13万人を超える受験者の中から晴れて介護福祉士になった皆さんに、仕事をしながら勉強を続けるコツや効果的な勉強法、受験を仕事に活かす展望についてうかがいました。
第5回 石田二郎さん
訪問介護事業所 ホームヘルパー
石田さんが使った参考書
介護福祉士国家試験 徹底研究
一橋出版
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介護福祉士国家試験 頻出問題要点チェック
中央法規出版
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介護福祉士国家試験 解説集
中央法規出版
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石田さんの合格までの道のり
石田さんと訪問介護の仕事
石田さんは昭和29年生まれの53歳。男性が極めて少ない訪問介護の職場を選んだのは、いまから4年前。サラリーマン生活に終止符を打ち、「これからの時代に自分が納得できる仕事をしたい」と転職しました。現法人に勤めることになったきっかけは、そこでヘルパー2級の講習会を受けたことから。そのまま延長して採用となったのです。主婦の同僚が多いなかで、石田さんは早朝、夜間の訪問を買って出ます。限られた訪問時間では利用者の気持ちを汲み取ることは困難で、つい時間が伸びてしまうことも。
石田さんの所属する法人は認知症高齢者のグループホームを運営していて、そのノウハウは大変に高いものがあります。石田さんは日曜日には日勤としてグループホームでお年寄りとの会話を楽しんでいます。訪問介護の仕事では認知症の学習をする機会は多くありません。石田さんはここで認知症介護の勉強もできることが幸いだと言っています。
石田さんの所属する法人は認知症高齢者のグループホームを運営していて、そのノウハウは大変に高いものがあります。石田さんは日曜日には日勤としてグループホームでお年寄りとの会話を楽しんでいます。訪問介護の仕事では認知症の学習をする機会は多くありません。石田さんはここで認知症介護の勉強もできることが幸いだと言っています。
知識の再確認としての「受験」
訪問介護の仕事を始めて3年の経験を積んだ昨年の8月、石田さんは法人の管理者から介護福祉士の国家資格取得を勧められました。そのとき石田さんは、「資格取得」ということよりも、ヘルパー講習等で学んだ事柄の再整理をするという気持ちで勉強してみることにしました。訪問介護の仕事では、対象となる利用者が限定されるため、そのときどきの利用者に合った介護技術以外はなかなか実行する機会がありません。「使わないでいればそのうち知識も薄れて意欲も落ちてしまうかもしれない」、そう考えると、ここで勉強し直すのは良い機会だと思えたのです。
試験センターから「受験の手引き」を取り寄せ、願書提出すると同時に、試験勉強を開始します。しかし、受験したと周囲に知らせると「不合格となったら恥ずかしいから」と黙って受験することとしたのでした。
試験センターから「受験の手引き」を取り寄せ、願書提出すると同時に、試験勉強を開始します。しかし、受験したと周囲に知らせると「不合格となったら恥ずかしいから」と黙って受験することとしたのでした。
石田さんの受験勉強
そのようなわけで、石田さんが勉強を始めたのは、申し込み手続きをした9月になってから。近所の書店に出かけ受験参考書を買い込みます。これを繰り返し読み込むことで知識を確認していきました。石田さんは、当初、いつ頃までにどの教科を終えようと漠然とした目標を立てて勉強していたのですが、1月ほどやってみると、どうしても予定どおりに進みません。勉強の遅れがみえたことから、受験対策講習会に申し込みます。これは1日1科目ごとの受講で代金は各1500円と格安。時間帯は夜の18時から20時30分まで。石田さんは全科目申し込みました。これにより受講した科目に合せて勉強することで遅れもカバーでき、全科目満遍なく勉強することができたそうです。
遅れが出た原因を振り返ってみると、石田さんは医学知識などの勉強が好きで、そこばかり読み込んでしまう傾向にあり、苦手教科の勉強が後手になっていたのでした。講習会での勉強は「自分の弱点を補う調整材料でもあった」と石田さん。講習会ではまた、試験のテクニックやコツも伝授されました。問題作成側の意図を掴むことが答えに迷うときのテクニックとされていて、それなりに有意義なものだったとのこと。
一通り全科目の学習が終わったところで、石田さんは今度は過去問題集を買ってきて自己採点してみました。その結果、かなりの確率で正答が得られたので自信がついたそうです。この時点で12月も半ばが過ぎようとしていました。
しかし、暗記ものはとにかく覚えないとなりません。そこで必要と思われる内容をメモ帳に書き出し、繰り返し読み込みました。さらに1次試験の直前には、特に重要だと思う事柄を20点に絞って繰り返し読み込みました。なんとそのうち「2問」が実際に出題されたということですから、石田さんは勘が鋭いのかもしれません。
