13万人を超える受験者の中から晴れて介護福祉士になった皆さんに、仕事をしながら勉強を続けるコツや効果的な勉強法、受験を仕事に活かす展望についてうかがいました。
第10回 小野寺和子さん
特別養護老人ホーム 介護職
小野寺さんが使った参考書
介護福祉士国家試験模擬問題集
中央法規出版
中央法規出版
U-CANの介護福祉士 予想問題集
ユーキャン
ユーキャン
合格する! 介護福祉士試験必勝法
成美堂出版
成美堂出版
通信講座の試験問題、解説テキスト
ユーキャン
ユーキャン
模擬試験問題解説
日本介護福祉士会
日本介護福祉士会
小野寺さんの合格までの道のり
地域では介護の仕事は重要な産業の一つ
低迷する地方経済はなかなか回復の兆しが見えてきません。昨年も多くの事業所が倒産に至っています。先に勤務していた会社が景気の低迷で閉鎖になってしまい、「職を探しているなかで特養の介護の仕事に行き当たった」というのが小野寺和子さんでした。
そのようなわけで、特に望んで入った世界ではありませんでしたが、介護という人と人とが接する仕事には、厳しさもあるなか遣り甲斐も感じられるようになって、小野寺さんはいまでは、介護の仕事に就いて良かったと感じています。「日々の利用者さんとの交流の中の、ちょっとした会話や心の通い合う瞬間は、嬉しい」と小野寺さん。そうした心が通い合うことで、生きがいを得ることもできるのです。
そのようなわけで、特に望んで入った世界ではありませんでしたが、介護という人と人とが接する仕事には、厳しさもあるなか遣り甲斐も感じられるようになって、小野寺さんはいまでは、介護の仕事に就いて良かったと感じています。「日々の利用者さんとの交流の中の、ちょっとした会話や心の通い合う瞬間は、嬉しい」と小野寺さん。そうした心が通い合うことで、生きがいを得ることもできるのです。
3年経ったら、職場の慣行として資格取得が当たり前
小野寺さんが介護福祉士の資格取得を目指したのは、あえて言えば「施設の慣行」といったものでした。そこでは、経験年数を満たしたら介護福祉士資格を取るのが当たり前といった雰囲気で、入職から3年が見えたところで「来年は小野寺さん受験でしょう?」と同僚からも言われ、「必要に迫られて取ることにした」というものでした。ですから、資格を取るのだといった強い動機があったわけではなかったのです。
この時点で、小野寺さん自身にはまだ受験勉強に取り組む気持ちが弱く、勉強が続かないのが弱みとなっていました。何か意欲を促進できるもの、自分では動けないので、他力に頼って勉強に弾みをつけないといけないと、小野寺さんは通信教育を受けてみました。そこではテキストなどが充実していて参考になるものでしたが、多くのテキストがあって、すべてを把握するだけの余裕を作り出せずに、試験に臨むことになってしまいました。
あまり自信がないままに1月の本試験。筆記試験の会場は大変に広く、会場の雰囲気にすっかり飲まれて自分を見失ってしまい、小野寺さんは、「どのように回答していったか」思い出しても定かでなかったとのこと。しかし、運よく意外にも1次試験合格となりました。
そこで介護主任が実技試験の対策にと、練習問題の設定を数回開いてくれました。利用者には職場の同僚がモデルをかって出てくれ、過去問題をもとに練習したのです。
さて、2次試験の当日、課題を頭に入れてイメージを確認して臨んだつもりだったのですが、声かけにも声が小さくなってしまい、動作の説明が不十分でした。思い返してみると、いくつかの項目を飛ばして終えてしまったと気付きました。やはり、かなり緊張して上がっていたようです。
残念ながら、結果は不合格でした。
この時点で、小野寺さん自身にはまだ受験勉強に取り組む気持ちが弱く、勉強が続かないのが弱みとなっていました。何か意欲を促進できるもの、自分では動けないので、他力に頼って勉強に弾みをつけないといけないと、小野寺さんは通信教育を受けてみました。そこではテキストなどが充実していて参考になるものでしたが、多くのテキストがあって、すべてを把握するだけの余裕を作り出せずに、試験に臨むことになってしまいました。
あまり自信がないままに1月の本試験。筆記試験の会場は大変に広く、会場の雰囲気にすっかり飲まれて自分を見失ってしまい、小野寺さんは、「どのように回答していったか」思い出しても定かでなかったとのこと。しかし、運よく意外にも1次試験合格となりました。
そこで介護主任が実技試験の対策にと、練習問題の設定を数回開いてくれました。利用者には職場の同僚がモデルをかって出てくれ、過去問題をもとに練習したのです。
さて、2次試験の当日、課題を頭に入れてイメージを確認して臨んだつもりだったのですが、声かけにも声が小さくなってしまい、動作の説明が不十分でした。思い返してみると、いくつかの項目を飛ばして終えてしまったと気付きました。やはり、かなり緊張して上がっていたようです。
残念ながら、結果は不合格でした。
2度目の挑戦―出題形式に慣れるために問題集で勉強
