スタッフは財産
当然のことですが、事業所にとってスタッフは財産です。スタッフは大事な存在であり、かけがえのないものです。多くの経営者が、表現は違っても同じ認識をもっています。介護業界は人材不足といわれているので、その大切さを痛感します。
介護事業の経営者のなかには、現場出身の人も多くいます。そうした事業所は、経営者の想いを中心に経営されているので、利用者中心のサービスで質も良く、勉強会なども頻繁に開催しています。私自身、見学に行くと刺激を受け、勉強になります。
しかし、利用者への対応と、スタッフへの対応で、疑問に感じることがあります。介護事業では資格要件があるため、資格をもつ人材は価値があります。そうしたこともあり、スタッフに対して、利用者と同じように接している経営者がいます。スタッフを大事にしているのかといえば大事にしているのでしょうが、私は違和感を覚えます。スタッフへの指導、助言でも、「がんばっているから」と遠慮して言わないという状況です。
思っていることを伝えない理由は「がんばっているから」だけではなく、「辞められたら怖い」という気持ちがあると感じます。思っていることをすべて求められてはスタッフも大変で、すべて応えることは不可能でしょう。
「がんばり」を認めるのは大切ですが、指導すべき時、助言すべき時に経営者が遠慮しないといけない状況は異質です。スタッフは財産であり、宝物でもありますが、利用者、お客さまではありません。そういう扱いをすることで、逆にスタッフの気づきや成長を阻害している場合もあります。
私はスタッフに対して、「嫌われてもいい、しかし憎まれないようにしよう」と思っています。言いたくないこと、指摘したくないこともあります。しかし、
遠慮は出会いを逃す。相手との距離はあなたが決めている。(中谷彰宏)
という気持ちを忘れずに接していきたいものです。
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