13万人を超える受験者の中から晴れて介護福祉士になった皆さんに、仕事をしながら勉強を続けるコツや効果的な勉強法、受験を仕事に活かす展望についてうかがいました。
第12回 野田成子さん
訪問介護事業所 サービス提供責任者
大田さんが使った参考書
介護福祉士受験ワークブック
中央法規出版
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見て覚える!介護福祉士国試ナビ2008
中央法規出版
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介護福祉士国家試験模擬問題集
中央法規出版
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介護福祉士過去問エキスパート これだけ110問
日東書院本社
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野田さんの合格までの道のり
スタッフ一人ひとりが事業所の顔
訪問介護事業所は、大手を除くと小規模な事業所が多いものですが、規模が小さければ小さいほど、一人ひとりの訪問介護員の仕事への姿勢は、そのまま会社の顔として利用者には意識されます。訪問介護員がその顔を損ねることは、事業規模が小さいとすぐさま大きなダメージに結びついてしまいます。それだけにスタッフの採用にあたっては、一人ひとりの資質が大事にされ、また訪問介護員もただ雇われているという以上に、事業所を背負っているという気持ちが強くなるのではないかと思います。そこにはスタッフ全員で共通の理念を追い求める姿勢が大切になるのでしょう。
今回登場いただく野田成子さんは、そんな小規模な事業所に勤めるお一人です。取材に伺うと初対面にもかかわらず人を安心させるようなにこやかな笑顔が迎えてくれました。野田さんがこの仕事に就かれたのは、ご主人を亡くされたことがきっかけです。お子さんたちの学費も含め、生活を成り立たせていかなくてはならない、そんな切迫した状況で、とにかく正社員として迎え入れてくれ、自宅からも遠くない職場。しかも年齢条件に余裕のあるところをと探していて、求人広告で探し当てたのが現在の職場でした。ですから特に介護の仕事をと望んだわけではなかったのです。
しかし人と向き合う介護の仕事は、想像以上に野田さんに向いていました。野田さんはかつては銀行に勤め、また一時はご主人とともに自営で事業をされたなどの経験があり、人と接することが合っていたのです。しかしそれだけに、「仕事が理解できるようになればなるほど、この仕事の難しさを感じるようになった」と野田さん。仕事に就いた最初の頃は、介護の技術という一定の技法がこなせればやっていけると思っていたとのことですが、最近はご家族のなかで暮らす利用者さんであって、家族と切り離しては利用者さんだけを支援できないと感じることが多くなり、ご家族への支援という視点も含めた介護のあり方を考えるようになり、仕事の奥の深さを痛感しているとのことです。
今回登場いただく野田成子さんは、そんな小規模な事業所に勤めるお一人です。取材に伺うと初対面にもかかわらず人を安心させるようなにこやかな笑顔が迎えてくれました。野田さんがこの仕事に就かれたのは、ご主人を亡くされたことがきっかけです。お子さんたちの学費も含め、生活を成り立たせていかなくてはならない、そんな切迫した状況で、とにかく正社員として迎え入れてくれ、自宅からも遠くない職場。しかも年齢条件に余裕のあるところをと探していて、求人広告で探し当てたのが現在の職場でした。ですから特に介護の仕事をと望んだわけではなかったのです。
しかし人と向き合う介護の仕事は、想像以上に野田さんに向いていました。野田さんはかつては銀行に勤め、また一時はご主人とともに自営で事業をされたなどの経験があり、人と接することが合っていたのです。しかしそれだけに、「仕事が理解できるようになればなるほど、この仕事の難しさを感じるようになった」と野田さん。仕事に就いた最初の頃は、介護の技術という一定の技法がこなせればやっていけると思っていたとのことですが、最近はご家族のなかで暮らす利用者さんであって、家族と切り離しては利用者さんだけを支援できないと感じることが多くなり、ご家族への支援という視点も含めた介護のあり方を考えるようになり、仕事の奥の深さを痛感しているとのことです。
野田さんの受験勉強
