利用者の疾患・症状に関する疑問
介護職のための高齢者の血便への対応方法
血便・下血には、早急な対応の必要のないものから、今すぐ対応が必要な重度の場合もあります。
高齢者の血便・下血の場合は身体の小さな変化がのちのち大きな影響を及ぼすので、その対応は慎重にしなければいけません。
こんな決めつけは危険!
このページでは、介護施設などで高齢者に血便や下血が見られたときの対応方法をご紹介します。
介護職だけでなく一般の方、ご家族なども参考してください。
血便とは
血便とは一般には血が混じった便のことをいいますが、厳密には消化器官からの出血や肛門からの出血を指します。
鮮やかな血の赤い色をした便は鮮血便と呼びます。また、胃や十二指腸など、上部の消化器官からの出血があると、その血が固まり真っ黒なタールのような色をした便がでるためにタール便と言います。
血便は、多くの場合、何らかの病気や疾患が原因となっていますので、気づいた段階で医療職へ報告(一般の方は医療機関への受診)することが必要になります。
血便が疑われる病気や疾患
血便が疑われる病気や疾患は以下のものがあります。
- 【血便が疑われる病気】
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- ・痔核、裂肛
- ・大腸ポリープ、早期大腸がん
- ・進行大腸がん、直腸がん
- ・潰瘍性大腸炎
- ・虚血性大腸炎
- ・大腸憩室症
- ・出血性大腸炎
- ・偽膜性腸炎
など
これだけ多くの病気が考えられるので、介護職や家族の判断で安易にこれだと決めつけず、必ず医療職の判断をあおぎましょう。
高齢者の血便に気づいたときの対応方法
楽な姿勢になってもらう
まずは楽な姿勢になってもらいましょう。
基本的には本人が楽だと思う姿勢でよいです。
しかし、吐き気をもよおしている場合などは、あおむけにすると吐いたものがのどに詰まってしまう可能性もありますので注意しましょう。
医療職に相談・報告をする(医療機関を受診する)
血便は稀に放っておく人がいます。
しかし、血便はほとんどの場合、医療的な対応が必要(一般の方であれば医療機関の受診が必要)な疾患です。
特に身体の弱い高齢者であれば、早めの受診がその後の状態を大きく左右することでしょう。
なお、スムーズに医療職に対応してもらうには以下の点を把握しておくよいでしょう。
- 【医療職に報告するとスムーズな観察のポイント】
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- ・便の色、量、性状
- ・意識の有無
- ・嘔気(吐き気)・嘔吐がないか
- ・腹痛がないか
- ・便秘がないか
- ・アルコールを飲んでいないか
- ・過去に下血はないか
- ・普段どのような薬を服用しているか
- ・いつもと違う薬を服用しなかったか
- ・直近2~3日の飲食内容
本人の了解を得られるのであれば、写真を撮っておくことも適切な処置のために必要です。
常日頃からの便の観察が大事
利用者の便は観察を常日頃行い「いつも」の状態を把握しておくことが重要です。
それは、便の異変による体調変化にいち早く気づけるだけでなく、食事などの記録や服薬状況などを通して、生活状態を総合的に見る必要もあるからです。
特に認知症など自分のことをスムーズに周囲に伝えることが難しい人などの場合は周囲で支える人の観察力が頼りになります(便秘などの不快感がイライラや落ち着きのなさにつながっていることもあります)。
まさに、普段の健康状態を知るバロメーターですので、常日頃から、便の観察は怠らないようにしましょう。
本文監修:先崎章
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