13万人を超える受験者の中から晴れて介護福祉士になった皆さんに、仕事をしながら勉強を続けるコツや効果的な勉強法、受験を仕事に活かす展望についてうかがいました。
第1回 阿部しのぶさん
元訪問介護員
阿部さんが使った参考書
2007介護福祉士国家試験模擬問題集
中央法規出版
中央法規出版
介護福祉士受験ワークブック2007
中央法規出版
中央法規出版
阿部さんの合格までの道のり
より高みを求めて
訪問介護事業所で直行直帰の登録ヘルパーとして勤務して4年―― 事業所が変わるなどの変遷はありましたが、利用者との関係性を重視したケアを続ける中で、阿部さんはふと「このままでよいのだろうか」と疑問に思いました。
「一人の利用者さんと長い期間かかわることが多かったので、自分の経験年数に比べて汎用性のある実力が備わっていないのではないかと不安になりました。そこで、さらなるスキルアップを求めて、介護福祉士を取得しようと決意したのです」
すでにホームヘルパー2級の資格はもっていましたが、昨今の「ヘルパー資格は介護福祉士に統一される」という報道もあり、やるなら早いほうがいいという気持ちも働いたといいます。
「一人の利用者さんと長い期間かかわることが多かったので、自分の経験年数に比べて汎用性のある実力が備わっていないのではないかと不安になりました。そこで、さらなるスキルアップを求めて、介護福祉士を取得しようと決意したのです」
すでにホームヘルパー2級の資格はもっていましたが、昨今の「ヘルパー資格は介護福祉士に統一される」という報道もあり、やるなら早いほうがいいという気持ちも働いたといいます。
時間を創り出すには……
現在、多くの受験テキストが販売されていますが、阿部さんが選択した方法は通信教育。「正直、最初は何をすればよいのか分かりませんでした。そんなとき、広告で通信教育のことを知り、申し込みました」(阿部さん)。頭のリハビリも兼ねて、できるだけ早くから始めたかったため、4月には勉強をスタート。多くのヘルパー同様、仕事と家庭をもち、その合間をぬって勉強するのが大変だったと阿部さん。
その秘訣は「夜、家事を終えた後に、テキストを開いて勉強していました。疲れているときなどは、開いたページが前に進まなかったり、そのままこたつで寝てしまったりもしましたが、とにかく毎日開くことで習慣をつけることが大きかったですね」。
テキストの中身についても、仕事の延長としてとらえられる技術系の科目(介護概論、形態別介護技術、介護技術)はすんなりと頭に入ってきましたが、制度系の科目(社会福祉概論、老人福祉論、障害者福祉論)は身近に接していないだけに、覚えてもすぐに忘れてしまうので、繰り返しの学習が欠かせなかったといいます。加えて、テキスト自体、高齢者施設で働くことを前提としている場面が多いので、訪問介護しか知らない阿部さんには、勉強になった反面、難しかったとか。「他職種のことや医学知識についても、『どうして学ぶのだろう』と思うこともありましたが、見識を広めるには役立ちましたね」。
その秘訣は「夜、家事を終えた後に、テキストを開いて勉強していました。疲れているときなどは、開いたページが前に進まなかったり、そのままこたつで寝てしまったりもしましたが、とにかく毎日開くことで習慣をつけることが大きかったですね」。
テキストの中身についても、仕事の延長としてとらえられる技術系の科目(介護概論、形態別介護技術、介護技術)はすんなりと頭に入ってきましたが、制度系の科目(社会福祉概論、老人福祉論、障害者福祉論)は身近に接していないだけに、覚えてもすぐに忘れてしまうので、繰り返しの学習が欠かせなかったといいます。加えて、テキスト自体、高齢者施設で働くことを前提としている場面が多いので、訪問介護しか知らない阿部さんには、勉強になった反面、難しかったとか。「他職種のことや医学知識についても、『どうして学ぶのだろう』と思うこともありましたが、見識を広めるには役立ちましたね」。
実技講習会でエンジンがかかった
2005年から始まった実技試験免除のための講習会。阿部さんは「幅広い実技に、短い時間で応えられる自信がなかった」ため、講習会を受講しました。初年度ということもあり講習会がすぐに定員に達し、中には受講することができなかった受験者もいると聞きますが、阿部さんは11月に滑り込みで受講。この講習会が、1月の筆記に向けてエンジンをかけてくれたといいます。
「同じ志をもつ受験者と話したりすることで『このままではいけない』と、勉強に気合いが入りました」。訪問介護のヘルパーは、他の受験者と話す機会もそう多くないでしょう。受験対策セミナーなどでも同様の効果が得られますが、「時間がなかった」阿部さんは、週1回の講習会で仲間と語り合い、試験に向けてラストスパートをかけたのです。
「同じ志をもつ受験者と話したりすることで『このままではいけない』と、勉強に気合いが入りました」。訪問介護のヘルパーは、他の受験者と話す機会もそう多くないでしょう。受験対策セミナーなどでも同様の効果が得られますが、「時間がなかった」阿部さんは、週1回の講習会で仲間と語り合い、試験に向けてラストスパートをかけたのです。
1年間の勉強を今後につなげる
いよいよ受験当日。「特別な願掛けはしなかった」という阿部さん、午前中の制度系の科目では「もう駄目だ」と思ったとか。しかしながら午後の得意分野(技術系)で盛り返します。「受かると思っていなかったので、自己採点もしませんでした」といいますが、4月1日に届いた封書には「合格」の文字。嬉しさに加え、「あと1年、受験勉強しなくていいんだ」との安堵感が大きかったそうです。
晴れて介護福祉士となった阿部さん。この経験をどう活かしていきたいかと伺うと「実技試験の講習会では、アセスメントからケアの提供まで、利用者の一部分だけを見るのではない、その人を中心としたケアのあり方を学びました。今後は介護技術だけでなく、認知症の方に対する精神的なケアについて、経験を積んでいきたいです」。講習会で学んだ技術は、すぐに実務に役立ったといいます。
資格取得はあくまでもきっかけです。阿部さんのように、勉強を通じて得た気づきを実務に役立て、さらなるスキルアップを重ねることに、受験の本来の意味があるのでしょう。
晴れて介護福祉士となった阿部さん。この経験をどう活かしていきたいかと伺うと「実技試験の講習会では、アセスメントからケアの提供まで、利用者の一部分だけを見るのではない、その人を中心としたケアのあり方を学びました。今後は介護技術だけでなく、認知症の方に対する精神的なケアについて、経験を積んでいきたいです」。講習会で学んだ技術は、すぐに実務に役立ったといいます。
資格取得はあくまでもきっかけです。阿部さんのように、勉強を通じて得た気づきを実務に役立て、さらなるスキルアップを重ねることに、受験の本来の意味があるのでしょう。