13万人を超える受験者の中から晴れて介護福祉士になった皆さんに、仕事をしながら勉強を続けるコツや効果的な勉強法、受験を仕事に活かす展望についてうかがいました。
第8回 君成田健一さん
介護老人保健施設 フロア介護主任
君成田さんが使った参考書
介護福祉士国家試験過去問解説集
中央法規出版
中央法規出版
君成田さんの合格までの道のり
サラリーマンから介護職に
君成田さんは、学校を出てからはマーケットリサーチの会社で統計をとるなどの仕事に携わっていました。しかし、次第に自分が本当にしたい仕事とは何かを考えるようになり、人との関わりなど、自分にとっても大切なことを模索していきます。「丁度、介護保険制度の導入に至るときで、介護はこれからの成長産業の一つであろうと、ホームヘルパー2級の講習を受け、介護の世界に転進することにした」のだそうです。
そして現在の老人保健施設に入職したのですが、介護の仕事は、自分から望んで入ってきたこともあって、個々の人に関わる仕事に生きがいを感じました。君成田さんは、介護福祉士国家資格については、この世界に入ると決めたときから取得するつもりであったそうです。資格があることで、昇給も昇進の可能性も開けるでしょうし、またケアの資質の向上にも有意義であるとの認識でした。そこで、3年経ったら資格取得をすることにしていました。
そして現在の老人保健施設に入職したのですが、介護の仕事は、自分から望んで入ってきたこともあって、個々の人に関わる仕事に生きがいを感じました。君成田さんは、介護福祉士国家資格については、この世界に入ると決めたときから取得するつもりであったそうです。資格があることで、昇給も昇進の可能性も開けるでしょうし、またケアの資質の向上にも有意義であるとの認識でした。そこで、3年経ったら資格取得をすることにしていました。
図書館は受験勉強に最適
実務経験3年の要件が満たされた2003年、すぐに受験の申し込みをしたものの、なかなか受験勉強には手がつかず、実質的な勉強を始めたのは9月に入ってからだったといいます。
遅れを取り戻し勉強に集中するため、君成田さんは図書館を利用して勉強に打ち込みます。介護の仕事は時間帯が一定ではないので、かえって図書館の開館時間を使って勉強できます。自宅に帰ると家族への対応もしないといけません。するとどうしても集中できないので、図書館となったのだそうです。家族もそのことは十分に理解してくれたので、時間を見出しては図書館に通う日が続きました。
図書館では苦手科目や暗記科目を中心に、過去問題集を解くことで勉強を進めていきました。「過去問題を当たっていくと、制度や人名などは一定の出題パターンが読み取れます。こうした用語については、図書館の資料を当たりました。やみくもに人名や制度名などを覚えていては、記憶が曖昧なままになりがちですね。自分が通った図書館には、介護関係の資料が多く蔵書されていて、資料をひも解くと、その事象の背景や関連事項なども読み取れ、知識が充実されるのです。資料を当たっていると、自分が調べたい事項の周囲にもいろいろなことが載っています。そうしたことにも自然と目が行き、そのことが勉強になりました」と君成田さん。知識の範囲が広がることで、その知識自体が確かなものとなり、結果としてひっかける出題に戸惑うことが少なくなったと言います。
遅れを取り戻し勉強に集中するため、君成田さんは図書館を利用して勉強に打ち込みます。介護の仕事は時間帯が一定ではないので、かえって図書館の開館時間を使って勉強できます。自宅に帰ると家族への対応もしないといけません。するとどうしても集中できないので、図書館となったのだそうです。家族もそのことは十分に理解してくれたので、時間を見出しては図書館に通う日が続きました。
