メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

介護のリスクに関する疑問

転落だけじゃない!高齢者のけがにつながるベッドまわりの危険を解消する方法

 高齢者の「ベッド」での転落事故は介護をする際に最も気を付けなければいけないことです。
 ところがベッドまわりには、転落以外にも、気を付けなければいけない危険が潜んでいるのです。

 安心で安全な環境があり、介護する際のリスクが減れば、高齢者本人だけでなく、介助する人の負担も減るはずです。
 それでは、ベッド周りに潜む危険について、見てみましょう。

ベッドまわりにある危険、わかりますか?

 これは、ある高齢者の居室のようすです。
 一般的な居室の様子に見えますが、何か気がつくことはあるでしょうか。

部屋全体を見てみよう!

 改めて部屋全体を見てみると…、次のようなことに気づくのではないでしょうか。

 高齢者の居室の環境は、本人の使い勝手や介助のしやすさ、効率などを考えて設定されていると思います。コードが長かったり、ベッドが壁に接しているのもそのような理由からでしょう、

 でも、実はそこには危険が潜んでいないでしょうか。

「けがをさせない」という視点で見てみよう!

 では今度は、「けがをさせない」という視点で見てみましょう。
 そうすると…、たとえば、先の3つの環境には、次のような危険が潜んでいることがわかります。

①ベッドを壁に接するように置いている場合は…、
●ベッドと壁とのすき間にナースコールのボタンの部分、ベッドのリモコン、コンセントなどがはさまっているとベットの上げ下げのときに破損させてしまう!
●物品が破損すると、破片でけがをしたり、感電したりする!
●隙間の大きさによっては、高齢者の腕や足が落ちてはさんでしまう!

②ナースコールのコードを長くしておくと…、
●コードがからだの一部に引っかかる可能性がある!
●首にコードを巻いてしまう可能性がある!

③電動式ベッドのコードを長いままにしておくと…、
●キャスターでコードを踏んで破損してしまう!
●コードが破損してギャッチアップ機能が使えなくなる!
●高齢者がコードに足を引っかけて、転倒する可能性がある!

本人に了解を得て、危険の少ない環境を設定しよう!

 ベッドまわりの環境は、そこで過ごす時間の長い高齢者にとっては、とても重要です。
 居心地のよさ、快適さ、便利さなど、本人にとってよりよい環境になるように整えていきます。

 一方で、本人には気づきにくいリスクを発見し、予防するのは介護職の重要な役割です。
 快適さと安全の両方が保たれる環境をめざしましょう。なお、物品の位置や状態を変更する場合には、本人にその理由を説明し、了解を得て行いましょう。

①ベッドの置き方
 ベッドが壁に接している場合は、隙間ができていることもあります。ベッドと壁との間に物がはさまっていないか確認します。また、利用者の腕や足がはさまる程度の隙間をつくらないように注意します。

②ナースコールのコード
 ナースコールのコードは、本人が押せる範囲で必要以上に長くならないようまとめます。

③電動式ベッドのコード
 ベッドを動かすときには、コードをキャスターに巻き込んでしまわないように注意します。また、高齢者や介助者が足にひっかけて転倒することのないように、コードの位置を確認します。

④車椅子を置く場所
 車椅子がベッドに近い場所に置いてあると、ベッドの高さを上げ下げする際に、ベッドのフレームに車輪やブレーキレバーなどがひっかかり、破損させる可能性があります。
 テープを貼るなど、車いすを置く位置を決めておくことも有効です。

常に、居心地のよさと安全性の両面からチェックしよう!

 高齢者の居室に置かれているベッドやナースコール、車いすなどは、本人の生活にとって必要なものです。本人も使いやすいように、工夫して整えていることも多いと思います。
 したがって、介護職は高齢者が快適に、そして安全に過ごすことができるように、全体を見て、利便性と安全性の両面から環境をチェックすることが大切です。

 思わぬところに物があったり、反対にあると思っていたものがそこになかったりすることで、事故やけがにつながることもあります。高齢者本人の空間であることを忘れずに、物品や環境を変更する際には、かならず説明をして了解を得るようにしましょう。

本文監修:神吉大輔

もっと詳しく知りたい方はコチラ!

このページの内容は、神吉大輔『ステップアップ介護 よくある場面から学ぶリスク予防』からテーマを選定し、Web掲載に見合う形に編集したうえで転載しております。より詳しい内容は本書籍をご覧ください。

著者:神吉 大輔
本のサイズ:A5判、162頁
定価:本体1800円(税別)

ステップアップ介護 シリーズについて

 「ステップアップ介護」は、経験の浅い介護職が一人前になるまでに確実に身に付けておきたい知識と技術を、厳選して紹介する書籍シリーズです。『認知症ケア』『マナーと接遇』『疾患・症状への対応』など、知りたいテーマを7つ用意しました。全巻にわたって、新人介護職の「つぼみちゃん」と、先輩介護職の「はなこ先輩」が一緒にナビゲートしてくれます!

 このシリーズは以下のような特徴があります。

  • ●経験の浅い介護職が一人前になるまでに確実に身に付けておきたいこと
  • ●介護現場の「実践」に直結すること
  • ●すぐに知りたいこと

これらがパッと見てわかる!

 「良かれと思ってやってしまっている」そんな場面をたくさん取り上げ、それが「どうしてだめなのか」その根拠だけでなく、「どうすればよいのか」までをわかりやすくまとめました。
施設内の研修テキストや参考書としての使い勝手もよく、ユニットリーダーやフロアリーダーさんにもおすすめ。詳細は特設ページをご覧ください。

TOPページへ