しかし、やはり資格取得はしておこうと、小野寺さんは春になると再び勉強に取り掛かりました。今度は、自分自身の意欲も手伝って、過去問題集と予想問題集を購入し独習することにしました。1年目では何とか1次に合格しましたが、2回目で合格となる自信はありませんでした。その背景の一つには、出題形式に慣れていないことがあると自己分析しました。そこで何度も問題を解いて慣れることにしました。
次いで、問題集を解くことで覚える必要のある事柄を学んでいきました。しかし、しっかりと記憶するためには、ただ問題を解くだけでは覚えきれないので、自分なりに「噛み砕く」作業を行っていったのだそうです。
例えば、制度などは何故そうした制度ができたのか、その経緯などを当たってみました。そうした流れを掴むことで、記憶を確かなものにできました。人名を覚えるのは誰もが苦手なところですが、やはり歴史的背景などを追うことである程度は知識が明確になっていきました。
医学一般については、日々の介護の仕事をしていればそれなりに専門用語として聞き及ぶこともあるのですが、それを確実な知識としていくには、その場、その場でしっかりと学ぶことが必要で、そうしたことは、日常の仕事の場であまり頻度があるわけではありません。小野寺さんも多くの用語はなかなか覚えられなかったそうですが、問題集を当たることで一通りの知識はできていったとのこと。しかし苦手科目であることに変わりはありませんでした。
また、家政学の内容については、日々の生活の中で意識せずに身についてはいるのですが、教科として覚えることとはどこか違います。やはりテキストなりで裏付けていく必要があります。そして昨年購入した通信講座のテキストには、覚えるべき項目がチェックリストとして添削できるようになっていたので、それも利用しました。介護技術については、日々の仕事の延長なので、わりに自信があったとのこと。
また、問題集を当たってみて、間違えた問題については、必ず解説集を読み解くようにしました。
2度目の挑戦で確実に合格するには、実技試験を改めて受けるのは大変と考え、小野寺さんは「介護技術講習会」を利用することにしました。講習会は申し込む人が多いので、すぐに日程が埋まってしまいます。家に近い会場をと申し込んだのですが、そこは取れずに遠方の会場となってしまったとのこと。それでも述べ4日間の講習は充実していて、指導してくれた先生が熱心な人だったので大変に勉強になったそうです。そのことも介護技術系の科目の勉強に役に立ったそうです。また、ここで出会った人たちが互いに励まし合ったりしたことも勉強への意欲につながったと言います。
次いで、問題集を解くことで覚える必要のある事柄を学んでいきました。しかし、しっかりと記憶するためには、ただ問題を解くだけでは覚えきれないので、自分なりに「噛み砕く」作業を行っていったのだそうです。
例えば、制度などは何故そうした制度ができたのか、その経緯などを当たってみました。そうした流れを掴むことで、記憶を確かなものにできました。人名を覚えるのは誰もが苦手なところですが、やはり歴史的背景などを追うことである程度は知識が明確になっていきました。
医学一般については、日々の介護の仕事をしていればそれなりに専門用語として聞き及ぶこともあるのですが、それを確実な知識としていくには、その場、その場でしっかりと学ぶことが必要で、そうしたことは、日常の仕事の場であまり頻度があるわけではありません。小野寺さんも多くの用語はなかなか覚えられなかったそうですが、問題集を当たることで一通りの知識はできていったとのこと。しかし苦手科目であることに変わりはありませんでした。
また、家政学の内容については、日々の生活の中で意識せずに身についてはいるのですが、教科として覚えることとはどこか違います。やはりテキストなりで裏付けていく必要があります。そして昨年購入した通信講座のテキストには、覚えるべき項目がチェックリストとして添削できるようになっていたので、それも利用しました。介護技術については、日々の仕事の延長なので、わりに自信があったとのこと。
また、問題集を当たってみて、間違えた問題については、必ず解説集を読み解くようにしました。
2度目の挑戦で確実に合格するには、実技試験を改めて受けるのは大変と考え、小野寺さんは「介護技術講習会」を利用することにしました。講習会は申し込む人が多いので、すぐに日程が埋まってしまいます。家に近い会場をと申し込んだのですが、そこは取れずに遠方の会場となってしまったとのこと。それでも述べ4日間の講習は充実していて、指導してくれた先生が熱心な人だったので大変に勉強になったそうです。そのことも介護技術系の科目の勉強に役に立ったそうです。また、ここで出会った人たちが互いに励まし合ったりしたことも勉強への意欲につながったと言います。
図書館に通うことで、勉強意欲を作る
さて、問題集で学ぶにしても、家に帰ってから、また休日に家でというのは、小野寺さんには向いていなかったようです。「夜に勉強する人もいるようですが、私の場合は疲れて眠ってしまうことが多くて駄目でした」。そこで休日の午前中を利用して図書館に通い、まずは勉強しようとする自分自身の心構えを整えました。図書館に行けばそれで勉強がはかどるというものではないのですが、家に居てはどうしても駄目だったので、「自分に合った勉強の場を作るということが必要だった」と小野寺さん。