図書館では苦手科目や暗記科目を中心に、過去問題集を解くことで勉強を進めていきました。「過去問題を当たっていくと、制度や人名などは一定の出題パターンが読み取れます。こうした用語については、図書館の資料を当たりました。やみくもに人名や制度名などを覚えていては、記憶が曖昧なままになりがちですね。自分が通った図書館には、介護関係の資料が多く蔵書されていて、資料をひも解くと、その事象の背景や関連事項なども読み取れ、知識が充実されるのです。資料を当たっていると、自分が調べたい事項の周囲にもいろいろなことが載っています。そうしたことにも自然と目が行き、そのことが勉強になりました」と君成田さん。知識の範囲が広がることで、その知識自体が確かなものとなり、結果としてひっかける出題に戸惑うことが少なくなったと言います。
施設内の勉強会自体が受験勉強に重なる
君成田さんが勤めている法人では、常にケアの勉強が進められています。日々のケアの中で、一人の利用者になぜそのようなケアを行うのか、明確に意識して介護する姿勢が問われ、その理由を自分の言葉で語るといった研鑽が詰まれています。また、職場内での研究発表も年1回行われ、必ず報告しないとならないため、課題の設定から始まり、その発表自体が評価されますので、結論についても説得力が求められます。そのため、日々のケアを無意識に決まったことだけこなしているといったことはできません。「そのケアはどういった根拠で行われ、アセスメントやモニタリングに至るまで、考えるケアが求められる」職場になっているのです。こうした日々の職場環境であったため、君成田さんは、技術系については自信があったそうです。図書館での勉強では、こうした日々の介護を過去問題を解くことで、整理し直していったというのが実態でした。
職場内での受験対策
また、君成田さんの職場では資格取得を勧めていて、勉強には上司などもアドバイスしてくれる形ができていました。そうした背景もあって、勉強開始が遅かったにもかかわらず、1回の試験で合格できたのだと君成田さんは振り返っています。実は、筆記試験のみならず、筆記が合格すると、施設内で実技試験の模擬テストをしてくれます。「これは数名の上役が見ている前で実際に課題を与えられて行うというもので、自分の日頃の理解があからさまになってしまうので、むしろ実際の試験よりも緊張の度合いは大きかった」とのこと。そうしたバックアップがあって、実技試験も難なく合格しました。
この間、受験勉強そのものとして使用した参考書は、過去問題集のみでした。それ以外は、先に述べたように図書館にある様々な資料で捕捉しただけです。勉強する姿勢が明確であれば、知識は自ずと頭に入ってくるのでしょう。
筆記試験はマークシート形式ですが、君成田さんの世代は、学校等でこうした様式の出題経験が多く、慣れているので、それで戸惑うことはなかったそうです。試験会場は自宅から遠いところではなく、下見などもしませんでした。当日、ゆとりをもって出かけたといった程度です。試験自体も、緊張しすぎてという人もいるかもしれませんが、君成田さんの場合は、適度な緊張といった感じで、集中して試験に臨めたとのこと。
この間、受験勉強そのものとして使用した参考書は、過去問題集のみでした。それ以外は、先に述べたように図書館にある様々な資料で捕捉しただけです。勉強する姿勢が明確であれば、知識は自ずと頭に入ってくるのでしょう。
筆記試験はマークシート形式ですが、君成田さんの世代は、学校等でこうした様式の出題経験が多く、慣れているので、それで戸惑うことはなかったそうです。試験会場は自宅から遠いところではなく、下見などもしませんでした。当日、ゆとりをもって出かけたといった程度です。試験自体も、緊張しすぎてという人もいるかもしれませんが、君成田さんの場合は、適度な緊張といった感じで、集中して試験に臨めたとのこと。
新たなる挑戦と施設のケアのあり方
君成田さんはいま、ケアマネジャーの資格取得を目指しています。本格的な勉強はこれからですが、やはり図書館を有効利用したいとのこと。実のところ、ケアマネジャーという立場で、プランニングなどを行っているよりも、介護職として直接個人と関わり合うことに遣り甲斐を感じているのだそうです。ケアマネジャーの役割は大切であるとは思っていますが、その仕事はどこかその人から遠ざかっているような気がしてならないのだそうです。しかし、ケアマネジャーの視点で捉えることもまたケアには必要であり、それを学ぶことにも意義があると思うので、これから頑張ってやっていきたいとのこと。
