介護技術に関する疑問
不安や恐怖を与えない! 車椅子での段差の越え方の介助【車椅子での段差越え】
車いすで段差を越えるとき、「ていねいに介助しているつもりでも、乗っている人が身をかがめて怖がっている」ように感じることはないでしょうか。
ここでは、車いすに乗っている人に不安や恐怖を与えずに、段差を越える介助の方法をお伝えします。
その段差越え、怖がらせてない?
車いすで段差を超えるとき、乗っている人がどんな表情をしているか、見たことはありますか。
背面から介助しているので、その表情までは確認しづらいかもしれませんが、多くの人は、ぎゅっと目をつぶり、アームサポートを握りしめ、フットサポートの上で足を踏ん張り、全身に力を入れて身を縮めて「恐怖に耐えて」います。
このような状況では、せっかくの外出も気が進まなくなってしまいます。
基本は「ていねいな説明」から
車いすで段差を超える介助のポイントは、次の3つです。
①どのくらい傾くのかを説明し、バックサポートにしっかりと体重をかけてもらう
後方に傾く状況は、誰にとっても怖いものです。「後ろに倒れそう」と感じて、ぐっと前方に体重をかけるのは、自然な反応といえます。でも、とっさに前方に体重をかけると、車いすからの転落の危険があります。また、重心が前方に移動するため、介助者にも大きな負担がかかります
そこで、どのくらい傾くのかを説明し、安心してバックサポートに体重を預けてもらうことが大切になります。
②車いすのキャスターを、段差に対して直角に付ける
車いすのキャスターを直角に付けていないと、片方のキャスターだけが上段に乗る可能性があります。その結果、車いすが大きく傾き、乗っている人が転落する危険があります。
③グリップを下方向に、ティッピングレバーを前方に踏み込み、ゆっくりキャスターを上げる
ティッピングレバーは、上から下にではなく、前方に踏み込みます。勢いよく踏み込むと、キャスターが上がりすぎて、乗っている人に恐怖感を与えてしまいます。ゆっくり、ゆっくり踏み込み、キャスターが上段に上がったら、後輪を段差に当て、グリップを持ち、バックサポートを身体で押すようにして進みます。
気持ちと身体の準備を大切に!
不意な動きは、誰にとっても恐怖です。特に、日常生活に介助が必要な人にとっては、機敏に対応することが難しいこともあり、より一層、大きな不安を与えてしまいます。
したがって、どんな小さな動きでも、ていねいに説明し、動きのイメージと気持ちの準備をしてもらうことを大切にしましょう。
どのような場面でも、ご本人に声をかけて了解していただき、準備が整ってから介助をすることが基本です。
それだけで、ご本人への負担、介助者の身体的負担、事故につながるリスクも減らすことができます。
本文監修:長藤成眞
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