13万人を超える受験者の中から晴れて介護福祉士になった皆さんに、仕事をしながら勉強を続けるコツや効果的な勉強法、受験を仕事に活かす展望についてうかがいました。
第9回 水野志保さん
通所介護事業所/訪問介護事業所管理者
水野さんが使った参考書
介護福祉士国家試験過去問解説集
中央法規出版
中央法規出版
介護福祉の基礎知識
中央法規出版
中央法規出版
水野さんの合格までの道のり
様々な職種を経験
学生時代には看護師を夢見たことがあったという水野さん。そんな縁もあって大学で養護教諭の課程を専攻したのですが、実習などを経験しているうちに、自分は養護教諭には不向きと感じて、卒業後は一般の会社に就職したのでした。その後、いくつかの職種を経験しましたが、看護・福祉といった人を支援する仕事への思いは続き、医療法人が母体となって介護事業を運営している現在の会社に勤めるようになったのは、今から8年前のことでした。
現在、水野さんは通所介護事業所と訪問介護事業所の管理職の立場にあります。水野さんはそれまでに就いてきた仕事の能力を買われて、早くから現場ではなく、管理者としての立場に立つことになりました。水野さんはさまざまな仕事をした経験から、介護の仕事といえども基本はサービス業であると考えています。また一方、サービス業とは基本的に、人を気遣うことから成り立つと考えていて、その本質をわきまえていれば、介護の仕事をサービス業と位置づけることはむしろ大切な視点ではないかと思っています。ですから、ともすると、「介護の仕事もサービス業の一つに過ぎない」といったニュアンスで語ることには、異議があるのです。
そんな考えで、現在の職場では楽しく仕事をこなしてきた水野さんですが、一方で、福祉の仕事についてもっとしっかりと学びたいと、社会福祉士の勉強を通信講座で学ぶことにしたのが、6年前のこと。通信教育といっても、一定の期間は実際の講義を受講し、実習もこなさなくてはなりません。仕事のやり繰りをしながら、途中で子どもの出産や病気などもあって中断しながらの勉強ですが、現在も続いています。
現在、水野さんは通所介護事業所と訪問介護事業所の管理職の立場にあります。水野さんはそれまでに就いてきた仕事の能力を買われて、早くから現場ではなく、管理者としての立場に立つことになりました。水野さんはさまざまな仕事をした経験から、介護の仕事といえども基本はサービス業であると考えています。また一方、サービス業とは基本的に、人を気遣うことから成り立つと考えていて、その本質をわきまえていれば、介護の仕事をサービス業と位置づけることはむしろ大切な視点ではないかと思っています。ですから、ともすると、「介護の仕事もサービス業の一つに過ぎない」といったニュアンスで語ることには、異議があるのです。
そんな考えで、現在の職場では楽しく仕事をこなしてきた水野さんですが、一方で、福祉の仕事についてもっとしっかりと学びたいと、社会福祉士の勉強を通信講座で学ぶことにしたのが、6年前のこと。通信教育といっても、一定の期間は実際の講義を受講し、実習もこなさなくてはなりません。仕事のやり繰りをしながら、途中で子どもの出産や病気などもあって中断しながらの勉強ですが、現在も続いています。
水野さん介護福祉士を目指す
そうした水野さんが、介護福祉士資格をとろうと考えたのは、職場で管理者として職員に資格取得を勧める立場でありながら自らは無資格であることに、少々、違和感を感じるようになったこともありました。そこで一念発起して、国家試験への挑戦を決めたのは一昨年のことです。しかし、管理職として忙しい毎日のうえ、家庭においては4人の子どもの母親として、家事万端もこなさなくてはなりません。「勉強をしないと」とは思っていてもなかなか時間を作り出せずに、その年の秋も終わってしまいました。
水野さんは、現場を少し離れてしまっているため、実技試験を受けても難しいと判断し、介護技術講習会を受講することとしました。どこの会場も定員がオーバーで、受講できるようになったのは11月になってのことでした。講習会の会場で一緒になった人たちから受験勉強への取り組みを尋ねられ、まだ手付かずだと知って驚かれ、「すぐにでも取り組まないと間に合わない」と言われたのだそうです。そこで、まずは過去問題集を買い込んで、それを中心に勉強していくことにしたのでした。
