第13回 生活の継続性 その1〜使い慣れた電子レンジ〜
認知症の方のケアに関わる重要な点のひとつに、生活の継続性を支援する、ということが挙げられます。これまでの生活スタイル、または現在の暮らし方を続けていくことを助けるもので、どの家でもあまり意識せずに、様々な住まいの工夫が行われています。そこで、今回から数回にわたり、生活の継続性に関する住まいの工夫を取り上げます。
住まいの工夫の内容
昔から使用していているダイヤルを回して操作するタイプの電子レンジを使い続けていました。古い型のために、電気代がかさむこと、大きい為に場所を取るというマイナス面はありましたが、操作に慣れているので、買い替えずに使い続けていました。
住まいの工夫を行った理由・ねらい
この事例の認知症の方は、家庭の中で簡単な食事の仕度をする役割を担っていました。この工夫は、認知症であっても、総菜を温めるなど食事の支度を続けられるようにするための住まいの工夫でした。
(家族から見て)住まいの工夫が役立つと感じる理由
電子レンジを使い続けておられるということでした。しかし、家族としては、使用しているこの電子レンジが故障して、新しいものに替えた場合に使いこなせない可能性があり、食事の支度ができなくなことを心配されていました。
専門家からみたひとこと
家族が留守のために一人で過ごすことが多い方や一人暮らしの認知症の方に対しては、事故や転倒などの危険性を回避するために、結果的に認知症の方の行動を制限してしまっているケースが少なくありません。
この事例の方は、食事の仕度をする役割を担っていますが、ご飯を必要以上にたくさん炊いてしまう、電磁調理器の使い方を間違い、たびたび鍋を焦がしてしまうなどの課題も抱えていました。
しかし、「危ないから」「無駄だから」といって行動を制限するのではなく、その方がこれまで行ってきたこと、出来ることを尊重する、という方針のもとに、様々な住まいの工夫が行われていました。
今回取り上げた例は、「敢えて買い替えない」工夫であり、意識してみなければ住まいの工夫として認識されにくい工夫です。しかしながら、将来的には、電磁調理器や電子レンジを使うことが難しくなる可能性があるなかでも、家庭の中での役割を果たし続けるために非常に重要な意味を持つ工夫でした。
この方は、その後転居されましたが、転居先にもこの電子レンジを運んで変わらず使い続けておられました。転居に伴う見当識の混乱も見られたなか、使い慣れて馴染み深い電子レンジがあることは安心感を与え、認知症の方の生活を支えていました。家族もたいへん心強かったことと思います。
このように今回ご紹介した事例は、認知症の方が出来ることを尊重した住まいの工夫や関わりを行うことが、生活の継続性に繋がっていくことを学ぶきっかけとなった事例のひとつといえます。
この事例の方は、食事の仕度をする役割を担っていますが、ご飯を必要以上にたくさん炊いてしまう、電磁調理器の使い方を間違い、たびたび鍋を焦がしてしまうなどの課題も抱えていました。
しかし、「危ないから」「無駄だから」といって行動を制限するのではなく、その方がこれまで行ってきたこと、出来ることを尊重する、という方針のもとに、様々な住まいの工夫が行われていました。
今回取り上げた例は、「敢えて買い替えない」工夫であり、意識してみなければ住まいの工夫として認識されにくい工夫です。しかしながら、将来的には、電磁調理器や電子レンジを使うことが難しくなる可能性があるなかでも、家庭の中での役割を果たし続けるために非常に重要な意味を持つ工夫でした。
この方は、その後転居されましたが、転居先にもこの電子レンジを運んで変わらず使い続けておられました。転居に伴う見当識の混乱も見られたなか、使い慣れて馴染み深い電子レンジがあることは安心感を与え、認知症の方の生活を支えていました。家族もたいへん心強かったことと思います。
このように今回ご紹介した事例は、認知症の方が出来ることを尊重した住まいの工夫や関わりを行うことが、生活の継続性に繋がっていくことを学ぶきっかけとなった事例のひとつといえます。