉強となるとなかなか手が付きません。そんなとき、現場主任さんから、まずは介護技術講習会を受講して、実技試験免除として、あとは筆記試験に集中しては、とのアドバイスをもらいました。
聞くと、技術講習会は申し込みが殺到するので、すぐに定員が埋まってしまうとのこと。アドバイスを受けたときはまだ4月でしたので、すぐに近くの会場に申し込みました。講習会の受講日も、極力、仕事の合間を縫って土日などの休日に組むことができました。この技術講習会は、日々の介護の論理的裏づけといった色彩が強く、寒竹さんは自分の介護技術を確認する作業になったと振り返っています。
寒竹さんの職場では、毎週のように活発な勉強会が開かれていて、それに参加していると自然と勉強になることが多く、技術講習会で学んだことで、筆記試験の技術系の科目については、ほとんど心配はなくなったそうです。
聞くと、技術講習会は申し込みが殺到するので、すぐに定員が埋まってしまうとのこと。アドバイスを受けたときはまだ4月でしたので、すぐに近くの会場に申し込みました。講習会の受講日も、極力、仕事の合間を縫って土日などの休日に組むことができました。この技術講習会は、日々の介護の論理的裏づけといった色彩が強く、寒竹さんは自分の介護技術を確認する作業になったと振り返っています。
寒竹さんの職場では、毎週のように活発な勉強会が開かれていて、それに参加していると自然と勉強になることが多く、技術講習会で学んだことで、筆記試験の技術系の科目については、ほとんど心配はなくなったそうです。
受験勉強の工夫
そんな安心感からか、暗記しなくてはならない科目に手をつけたのは、8月に入ってからでした。勉強しなければという気持ちはあっても、切羽詰ってこないと取り組めない。それは多くの受験者の共通の課題ではないでしょうか。寒竹さんは遅れを取り戻そうと、自宅に帰ってからの勉強ではどうしても自分に甘えができてしまうのでと、仕事を終えた後に職場の資料室で、毎日2時間と決めて受験勉強をすることにしたのでした。
当面は、4か月かけて11月の終わりまでに一通り全科目を勉強し終えること、そして法制度や福祉の先人たちの理論や仕事などといった記憶を必要とする科目については、重点的に学ぶこととしました。ひと月毎の達成目標なども定めるなどスケジュールを組んではみたのですが、実際には思うように行かなかったそうです。
ただ、職場が老健施設ということもあり、医療・看護・リハスタッフが揃っているうえ、勉強会が活発であったことも幸いして、医学一般の勉強は、ほとんど仕事を通じて覚えることができたそうです。そのため、問題集などを解いてみても、苦労することはほとんどなかったといいます。
寒竹さんの毎日の勉強の仕方としては、受験ワークブックを中心にして、そこに過去問題を重ねていくというやり方でした。しかし、闇雲にただテキストを追っていても、知識は確実なものとはなりません。寒竹さんは、それぞれの科目がどのようなことを問う科目なのか、そういった目的性といったことを念頭にして、出題傾向を探っていきました。一つひとつの問題を解くに当たって、この問題は何を課題としているのか、ただ解答が合っていればよし、とするのではなく、問題が課題とすることを考えていったのです。
これは、記憶することに裏づけをもたせるに十分な効果があったようです。8月からのスタートではあったのですが、勉強の仕方は効率的なものとなりました。とくに制度系の科目や福祉学といった苦手意識のある科目については、この取り組みが有効であったようです。また、重点的に何度か繰り返して暗記するようにしたとのこと。
独学での学習では、どこかに落ちがあるかもしれません。そんな危険性を回避するために、寒竹さんは、12月になってから民間事業者が主催する受験セミナーを受講しました。ここでは受験のテクニックといったことも学べて、大変に参考になったそうです。また直前学習に最適とのうたい文句のある参考書を購入して、試験の直前の詰めも行いました。そこでは、実際の試験時間における科目ごとの解答時間の配分の仕方や、得点配分といったことも知りました。
当面は、4か月かけて11月の終わりまでに一通り全科目を勉強し終えること、そして法制度や福祉の先人たちの理論や仕事などといった記憶を必要とする科目については、重点的に学ぶこととしました。ひと月毎の達成目標なども定めるなどスケジュールを組んではみたのですが、実際には思うように行かなかったそうです。
ただ、職場が老健施設ということもあり、医療・看護・リハスタッフが揃っているうえ、勉強会が活発であったことも幸いして、医学一般の勉強は、ほとんど仕事を通じて覚えることができたそうです。そのため、問題集などを解いてみても、苦労することはほとんどなかったといいます。
