介護のリスクに関する疑問
『よくある場面から学ぶリスク予防』担当編集者が伝える! 介護職の「リスク予防」
介護職が現場での「つまずきどころ」について、改善点とその根拠を学びながら、確実に身につけたい知識と技術を磨くことができる新シリーズ、「ステップアップ介護」。
その書籍を担当した編集者が、編集をしていく中で感じたことを語ります。
今回、執筆した人
『認知症ケア』担当者 M
入社6年 女性
主に介護分野の書籍の編集を担当。
寝る前にアロマキャンドルの香りでリラックスするのが最近の楽しみ。
介護職一人ひとりの対応がリスク予防になる
介護現場では、移動・移乗介助や食事介助といった介護場面のほか、服薬や感染、生活環境を原因とするリスクが起こります。
リスクと聞くと、“リスクマネジメント”をしっかり行うことが必要と言われますが、施設・事業所の管理の前に、介護職一人ひとりが対応できることがあると考えたことはありますか。
この時点で気づいていれば・・・、この対応をしっかりしていれば・・・など、気づきがあるだけで介護場面のリスク予防につなげていくことができます。
けがや転倒などは生活するうえで起こり得る
私自身、介護場面でのリスクは100%防ぐ必要があると思っていました。
ですが、介護にかかわらず、自分の生活を思い起こすだけでも、机の角にぶつけたり、つまずいたりなど、けがにつながるようなことを自らしてしまうことが多いです。
つまり、生活するうえでけがや転ぶことは当り前に起こり得ることなのです!
だからこそすべてを防ぐことが難しい部分もあります。
本書の編集を通して、このような考えをもつことも大切だということを著者の神吉(かんき)さんから教えていただきました。
これは、リスクを防がなくてよいと言っているわけではありません。
ここで言いたいのは、すべてリスクとみなしてしまうことで利用者さんの生活を奪うことにもなるということです。
極端な例を言えば、
「転倒しやすい利用者さんだから、リスクを考えてベッド上で過ごしてもらう」。
どう思いますか? 何がリスクの要因となっているのか、また、ふだんの生活をどう過ごすことが利用者さんにとってよいのか考えられていないことがわかると思います。
身近に起こり得るリスクへの対応を重視
本書では、“新人の頃”に経験しやすいヒヤリハットの場面を中心に挙げました。
例えば144ページは、介護職が入浴介助のあと、他の利用者の入浴介助もあるので濡れたサンダルのまま歩いてしまっている場面です。
足元まで気を配れていないことで利用者さんの転倒にもつながります。
こうした環境整備についてもふれていることが本書の良さの一つです。「足を拭いてから浴室を出る」という当たり前のように思えることでも、それがしっかりできていなければリスクは起こるということに気づかせてくれます。
利用者さんとかかわってきたからからこその気づき
著者の神吉(かんき)大輔さんには、介護現場で考えられるリスクの場面について、数多、挙げていただき、そのなかでより新人がやってしまいがちなことを36場面に絞っていきました。
今回、リスクとその対応について神吉さんと制作を進めていくなかで感じたことは、利用者さんとのかかわりのなかで、いかに多くの気づきを得るかということです。
起こり得るリスクのすべて防ぐことが難しくても、生活環境を変えたり、介護職の対応や視点を変えたりすることで未然に防ぐことができるものも多くあります。
そのために、日々しっかりと利用者さんの様子を見ていることは、とても大切です。それが、何がリスクの要因となっているかの気づきにつながっていくからです。
リスクへの対応を伝えるときの一冊として
新人の介護職に向けて、基本的であるけども日々の介護場面で大切となることをわかりやすく伝えています。
リスクは介護職の対応によって起こることもあります。どんな対応がリスクを招くのか、一人ひとりが考えるには最適な一冊です。
この機会に、ぜひ本書で学びなおしてみませんか。
もっと詳しく知りたい方はコチラ!
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このページの内容は、神吉大輔『ステップアップ介護 よくある場面から学ぶリスク予防』からテーマを選定し、Web掲載に見合う形に編集したうえで転載しております。より詳しい内容は本書籍をご覧ください。
著者:神吉 大輔
本のサイズ:A5判、162頁
定価:本体1,980円(税込)
ステップアップ介護 シリーズについて
「ステップアップ介護」は、経験の浅い介護職が一人前になるまでに確実に身に付けておきたい知識と技術を、厳選して紹介する書籍シリーズです。『認知症ケア』『マナーと接遇』『疾患・症状への対応』など、知りたいテーマを7つ用意しました。全巻にわたって、新人介護職の「つぼみちゃん」と、先輩介護職の「はなこ先輩」が一緒にナビゲートしてくれます!
このシリーズは以下のような特徴があります。
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- ●経験の浅い介護職が一人前になるまでに確実に身に付けておきたいこと
- ●介護現場の「実践」に直結すること
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これらがパッと見てわかる!
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