水野さんは、現場を少し離れてしまっているため、実技試験を受けても難しいと判断し、介護技術講習会を受講することとしました。どこの会場も定員がオーバーで、受講できるようになったのは11月になってのことでした。講習会の会場で一緒になった人たちから受験勉強への取り組みを尋ねられ、まだ手付かずだと知って驚かれ、「すぐにでも取り組まないと間に合わない」と言われたのだそうです。そこで、まずは過去問題集を買い込んで、それを中心に勉強していくことにしたのでした。
進まない受験勉強を短期集中でこなす
しかし、その後も忙しさに追われて勉強する時間を作れずに、結局、正月が明けて、やっと本腰になって勉強に取り組んだのでした。普通に考えればこの時期から勉強しても間に合わないところですが、水野さんは違っていました。「とにかく、自分はこれから受験勉強に専念するのだ」と職場や家族に協力を要請します。1月以内のことなので、仕事の調整をし、休暇を多くとれるようにします。家事についても、この間はほとんど省略。そして、14科目の内容から、1日に取り組むべき単元を決め、その中で暗記しないといけない事項をしっかりと整理したのです。そして一旦決めた計画がこなせない限り、寝ないといった状況に自分を追い込みます。
そのうえで、過去問題集を徹底して繰り返し解くといった勉強法を行います。ただ問題を解いて正誤を確かめるというのではなく、分からない問題は、自分で解説の掲載されている基礎知識の本を引き出してきて遡って確認し、正答を探します。これは記憶の裏打ち作業といったもので、単に数字や名前、用語をそのまま覚えるのではなく、その言葉に関わる背景などを理解して、記憶を鮮明化するといった意味合いのものです。「深い理解というにはほど遠いのですが、数週間のちに迫った試験だけなら、一皮並べの知識でも、そこにほころびがなければ、十分に使える」との判断でした。
数週間という極めて短い時間ですが、徹底して多くの問題に取り組みます。特に制度系の科目は覚えるしかありません。どちらかというと苦手な教科であるだけに、繰り返し何度も取り組みました。一方、医療系、技術系の科目については、もともと好きな内容でもあり、すんなりと頭に入ったので「あまり心配してはいなかった」そうです。
水野さんは、この期間のことを振り返って、「勉強の総時間数とか効率性ということでは、数か月勉強に取り組んだという人とたいして差はないのでは」と自負しています。それほど必死に取り組んだということでしょう。ただ漫然と時間だけを重ねる勉強では、効率が悪いだけで、知識自体も身についていないのではと言えます。
そのうえで、過去問題集を徹底して繰り返し解くといった勉強法を行います。ただ問題を解いて正誤を確かめるというのではなく、分からない問題は、自分で解説の掲載されている基礎知識の本を引き出してきて遡って確認し、正答を探します。これは記憶の裏打ち作業といったもので、単に数字や名前、用語をそのまま覚えるのではなく、その言葉に関わる背景などを理解して、記憶を鮮明化するといった意味合いのものです。「深い理解というにはほど遠いのですが、数週間のちに迫った試験だけなら、一皮並べの知識でも、そこにほころびがなければ、十分に使える」との判断でした。
数週間という極めて短い時間ですが、徹底して多くの問題に取り組みます。特に制度系の科目は覚えるしかありません。どちらかというと苦手な教科であるだけに、繰り返し何度も取り組みました。一方、医療系、技術系の科目については、もともと好きな内容でもあり、すんなりと頭に入ったので「あまり心配してはいなかった」そうです。
水野さんは、この期間のことを振り返って、「勉強の総時間数とか効率性ということでは、数か月勉強に取り組んだという人とたいして差はないのでは」と自負しています。それほど必死に取り組んだということでしょう。ただ漫然と時間だけを重ねる勉強では、効率が悪いだけで、知識自体も身についていないのではと言えます。
集中力を切らさずに筆記試験に臨む
受験勉強の仕上げに、水野さんは、筆記試験の3日前から会場近くにホテルに投宿して缶詰になり、3日間、ほとんど仮眠の状態で仕上げの過去問題集とにらみ合います。苦手とする、制度系の科目に絞っての取り組みです。試験当日は、ほぼ一睡もしていない状態で会場に出向いたとのことでした。