また、1年目には会場の雰囲気に飲まれたという思いがあったので、秋に模擬試験を受けました。会場の雰囲気に慣れること、会場で問題を解くということで、自分の心理的な弱点など見逃していたことがないか、そうしたことをチェックしました。模擬試験は大いに役に立ったそうです。
さらに、独学で勉強した知識は、そのままでは曖昧なものになりがちです。自信のない問題については同僚にも尋ねて裏づけをとり、意識付けました。人に聞くということは、できそうでできないものです。問いかけるにも、一定の知識が必要ですし、また他者の言うことを理解することも必要になります。それだけに、「仲間の力というのは大きい」と小野寺さんは感じたそうです。
2回目の挑戦ですから計画的に勉強しようと、この1年を通していつまでにこの科目を仕上げるといった大まかな計画は立てたりしたそうですが、これはほとんど実行できなかったとのこと。苦手科目はなかなか本を開かずに時間が過ぎていき、通り一遍の勉強になってしまったと小野寺さんは反省しています。
また、1年目には会場の雰囲気に飲まれたという思いがあったので、秋に模擬試験を受けました。会場の雰囲気に慣れること、会場で問題を解くということで、自分の心理的な弱点など見逃していたことがないか、そうしたことをチェックしました。模擬試験は大いに役に立ったそうです。
さらに、独学で勉強した知識は、そのままでは曖昧なものになりがちです。自信のない問題については同僚にも尋ねて裏づけをとり、意識付けました。人に聞くということは、できそうでできないものです。問いかけるにも、一定の知識が必要ですし、また他者の言うことを理解することも必要になります。それだけに、「仲間の力というのは大きい」と小野寺さんは感じたそうです。
2回目の挑戦ですから計画的に勉強しようと、この1年を通していつまでにこの科目を仕上げるといった大まかな計画は立てたりしたそうですが、これはほとんど実行できなかったとのこと。苦手科目はなかなか本を開かずに時間が過ぎていき、通り一遍の勉強になってしまったと小野寺さんは反省しています。
最後まで手の抜けない国家試験
再度の受験となった2年目ですが、「今度は落ちたくない」という意欲が小野寺さんにはありました。試験では、ただ問題を解くだけでなく、回答欄が問題と合っているか、つまらないミスで合格を逃すことのないように、ちょっとした注意を払う余裕もありました。また時間一杯を使って、一つでも多くの正答を得ようとしました。それだけやったつもりでいても、試験が終わって振り返ると、名前を書いたか記憶が曖昧だったそうです。
現在は、介護福祉士の国家試験では、試験問題用紙を持ち帰ることができます。小野寺さんは、試験が終了後、そこに書き込んでいた回答を点検し、結果が発表される前に採点してみました。何とか合格点は取れていると思えたのでしたが、どこかに不安があり、発表の日まで落ち着かなかったそうです。
小野寺さんは、いま自分の勉強法を振り返ってみたとき、「参考になるのかわかりませんが、これから試験に臨む人たちには、問題集を数こなすことが有効だと思う」と言っています。全ての科目を満遍なく勉強できればそれに越したことはありませんが、なかなか手がつかない教科もあることでしょう。それでも一通りは問題集を紐解いて出題形式に慣れることが大切だと思うとのこと。
小野寺さんは、これからさらにもう一つくらいは何かの資格をもっていても良いと考えています。介護福祉士資格を取得したことでいろいろと学ぶことができ、「仕事のうえでの気付きといったことを広げることができました。それがさらに利用者とのコミュニケーションに役立ち、利用者との心が通い合えたら、嬉しい」と、資格取得を日々のケアに結び付けて考えているこの頃です。
現在は、介護福祉士の国家試験では、試験問題用紙を持ち帰ることができます。小野寺さんは、試験が終了後、そこに書き込んでいた回答を点検し、結果が発表される前に採点してみました。何とか合格点は取れていると思えたのでしたが、どこかに不安があり、発表の日まで落ち着かなかったそうです。
小野寺さんは、いま自分の勉強法を振り返ってみたとき、「参考になるのかわかりませんが、これから試験に臨む人たちには、問題集を数こなすことが有効だと思う」と言っています。全ての科目を満遍なく勉強できればそれに越したことはありませんが、なかなか手がつかない教科もあることでしょう。それでも一通りは問題集を紐解いて出題形式に慣れることが大切だと思うとのこと。
小野寺さんは、これからさらにもう一つくらいは何かの資格をもっていても良いと考えています。介護福祉士資格を取得したことでいろいろと学ぶことができ、「仕事のうえでの気付きといったことを広げることができました。それがさらに利用者とのコミュニケーションに役立ち、利用者との心が通い合えたら、嬉しい」と、資格取得を日々のケアに結び付けて考えているこの頃です。