ケアの質の向上のため勉強することを常に求めているのが、君成田さんの職場でした。一定のパターン化された業務としてのケアを盲目的に日々行うのではなく、研究発表の場を作るなど、いつも目的をもち、検証しながらケアを進めるといった姿勢を養う仕組みが存在することが、君成田さん自身の勉強となっていました。それで受験がスムースに進むというのですら、ケアの質向上を目指すことと受験勉強とは両立することになります。
介護福祉士の資格を取るために、ただ勉強時間を工面すれば良いというのではなく、どのように勉強するか、そもそも資格の存在意義はケアの質の向上にあるのですから、そのために努力することが勉強になるという仕掛けがあることは、とても意義のあることといえるのではないでしょうか。どこの施設でもできるということではないかもしれませんが、ケアの研鑽システムと資格取得とを結びつけた体制を作っていくことは、これからの施設には大切なことではないかと思います。
ケアの質の向上のため勉強することを常に求めているのが、君成田さんの職場でした。一定のパターン化された業務としてのケアを盲目的に日々行うのではなく、研究発表の場を作るなど、いつも目的をもち、検証しながらケアを進めるといった姿勢を養う仕組みが存在することが、君成田さん自身の勉強となっていました。それで受験がスムースに進むというのですら、ケアの質向上を目指すことと受験勉強とは両立することになります。
介護福祉士の資格を取るために、ただ勉強時間を工面すれば良いというのではなく、どのように勉強するか、そもそも資格の存在意義はケアの質の向上にあるのですから、そのために努力することが勉強になるという仕掛けがあることは、とても意義のあることといえるのではないでしょうか。どこの施設でもできるということではないかもしれませんが、ケアの研鑽システムと資格取得とを結びつけた体制を作っていくことは、これからの施設には大切なことではないかと思います。
教える立場に立つこと
君成田さんの施設では他の施設に比べて、男性介護職が多いのではないかとのこと。後輩たちにも、介護福祉士の資格をとって欲しいと願っています。自分も後輩たちを教える立場になっているので、資格があること自体よりも、資格取得を目指すことで勉強することの意義を見出すことができれば、そのことがケアの質の向上につながると考えています。その意味では、「介護職を有資格化するという話も聞きますが、それは良いことだと思う」とのこと。まだまだ介護職は世間では評価されていないのが現状だとの意識です。
賃金の伸び悩み、施設報酬の減額とマイナスの話ばかりが続く介護現場ですが、モチベーションが落ちてしまうのが、いまの介護現場です。資格を目指すことで、ケアの質が向上し、また専門性をもって語ることができるようになれば、世間の評価も変わってくるでしょう。君成田さんは、そうした時代が来ることを願っています。
君成田さんは、現在フロアの介護主任の立場です。フロア全体の各スタッフの働きなどを統括する立場にある以上、今後はますます管理する立場の視点を求められるようになるでしょう。そんな折、一ケアの現場スタッフとしての個人と関わるという気持ちをしっかりと持ち続けて、その上で管理という視点を捉えて欲しいと思います。ケア現場の一人ひとりの意識が、やがては大きな動きを生み出すことを期待しています。
賃金の伸び悩み、施設報酬の減額とマイナスの話ばかりが続く介護現場ですが、モチベーションが落ちてしまうのが、いまの介護現場です。資格を目指すことで、ケアの質が向上し、また専門性をもって語ることができるようになれば、世間の評価も変わってくるでしょう。君成田さんは、そうした時代が来ることを願っています。
君成田さんは、現在フロアの介護主任の立場です。フロア全体の各スタッフの働きなどを統括する立場にある以上、今後はますます管理する立場の視点を求められるようになるでしょう。そんな折、一ケアの現場スタッフとしての個人と関わるという気持ちをしっかりと持ち続けて、その上で管理という視点を捉えて欲しいと思います。ケア現場の一人ひとりの意識が、やがては大きな動きを生み出すことを期待しています。