記憶ものは、物語のようにエピソードとして記憶するものほど、記憶が確かになります。しかし、教科学習となると、現業で働いている人たちには、内容を深めてエピソード化して理解する時間はありません。暗記しないとならないものは、それなりに時間をかける必要もあるでしょう。
遅れが出た原因を振り返ってみると、石田さんは医学知識などの勉強が好きで、そこばかり読み込んでしまう傾向にあり、苦手教科の勉強が後手になっていたのでした。講習会での勉強は「自分の弱点を補う調整材料でもあった」と石田さん。講習会ではまた、試験のテクニックやコツも伝授されました。問題作成側の意図を掴むことが答えに迷うときのテクニックとされていて、それなりに有意義なものだったとのこと。
一通り全科目の学習が終わったところで、石田さんは今度は過去問題集を買ってきて自己採点してみました。その結果、かなりの確率で正答が得られたので自信がついたそうです。この時点で12月も半ばが過ぎようとしていました。
しかし、暗記ものはとにかく覚えないとなりません。そこで必要と思われる内容をメモ帳に書き出し、繰り返し読み込みました。さらに1次試験の直前には、特に重要だと思う事柄を20点に絞って繰り返し読み込みました。なんとそのうち「2問」が実際に出題されたということですから、石田さんは勘が鋭いのかもしれません。
記憶ものは、物語のようにエピソードとして記憶するものほど、記憶が確かになります。しかし、教科学習となると、現業で働いている人たちには、内容を深めてエピソード化して理解する時間はありません。暗記しないとならないものは、それなりに時間をかける必要もあるでしょう。
1次試験当日
過去問題集で一定の得点を得ることができていたので、石田さんは筆記試験には自信をもって臨みました。しかしそこに落とし穴がありました。それは「時間配分」。自分で過去問題集を解いていたときは、時間配分をそれほど意識していなかったのです。そのため、20問近く未解答という段階で、残り時間が30分程度となってしまったのだそうです。このとき石田さんは初めて、「模擬テストなどで、時間配分の目安を心得ておけば、このように慌てることはなかった」と思ったのでした。
危ないところだったのですが、数日後自己採点してみたところ94点と高得点が期待できました。そこで石田さんはすぐさま、実技試験への対応を図ったのでした。
危ないところだったのですが、数日後自己採点してみたところ94点と高得点が期待できました。そこで石田さんはすぐさま、実技試験への対応を図ったのでした。
2次試験に臨む
実は、筆記試験の受験講座を開いていた事業者が2次向けの緊急対策講座を開いていたので受講することとしました。これは過去問題を受講者が実際に実技するというもので、4問4回のコースです。石田さんはそれまで実技試験がどのようなものか、全く知識がありませんでした。利用者モデルの名前を呼んで声かけし、どのようなことをするのかモデルに伝えるといった要点など、ここで知ったのです。「限られた試験時間の中で実技を行うということは、やはり予め練習して体で覚えていかないと、本を読んだだけではわからないし、当日、何もできないだろう」と石田さん。この講習は意義があったと痛感していました。
石田さんが考える合格へのパスポート
石田さんはその経験から、受験勉強は短期集中が効果的だとのこと。過去問から正答の文脈をよく把握するなど、効率的な勉強時間をもてるようにすることを勧めています。
(筆記試験について)
○介護福祉士国家試験は、過去問題をしっかりと勉強。4〜6割はそこから出題されることが多い。
○五肢択一の解答方式であるので、正しい文脈を過去問から学ぶこと。
(実技試験について)
○出題内容をよく確認して、右麻痺・左麻痺を取り違えるなど、ケアレスミスをなくすこと。
○実演しないと身に付かない。講習会などが身近にないならば、仲間を募って勉強する体制を作るとよい。
(筆記試験について)
○介護福祉士国家試験は、過去問題をしっかりと勉強。4〜6割はそこから出題されることが多い。
○五肢択一の解答方式であるので、正しい文脈を過去問から学ぶこと。
(実技試験について)
○出題内容をよく確認して、右麻痺・左麻痺を取り違えるなど、ケアレスミスをなくすこと。
○実演しないと身に付かない。講習会などが身近にないならば、仲間を募って勉強する体制を作るとよい。
訪問介護員と国家試験
介護福祉士の国家試験を受験する男性は、多くはありませんが、それなりにいたそうです。しかし施設の「若い職員ばかりで、自分のように年齢の高い男性受験者は珍しい存在でした」と石田さん。しかし、これからの時代、年配の男性にも頑張ってほしいとのこと。
訪問介護員が受験する場合、スタッフが集まって学習会を行うといった機会を設けることは困難ですが、しかし仲間内で研鑽することは有意義です。石田さんのように、自分の介護の知識を確かめるといった意味でも、事業所で受験勉強に取り組んでみるのも意義があるのではないでしょうか。
訪問介護員が受験する場合、スタッフが集まって学習会を行うといった機会を設けることは困難ですが、しかし仲間内で研鑽することは有意義です。石田さんのように、自分の介護の知識を確かめるといった意味でも、事業所で受験勉強に取り組んでみるのも意義があるのではないでしょうか。