コミュニケーション技術に関する疑問
【介護】申し送り時等の報告のコツ!正確な情報が業務に余裕を生む
介護では、シフトの交代時の引継ぎとして「報告」を上手に行うことは特に重要です。
適切な報告には「やり方」「コツ」があります。
これを押さえずに普段の会話と同じ調子で報告すると、あとから、「そんなふうに聞いていなかった」「わたしはこう解釈した」など、行き違いをうむ可能性もあります。忙しい介護の現場で、それは避けたいものです。
今回は、すぐに実践できる報告のコツをご紹介します。
伝えるポイントを意識しないと重大なリスクに
例えば「利用者さんの様子をときどき確認してください」と引き継ぐことはありませんか?
これ、自分の中ではしっかり伝えたつもりかもしれませんが、言われた側(引き継がれる側)は戸惑うことがあります。
なぜなら「ときどき」という表現をどのように解釈するのかは、人それぞれだからです。
30分や1時間に1回か、もしかしたら、午前中に1回と考える人もいるかもしれません。
大きな病気を抱えていて、医師や看護師からの状態観察の指示だとしたら、「ときどき」の解釈に違いがあることは利用者の命にもかかわります。
報告の仕方は、意識して伝えないと重大なリスクにつながるおそれがあります。
そうした事態を避けるために、以下のポイントを押さえて正確な報告ができるようになりましょう。
情報を正しく伝えるための3つのポイント
情報の発信者と受信者の理解には「ズレがある」ことを前提にしたコミュニケーションが大切になります。業務に余裕をうむ、情報を正しく伝えるための3つのポイントを考えてみます。
ポイント1 「30分ごと」「1時間ごと」など数字や固有名詞を使う
数字や数値、固有名詞を用いて、誰が聞いても正確に理解できる表現で伝えます。「ときどき」の受け止め方は人それぞれなので、「30分ごとに」「1時間ごとに」と示せば正確に伝えることができます。
ポイント2 具体的なことばで共有する
「利用者さんの様子を確認してください」ではなく、例えば、「睡眠時間」「尿の回数」「食事の量」など、利用者さんの気になる状況を具体的に伝えることが、正確に伝えるコツです。
ポイント3 短く、簡潔に伝える
日々丁寧な応対に心がけようと思っている介護職員は、詳しい説明を加えたうえで伝えようとすることがありますが、説明がながくなると一番重要な情報がぼやけてしまいます。もれなく情報を伝えるうえでは、「短く、簡潔」な表現をこころがける必要があります。
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×例:利用者の○さんは最近退院されたばかりで、ご家族がとても心配されていました。A医師やB看護師は問題ないと言っていますが、ご家族にも配慮したいし、当施設としても念のため気を付けておきたいので利用者さんの体調確認はこまめに行った方がいいと思うんです。その方がご家族もご本人も安心されますし…
- ○例:「30分ごとに○さんの体調確認をしてください。理由は…」(あとは受け手の質問に応じて理由を言い足していく)
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相手の立場にたった情報の発信が大切!
忙しい介護の現場で、有効な情報を伝えるためにも、報告の仕方はとても大切です。
ちょっとしたコツをつかめば、業務に余裕をうむことができます。日々の積み重ねで、職場のスムーズなやりとりを目指しましょう。
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