介護福祉士の資格は事業所の社長さんから、「この仕事に携わる以上、資格をとることは前提条件です!」と入社当初から厳命されていたそうです。そこで3年が経ったら受験することが採用のときから当然のことと意識していました。しかし2年が経過した一昨年、第19回の試験の受付が始まったことは知っていたのですが、仕事に追われているうちに試験センターへの申し込みを失念してしまい、気付いたときは締切が過ぎていました。ところが社長さんが気を利かせて社会福祉協議会主催の筆記試験直前対策講座に申し込みをしておいてくれたので、キャンセルもできずにその年の秋には講習を受けることとなりました。こうして野田さんの受験への取り組みは、1年以上をかけて緩やかに進んでいくこととなったのでした。
年が明けてまた春が来て、いざ受験となると今度は実技試験のことが気になりました。実技では上がってしまって必要な動作が抜けてしまう、何をしていたのか記憶が定かでないといった声をよく耳にしていたので、自分もやはり上がるタイプなのでと技術講習会を申し込みました。これは社長さんには内緒だったということです。社長さんからは、落ち着いてやれば必ず受かると日頃言われていたため、技術講習会を受けるとは話しにくかったのだとか。また講習会場は申し込みが殺到するとの情報も得ており、春の早い段階で、自宅から遠くない会場に申し込み、土日の日取りを確保したのだそうです。「これまでヘルパー2級の講習などで実技の基本は理解していたつもりだったけれど、何故ということから基本をしっかりと体系だって教えてもらったので大変に有意義だった」と野田さんは振り返っています。
年が明けてまた春が来て、いざ受験となると今度は実技試験のことが気になりました。実技では上がってしまって必要な動作が抜けてしまう、何をしていたのか記憶が定かでないといった声をよく耳にしていたので、自分もやはり上がるタイプなのでと技術講習会を申し込みました。これは社長さんには内緒だったということです。社長さんからは、落ち着いてやれば必ず受かると日頃言われていたため、技術講習会を受けるとは話しにくかったのだとか。また講習会場は申し込みが殺到するとの情報も得ており、春の早い段階で、自宅から遠くない会場に申し込み、土日の日取りを確保したのだそうです。「これまでヘルパー2級の講習などで実技の基本は理解していたつもりだったけれど、何故ということから基本をしっかりと体系だって教えてもらったので大変に有意義だった」と野田さんは振り返っています。
過去問題集を繰り返し読み解く
さて、第20回の受験申し込みは、期日に遅れることなく済ますことができ、実技試験の課題をクリアしたことで、後は筆記試験にのみ集中すればよいことになりました。そこで野田さんは受験参考書や問題集を買い込み、独学で勉強していきました。しかし、意識はしていても受験勉強となると計画的に進めることは難しいものです。それでも土日にはできるだけ問題集を中心に出題に慣れるように心がけました。
野田さんの勉強法は、まず問題を解いていくことで、出題される事柄がどのようなものかを把握し、その内容を参考書などで確かめるというものでした。14科目の講座をしっかりとしたテキストで学び直して、それから問題集に取り掛かるといった、いわゆる正道とは異なります。数年度の問題を紐解いてみると、毎年必ず出題される、あるいは出題頻度が高いものが分かります。そこで問われている事柄を把握し、出題の形式が多少変わっても、ポイントがどこにあるのか掴んでいったのです。
しかし、それに多くの時間を割いて勉強したというよりは、「極めて感覚的なもの」だったと野田さん。野田さんはご自身は気付いてはいないようでしたが、出題傾向を読み取り、文脈が変わっても問われる事柄の基本を見抜くには、何が大切なことなのか、それを仕事を通じて理解していたのでしょう。
たとえば制度については、多くの受験生が苦手と意識しています。参考書を何度読んでも頭に入らないと。野田さんの事業所では、社長さんが制度が変わるたびに書類を回して、「ここがこう変わったから、利用者さんへの説明など、しっかりお願いね」といったことが頻繁に行われているそうです。ですから介護保険の制度など、介護の仕事に必要な事柄は、仕事を通じて把握できているのです。野田さんも、自然と新聞情報などを読む癖が身についたと言っています。
こうした下地があると、問題集や参考書で問われていることの出題のポイントや重要度といったことが自ずと分かるのでしょう。
