13万人を超える受験者の中から晴れて介護福祉士になった皆さんに、仕事をしながら勉強を続けるコツや効果的な勉強法、受験を仕事に活かす展望についてうかがいました。
第4回 田代恵子さん
特別養護老人ホーム ケアマネジャー
田代さんが使った参考書
介護福祉士受験ワークブック
中央法規出版
中央法規出版
介護福祉士国家試験模擬問題集
中央法規出版
中央法規出版
田代さんの合格までの道のり
「考える介護」と受験勉強ということ
田代さんが介護福祉士の資格を取得したのは、平成15年。介護の仕事について4年目のことでした。田代さんの施設では、多くのスタッフが資格を有していて、受験するのは当然といった雰囲気の職場です。当然、田代さんも入職すると3年後には受験することに決めていました。
田代さんは、学校を卒業後、一般企業のOLとして7年間働き、その後は専業主婦として子育てに専念。ところが離婚して子ども二人を抱えて働き口を探さなければならなくなりました。実家のある新潟に戻り「さて、どうしようか」となったとき、「人と直接関わる仕事に就きたい」との思いが湧き上がってきたそうです。それが介護の仕事を選んだきっかけでした。その初心を大切にして、日々の介護の仕事のなかで、どうしたら良い介護ができるのか、ただ手順どおりに行うというのではなく、なぜそうした介護が必要なのか、あるいはこうした介護でよいのか、「考える介護」を行ってきました。田代さんの施設では、さまざまな勉強会が行われていて、医学の知識や、障害の種類別の対応といった学習が盛んです。ここでは、日々の介護がこうした土台のうえに作られています。実は、こうした“施設の介護を良いものにしていこう”というスタッフの研鑽自体が、田代さんの受験勉強の基礎を形づくっていたのでした。
なんと、田代さんが本格的な受験勉強を始めたのは、受験申請した年の12月になってからだったのです。
田代さんは、学校を卒業後、一般企業のOLとして7年間働き、その後は専業主婦として子育てに専念。ところが離婚して子ども二人を抱えて働き口を探さなければならなくなりました。実家のある新潟に戻り「さて、どうしようか」となったとき、「人と直接関わる仕事に就きたい」との思いが湧き上がってきたそうです。それが介護の仕事を選んだきっかけでした。その初心を大切にして、日々の介護の仕事のなかで、どうしたら良い介護ができるのか、ただ手順どおりに行うというのではなく、なぜそうした介護が必要なのか、あるいはこうした介護でよいのか、「考える介護」を行ってきました。田代さんの施設では、さまざまな勉強会が行われていて、医学の知識や、障害の種類別の対応といった学習が盛んです。ここでは、日々の介護がこうした土台のうえに作られています。実は、こうした“施設の介護を良いものにしていこう”というスタッフの研鑽自体が、田代さんの受験勉強の基礎を形づくっていたのでした。
なんと、田代さんが本格的な受験勉強を始めたのは、受験申請した年の12月になってからだったのです。
田代さんの受験勉強
田代さんは、多くの同僚と同様に、9月初めには受験の申し込みを済ませ、それと同時に通信講座などで勉強をしようと試みました。しかし毎回の回答を作成する時間を捻出することができずに、通信講座は中途半端に終わってしまいます。しかし、先に合格した同僚が模擬試験なら役に立つとすすめられ、日本介護福祉士会主催の試験を受けたのは12月になってからでした。アドバイスしてくれた人も、それから勉強して合格したというので、「自分も何とかなるのでは」と思ったそうです。模擬試験の結果は、田代さんが自信をつける動機となりました。「これならいけそうだ」と、そこから一機にスパートします。
ワークブックや過去問題集を購入し、まずは、記憶しなくてはならない科目から、用語帳を作成して、何度も覚え込みます。テキストなどで科目を数回読み込んだらそのつど、問題集で自分の学習成果を確認しました。技術系の科目や、医学一般といった科目については、職場での仕事を通じた学習がそのまま役に立ち、受験勉強は日々の仕事を整理し直して捉えるといったものだったとか。
それでも普段は仕事があるので、受験勉強に当てられる時間は多くても1時間半程度。夜勤前後の空いた時間や休日に集中して勉強に励みました。「正月も返上して除夜の鐘を遠くに聞きながら受験参考書にかじりついていました」と田代さん。
ワークブックや過去問題集を購入し、まずは、記憶しなくてはならない科目から、用語帳を作成して、何度も覚え込みます。テキストなどで科目を数回読み込んだらそのつど、問題集で自分の学習成果を確認しました。技術系の科目や、医学一般といった科目については、職場での仕事を通じた学習がそのまま役に立ち、受験勉強は日々の仕事を整理し直して捉えるといったものだったとか。