筆記試験本番では、与えられた時間を目一杯使い、「分からない問題もギリギリまで粘って考えた」とのこと。午前は制度系の科目です。水野さんは苦手意識もあって、1科目、どうしても回答に自信のないものがあり、得点群のなかで1科目でもゼロ点があると落第との合格規準があるので、これで落ちるのではと危惧したそうです。自分が解いた問題の点検をしたのは、試験が終わって数日してからのこと。落ちていたらとの思いもあり怖かったからでした。しかし、案ずるよりはで、不安に思っていた科目で得点があったので、それで安堵したのでした。
筆記試験本番では、与えられた時間を目一杯使い、「分からない問題もギリギリまで粘って考えた」とのこと。午前は制度系の科目です。水野さんは苦手意識もあって、1科目、どうしても回答に自信のないものがあり、得点群のなかで1科目でもゼロ点があると落第との合格規準があるので、これで落ちるのではと危惧したそうです。自分が解いた問題の点検をしたのは、試験が終わって数日してからのこと。落ちていたらとの思いもあり怖かったからでした。しかし、案ずるよりはで、不安に思っていた科目で得点があったので、それで安堵したのでした。
最後の追い込みは水野さんに学ぶ
振り返って、水野さんの受験勉強をみてみると、短期で詰め込む学習の仕方で、この勉強が普段の仕事の糧になるというものとは言えないと水野さんは自ら整理しています。しかし、合格するという目的だけを考えたとき、多くの受験生にとっても最終段階の勉強の仕方としては大いに参考になるところがあるのでは。
1日に取り組むべき学習内容をしっかりと計画立てて、それを確実に実行します。周囲の協力を取り付け、勉強に専念できる体制を整えます。中途半端にしていると、時間だけを浪費し、周囲にも迷惑をかけてしまいます。自分のモチベーションを上げる手段を人それぞれに考えてみて、短期間の学習としてどれが自分に効果的かを考え、作戦を練ってほしいものです。
そのとき、水野さんと一緒に受験した職員には、短期集中の勉強法を指南し、やはり試験会場には1日前には宿泊して缶詰で追い込みの勉強をすることを実践させたのだとか。その甲斐あって、その職員も合格したとのこと。以来、水野さんは、職員が資格取得の相談をしてきたときには、勉強をするという心構えの持ち方を指導し、中途半端に勉強してはいけないと説いています。気持ちが曖昧だと、記憶は不鮮明になりますし、記憶は集中力が大切な要素となることを指導します。そのうえで、短期集中の勉強法を伝授するのと同時に、計画的な学習法を身につけるようにアドバイスをしているとのことです。
実は、水野さんは、2年前に胃の全摘手術を受けました。それにも関わらず、声には張りがあり、元気に仕事に向っています。これからは懸案の社会福祉士資格に向けて勉強するのだと、通信講座も続けています。何度も受験するのは嫌なので、一発合格を目指すとのこと。
「職場の同僚にも、そして利用者にも明るく振舞うには、自分の意識を奮い立たせること」と水野さん。水野さんの明るさは、職場においても、そして利用者にとっても励みとなっているようでした。
1日に取り組むべき学習内容をしっかりと計画立てて、それを確実に実行します。周囲の協力を取り付け、勉強に専念できる体制を整えます。中途半端にしていると、時間だけを浪費し、周囲にも迷惑をかけてしまいます。自分のモチベーションを上げる手段を人それぞれに考えてみて、短期間の学習としてどれが自分に効果的かを考え、作戦を練ってほしいものです。
そのとき、水野さんと一緒に受験した職員には、短期集中の勉強法を指南し、やはり試験会場には1日前には宿泊して缶詰で追い込みの勉強をすることを実践させたのだとか。その甲斐あって、その職員も合格したとのこと。以来、水野さんは、職員が資格取得の相談をしてきたときには、勉強をするという心構えの持ち方を指導し、中途半端に勉強してはいけないと説いています。気持ちが曖昧だと、記憶は不鮮明になりますし、記憶は集中力が大切な要素となることを指導します。そのうえで、短期集中の勉強法を伝授するのと同時に、計画的な学習法を身につけるようにアドバイスをしているとのことです。
実は、水野さんは、2年前に胃の全摘手術を受けました。それにも関わらず、声には張りがあり、元気に仕事に向っています。これからは懸案の社会福祉士資格に向けて勉強するのだと、通信講座も続けています。何度も受験するのは嫌なので、一発合格を目指すとのこと。
「職場の同僚にも、そして利用者にも明るく振舞うには、自分の意識を奮い立たせること」と水野さん。水野さんの明るさは、職場においても、そして利用者にとっても励みとなっているようでした。