特別な配慮と職人芸
今回は、特別な配慮が必要な場合の支援シナリオと、その実践についてみてみましょう。まずは、タイプ別のシナリオについてです。
いずれのタイプも、信頼関係ができたら、後は一般的なシナリオに移行します。しかし、パーソナリティー障害が疑われる場合は違います。まずは、精神科医など、専門家の意見を軸に支援計画を立てて、コミュニケーション時間を一分一秒でも短くするのがおすすめです。相手に振り回されにくくなるからです。もちろん、治療目的で接する場合はこの限りではありません。
また、虐待を告知して対立的に介入する場合は、認知行動変容的なスタイルをとります。信頼関係の構築は放棄はしないものの、相手には、望まないことでも実行して貰うことにやすいので、入念なシミュレーションが必要になります。もちろん、合法の範囲内に限りますが、私はいつも、借金取りの「追い込み」を教科書にしてきました。
つぎに、シナリオの実践についてですが、よく「理解はできるが、実行するとなると…」というように、さすがに一筋縄ではいきません。話しやすいような環境心理学的配慮は欠かせませんし、コミュケーションの約7割を占める非言語的なものへの感受性や配慮が、その後を大きく左右するからです。本来なら、面接の様子を録音や録画をして、逐語録を起こし、スーパービジョンを受けるなかで、自ら考え体得していくような修行が必要不可欠だと思います。
もっとも、きちんとしたスーパーバイザーを確保するだけでも一苦労です。そこで、簡単にできるわりに効果的な方法をご紹介します。それは、時間の長短に関係なく、立ち話程度でも1回の面接と考えて、全ての面接に通し番号をつけることです。こうすれば、「第○回から第○回まで信頼関係構築」など、プロの面接の代名詞である構造化を意識しやすくなりますし、工夫次第ではグラフ化できますから、より科学的な分析も可能になります。
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