それでも普段は仕事があるので、受験勉強に当てられる時間は多くても1時間半程度。夜勤前後の空いた時間や休日に集中して勉強に励みました。「正月も返上して除夜の鐘を遠くに聞きながら受験参考書にかじりついていました」と田代さん。
試験本番
試験会場は東京だったので、前日に下見をしました。当日は携帯電話の持ち込みが禁止されるなどするので、試験で慌てないように心構えを整えます。筆記試験はマークシート方式です。これは学生時代に馴染んでいたので違和感はなかったそうですが、田代さんは、「自信のある問題から解くのではなく、出題順に一つひとつシートを埋めていくように」しました。以前に回答の枠を誤って記入し、不合格となったと人の話を聞いていたからです。試験当日はどこかに落ち度が出ると思って臨んだほうが無難です。要は時間の使い方ですので、順番に回答していくというのは着実な試みと言えるでしょう。
筆記試験は自分でもまあまあとの感触で、やはり合格でした。ただ、試験終了後に回答合わせを行ったところ、「栄養・調理」に間違いが多く、自分で気がつかない落とし穴だったと反省が残りました。実技試験については、やはり同僚たちと問題を出し合って実演するという練習を数回重ねました。田代さんが受験した平成15年時点では、筆記試験合格の有効期限が2年でしたので、実技試験で落ちたら大変という気持ちが先立ち、筆記試験以上に緊張して実技試験に臨むこととなりました。
実技試験の問題は、体重のある片麻痺の利用者を、ベッド上方へ移動させるというものでした。田代さんは、声かけなどに気を配っている間に試験時間が過ぎてしまい、最後にシーツのしわを直すことができずに終わり、頭の中が真っ白になったとのこと。これは不合格かなと思っていたのでしたが、合格通知が届いて大喜び。
筆記試験は自分でもまあまあとの感触で、やはり合格でした。ただ、試験終了後に回答合わせを行ったところ、「栄養・調理」に間違いが多く、自分で気がつかない落とし穴だったと反省が残りました。実技試験については、やはり同僚たちと問題を出し合って実演するという練習を数回重ねました。田代さんが受験した平成15年時点では、筆記試験合格の有効期限が2年でしたので、実技試験で落ちたら大変という気持ちが先立ち、筆記試験以上に緊張して実技試験に臨むこととなりました。
実技試験の問題は、体重のある片麻痺の利用者を、ベッド上方へ移動させるというものでした。田代さんは、声かけなどに気を配っている間に試験時間が過ぎてしまい、最後にシーツのしわを直すことができずに終わり、頭の中が真っ白になったとのこと。これは不合格かなと思っていたのでしたが、合格通知が届いて大喜び。
受験を振り返って
田代さんの受験勉強は、日々の仕事がそのまま生きていくという、最も望ましいものでした。だから12月になってからの勉強でも合格できたのですが、それには「初心を忘れず」考える介護という実践があったからこそ、仕事から学ぶことができたのです。施設内での学習会では、「仕事柄興味があって、それで自然と覚えていった」と田代さんは言います。
それでも、受験という場のもつ雰囲気は、普段の仕事では経験できないものです。そこで、「模擬試験など受験会場の雰囲気を予め体験して、その場での自分の実力を知っておくことは大切だ」と田代さんは振り返ります。また苦手科目の勉強を後回しにしていては、身に付かずに試験に臨むこととなるので、「マークシートを埋めるのと同様、順を追って一つずつ、地道にやっていくことが大切なのでは」と、これから試験を受けようとする同僚にアドバイスしています。
それでも、受験という場のもつ雰囲気は、普段の仕事では経験できないものです。そこで、「模擬試験など受験会場の雰囲気を予め体験して、その場での自分の実力を知っておくことは大切だ」と田代さんは振り返ります。また苦手科目の勉強を後回しにしていては、身に付かずに試験に臨むこととなるので、「マークシートを埋めるのと同様、順を追って一つずつ、地道にやっていくことが大切なのでは」と、これから試験を受けようとする同僚にアドバイスしています。
介護福祉士と介護
田代さんは介護福祉士の資格取得後も、さらに研鑽していまケアマネジャーの役割を担っていますが、「介護は考えることの多い仕事で、対象者一人ひとりに望まれる介護を生み出すということは本当に創造的な仕事だ」と感じています。OL時代にはなかった充実感がそこにはあるそうです。アセスメントをし、ケアプランを立てて個別援助をする時代の介護においては、日々の仕事のなかで基本がみにつき、そのこと自体が勉強と重なって、受験によって自分の知識や考え方を整理することにつながるといえるのでしょう。田代さんは、受験勉強のための介護の知識ではなく、日々の実践を確かめるための勉強であることが大切だと訴えているようでした。