寒竹さんの毎日の勉強の仕方としては、受験ワークブックを中心にして、そこに過去問題を重ねていくというやり方でした。しかし、闇雲にただテキストを追っていても、知識は確実なものとはなりません。寒竹さんは、それぞれの科目がどのようなことを問う科目なのか、そういった目的性といったことを念頭にして、出題傾向を探っていきました。一つひとつの問題を解くに当たって、この問題は何を課題としているのか、ただ解答が合っていればよし、とするのではなく、問題が課題とすることを考えていったのです。
これは、記憶することに裏づけをもたせるに十分な効果があったようです。8月からのスタートではあったのですが、勉強の仕方は効率的なものとなりました。とくに制度系の科目や福祉学といった苦手意識のある科目については、この取り組みが有効であったようです。また、重点的に何度か繰り返して暗記するようにしたとのこと。
独学での学習では、どこかに落ちがあるかもしれません。そんな危険性を回避するために、寒竹さんは、12月になってから民間事業者が主催する受験セミナーを受講しました。ここでは受験のテクニックといったことも学べて、大変に参考になったそうです。また直前学習に最適とのうたい文句のある参考書を購入して、試験の直前の詰めも行いました。そこでは、実際の試験時間における科目ごとの解答時間の配分の仕方や、得点配分といったことも知りました。
緊張しすぎることもなく終えた筆記試験
第20回の1次試験の会場は、自宅のすぐ近くでよく知っている会場でしたので、事前に会場を確かめに行くなどすることもなく済みました。「前回の会場はかなり遠いところだったので、幸運でした」と寒竹さん。会場についての安心感が、試験の緊張感を和らげたのかもしれません。
さて、当日。「試験会場は女性ばかり」で、受験者が多いことに驚くばかりでした。それでも解答には、落ちや誤りがないか、何度も確認するだけの余裕がありました。特に午前中に苦手意識のある制度や福祉学の科目があるので、この時間帯に気持ちのうえでもゆとりがもてるようにと、時間配分など予め考えていたそうです。
名前、受験番号の確認、そして回答欄が合っているかも確認しました。欄を誤って記載したという話を聞いたことがあったので、それで不合格となっては元も子もありません。
試験終了後には、さまざまな会社が解答速報出しているので、それをもとに結果を点検してみました。そのとき、ほぼ合格間違いないと確信したのでしたが、合格通知が来るまでは安心はできなかったそうです。3月末になって通知が届き、本当にホッとしたとのこと。寒竹さんは、これからは、さらに上位の資格を目指して勉強していきたいと思っています。
冒頭にも触れましたが、寒竹さんは、この仕事が自分の天職だと思っています。介護の仕事に巡りあえて良かったと思っているのです。それだけに仕事に励みを感じています。昨今、介護を取り巻く状況には厳しいものがありますが、この仕事は社会にとって不可欠な仕事です。寒竹さんの職場では多くの取り組みが行われ、どの職員も熱心に仕事に向っています。またここでは地域社会との接点を大切にしており、地域の力を大いに活用しています。
仕事に生きがいを感じて取り組んでいる人、そして介護の理念を大切にしている職場。この二つが組み合わさっていれば、受験勉強もまた異なった様相をみせることがあるのです。
さて、当日。「試験会場は女性ばかり」で、受験者が多いことに驚くばかりでした。それでも解答には、落ちや誤りがないか、何度も確認するだけの余裕がありました。特に午前中に苦手意識のある制度や福祉学の科目があるので、この時間帯に気持ちのうえでもゆとりがもてるようにと、時間配分など予め考えていたそうです。
名前、受験番号の確認、そして回答欄が合っているかも確認しました。欄を誤って記載したという話を聞いたことがあったので、それで不合格となっては元も子もありません。
試験終了後には、さまざまな会社が解答速報出しているので、それをもとに結果を点検してみました。そのとき、ほぼ合格間違いないと確信したのでしたが、合格通知が来るまでは安心はできなかったそうです。3月末になって通知が届き、本当にホッとしたとのこと。寒竹さんは、これからは、さらに上位の資格を目指して勉強していきたいと思っています。
冒頭にも触れましたが、寒竹さんは、この仕事が自分の天職だと思っています。介護の仕事に巡りあえて良かったと思っているのです。それだけに仕事に励みを感じています。昨今、介護を取り巻く状況には厳しいものがありますが、この仕事は社会にとって不可欠な仕事です。寒竹さんの職場では多くの取り組みが行われ、どの職員も熱心に仕事に向っています。またここでは地域社会との接点を大切にしており、地域の力を大いに活用しています。
仕事に生きがいを感じて取り組んでいる人、そして介護の理念を大切にしている職場。この二つが組み合わさっていれば、受験勉強もまた異なった様相をみせることがあるのです。