野田さんの勉強法は、まず問題を解いていくことで、出題される事柄がどのようなものかを把握し、その内容を参考書などで確かめるというものでした。14科目の講座をしっかりとしたテキストで学び直して、それから問題集に取り掛かるといった、いわゆる正道とは異なります。数年度の問題を紐解いてみると、毎年必ず出題される、あるいは出題頻度が高いものが分かります。そこで問われている事柄を把握し、出題の形式が多少変わっても、ポイントがどこにあるのか掴んでいったのです。
しかし、それに多くの時間を割いて勉強したというよりは、「極めて感覚的なもの」だったと野田さん。野田さんはご自身は気付いてはいないようでしたが、出題傾向を読み取り、文脈が変わっても問われる事柄の基本を見抜くには、何が大切なことなのか、それを仕事を通じて理解していたのでしょう。
たとえば制度については、多くの受験生が苦手と意識しています。参考書を何度読んでも頭に入らないと。野田さんの事業所では、社長さんが制度が変わるたびに書類を回して、「ここがこう変わったから、利用者さんへの説明など、しっかりお願いね」といったことが頻繁に行われているそうです。ですから介護保険の制度など、介護の仕事に必要な事柄は、仕事を通じて把握できているのです。野田さんも、自然と新聞情報などを読む癖が身についたと言っています。
こうした下地があると、問題集や参考書で問われていることの出題のポイントや重要度といったことが自ずと分かるのでしょう。
解答時間を制限して
秋にはまた直前講習の申し込みをしたらと社長さんから薦められましたが、2回も出費してもらうわけにはいかないと、筆記試験まで独学でいくこととしました。野田さんは、出題に慣れる訓練も自分自身で行いました。それはある受験参考書に、1問当たりの平均解答時間が示されていて(およそ1分45秒)、時間配分をみながら問題を解いていくことが重要だというものでした。そこで野田さんは、問題集を解くときは、必ず時計を傍らに置いて、一つひとつの解答に要した時間を計っていったのです。こうした訓練をしてみることで、会場で焦らずに問題に臨むことができるのでは、と考えてのことでした。この時間を制限しての訓練はかなり有効だったようで、模擬試験など受けることもなく、野田さんは本番の試験でも余裕で解答できたとのことでした。
野田さんはこの春、晴れて介護福祉士の資格を取得しました。そこで今回の受験を振り返って今後の受験者へのアドバイスをお願いしたところ、以下のような話がありました。まず「慌てずに文章をしっかりと読んで、何を問うているのか、つぶさに把握すること」「科目によっては出題数が少ないものもあるので、1問のウェイトが高くなります。一つでも落とすと不安になって自信が揺らぎやすくなるので、そうした教科は力を入れて勉強しては」「また、法制度などは最新の情報を入手する必要があるので、新版の参考書を使うことが大切」とのことです。
野田さんはこの春、晴れて介護福祉士の資格を取得しました。そこで今回の受験を振り返って今後の受験者へのアドバイスをお願いしたところ、以下のような話がありました。まず「慌てずに文章をしっかりと読んで、何を問うているのか、つぶさに把握すること」「科目によっては出題数が少ないものもあるので、1問のウェイトが高くなります。一つでも落とすと不安になって自信が揺らぎやすくなるので、そうした教科は力を入れて勉強しては」「また、法制度などは最新の情報を入手する必要があるので、新版の参考書を使うことが大切」とのことです。
家族支援の訪問介護
野田さんの現在の会社での現在の立場は、サービス提供責任者です。先にも書きましたが、野田さんはいま、家族支援も含めた介護を自らの課題と考えています。それは一人の訪問介護員だけで成り立つものではありません。サービス提供責任者が家族ともしっかりと向き合って、初めて事業者としての支援が成り立つのです。「介護保険のサービスは、介護の一部です。保険外のサービスなどが必要な方も多く、そのとき、ご家族と一体となってその方を支援していくことは、介護の仕事の醍醐味だとも感じています」と野田さん。
自らも訪問を重ねながらの兼業ですが、他の訪問介護員の仕事にも配慮しながら、家族支援の視点を大事にして欲しいと願っている野田さんでした。
自らも訪問を重ねながらの兼業ですが、他の訪問介護員の仕事にも配慮しながら、家族支援の視点を大事にして欲しいと願っている野田さんでした。