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介護記録に関する疑問

【医療職への連絡にも活かせる】緊急・急変時の介護記録の書き方のコツ

 疾患や障害を抱えた高齢者が入居する介護施設では、いつもと様子が違ったり、急変したりといった「異常」や「緊急」の事態はよくあります。
 急変時の適切な記録は、次回の予防策の参考になるほか、対応方法が適切だったかどうかをめぐる本人や家族とのトラブル防止に役立ちます。


 また、急変時の記録が適切に書けるということは、「他者への伝達」もできるようになるということ。つまり、看護師や医師へ適切な連絡・報告ができるようになる効果もあります。
 そこで、今回は慌ててしまうことの多い異常時や緊急時の介護記録の書き方をご紹介します。

「異常あり」とだけ書いていない?

 異常時や緊急時、介護記録にはとりあえず「異常あり」とだけ書いていませんか? 例えば…

いつも「おはようございます」と声をかけるとすぐに大きな声で「おう、おはよう!」とこたえてくれる利用者が、今日は反応がなく、明らかにいつもと違う状態でした。


 疾患や事故など、何らかの「異常」があるかもしれません。
 案の定、このケースの場合は利用者に脳梗塞が見つかり救急対応となりました。以下は、その時の記録の例です。

=記録=
●月×日 Aさま
いつものように声をかけるが、反応がなく異常あり。救急対応となる

その記録で、説明できますか?

 こういった書き方はよく見かけますが、介護職は何を根拠に「異常」としたのかがわかりません。またその後の搬送されるまでの対応をどうしたのかもわかりません。

 これらを疎かにすると、介護職はその対応が正しかったのかを後ほど検証できないばかりか、その場にいなかった関係者にも説明ができず、対応の適切さをめぐってトラブルとなる可能性もあります

緊急時の介護記録を書くための3つのポイント

 それでは、利用者の異常時や緊急時には、どのような記録の書き方が望ましいのでしょうか? 3つのポイントを押さえながら見ていきましょう。

(1)どんな「違い」「異常」なのかを具体的に書く
 「違い」や「異常」はいつもの様子がどうであるかを書かなければ、その様子を知らない人には伝わりません。そのため、利用者は普段どんな状況で、今はどんな状況だったのか、見たまま、ありのままに具体的に書きましょう。

=記録の改善例=
テレビ前のソファーに座っていた●さんに「おはようございます」と言うと、 いつもは大きな声で「おう、おはよう」と答えてくれるが、本日はこちらを見てくれない。 肩をたたき、声をかけると「おお、う、お、は、よ、う」とはっきりせず、声も小さい。
(以下、下記の記録に続く)

 医療職への報告もただ「何か様子が変なんです」というだけでなく、上記の記録例のように具体的に様子を伝えることで、医療職もどのような対応を取ればよいか、わかるようになります。

(2)その時の介護職の声かけやその後の対応を具体的に書く
利用者の様子だけでなく、その時の介護職がどのような対応を取ったのかもありのままに書きましょう。ことの顛末(最終的にどうなったか)も忘れず書きましょう。

これはリスク回避という視点以外にも、異常や緊急事態という特殊な状況下での自分のケアの振り返りができるようにするためでもあります。

=記録の改善例=
(上記記録からの続き)
管理者に報告し、主治医に連絡すると、救急車を要請することに。 看護師が同伴し、救急搬送となる。検査を行い、軽い脳梗塞と診断され、すぐに治療開始。入院となる。

(3)常にメモを携帯し、合間を使ってメモを取る
 異常時や緊急時は慌ててしまうため、覚えていないことも多いです。
 そのため、メモを常に携帯しておき、対応の合間などを狙ってこまめに何が起きたかなどを記しておくとより正確な記録につながります。

 もちろん対応優先で、メモを取れないこともあります。しかし、メモがあれば記録以外にも、医療職などから受けた指示を書いたり、連絡先などを控えたりする時にも便利です。

 メモは紙とペンでなくても、ICレコーダーなどでも代用できます。もちろんスマートフォン等を使ってもよいでしょう。


何かあった時の記録から学べることは多い

 緊急事態や異常事態は介護を必要とする高齢者には起こることが多く、重症化のリスクも高いです。
 異常時や緊急時であっても適切に記録を書くことは、そうした事態を極力減らし、高齢者の安全と健康を守るために大変重要。「何かあった時」の記録から学べることは多いのです。

 それをチームで共有し振り返りを行うことができれば改善策を見つけるようにしてみましょう。

本文監修:鈴木真

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このページの内容は、鈴木真『ステップアップ介護 よくある場面から学ぶ介護記録』からテーマを選定し、Web掲載に見合う形に編集したうえで転載しております。より詳しい内容は本書籍をご覧ください。

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