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障がい者福祉を知って高みを目指す!

松崎 匡 (まつざき ただし)

介護職として高みを目指すなら、高齢者福祉も障害者福祉も知っておきたいところ。この2つの現場を経験した松崎さんだからこそ言えるそれぞれの違い。それらを知り、介護職としてあらためて「福祉ケア」について考えていきましょう。

プロフィール松崎 匡 (まつざき ただし)

この4月より「合同会社M&Yファクトリー」代表社員。
元アルファ医療福祉専門学校教務主任。福祉関連事業所の開業、業務改善などのコンサルティング、研修講師、市民向けの介護講座などのほか、青少年の更生、フリーター、ニートの就職支援などを手掛ける新たな福祉への関わりを中心に活動中!

最終回 『理想と現実は違う?』~だったらあなたはどうするの?~

「人材不足なんてもう言わせない!」

 先日、友人のフェイスブックを見ていたら、こんなことが書かれていました。

8年前の教え子と同窓会をした。集まったみんなが、卒業後も介護・福祉の仕事をずっと続けている。
…みんな「眼」が違う。介護業界にもこんな奴らがいるんだよ。
「人材不足なんてもう言わせない!」

 なるほど、きちんとした初期の教育を受けて、その後の進路が本人の目標や理想としている介護とマッチしているか? 巣立った後もぶれずに帰れる「初心」があるのか? そんなところが大切なのだと感じました。

 最初は「志」があっても、その先々での出会いや学び方によっては「あっという間に」腐ってしまうものです。厚生労働省の最近の介護人材対策の資料にもありましたが、辞める原因は「目標とする先輩、同僚がいない」「事業所の方針と自分の思いがマッチしない」という理由が多いようです。

 逆に言えば、「しっかりとした理念を自分のものとして、行動に落とし込むことができる=後輩の目標となる振る舞いができる」人が多ければ多いほど、人材は自然と集まり、定着するのです。

 人材不足なんてもう言わせない!…こんな目標で前回まで紹介した「セルフケアプラン」なんかを取り入れていただけると、「志」あるチームにステップアップできるのではないでしょうか?

というわけで、今回は…

理想と現実は違う? …だったら現実を理想に近付けるよう頑張ろうよ

 「理想と現実は違うよ」…介護職の方からよく聞く言葉です。そこにはあきらめの匂いが漂っています。実際、介護に夢を持ち、これから頑張ろうとしていた人がこの言葉を先輩から聞いて心が折れた…なんてことが起きています。

 私は、この言葉が大嫌いでした。そして、事業所を経営してみて痛感したのが、普段から「理想と現実は違う」と感じている人や「現場を知らないくせに何言ってるの、偉そうに!」という考えをもつ人がいると「あっという間に」事業所の志なんて崩壊の危機にさらされるということです。

 そうです、最初に触れましたが「眼」が変わってしまうのです。

 しかし、この言葉を私なりにポジティブにとらえてみると(苦しいですが…)

 「理想と現実は違う」と言えるということは、その時点でセルフアセスメントができているという証拠ではないでしょうか?

 理想と現実が違うという課題が明確になっているわけですから、ここまで伝えてきたことをもとに、セルフケアプランを立てればきっと課題を解決するきっかけがつかめるはずです。

 現実は理想に比べて何が足りないのか?足りない部分を補うのには自分に何が必要なのか? それはどのような社会資源を活用すれば実現できるのか?理想の実現のためには、最初のステップ(短期目標)として何が適切なのか? など…

 こうやって課題を明確にしていくことができるのではないでしょうか。

 私は「理想と現実はちがう」という言葉が大嫌いで、この言葉を自分のNGワードにしています。大げさに言えば、この言葉を言わないというのが私の「志」です。なぜ大嫌いかというと「理想と現実は違う」と言ってしまえば、言った本人は愚痴ってすっきり、「そうだよね」なんて同調する人も含めて慰められるのかもしれません。

 だけどね…そんな「理想と現実は違う」なんてマイナス思考の人に介護をされている人はそんな「現実」と向き合わなければならないのですよ!

 …たしかに理想と現実は違うかもしれない。だったら、理想と違う現実を、できる限り理想に近付けるように精一杯努力しよう! そう思えないのならば、そんな人に介護されている利用者はとっても不幸な人生になってしまうのですよ。

 現実を理想に近づけるのは、かなわぬ夢かもしれません。どうせやっても無駄だと思うかもしれません。それでも一度やってみた人と、やらなかった人とでは、大きな違いが出ています。やってみることで、利用者さんに対していつもルーチンワーク的に取り組んできたであろうケアプラン作成、あるいはケアプランに基づいての仕事、これがどれだけ大切かということが、今までと違って見えてくると思います。

 これだけでも立派なステップアップなのです。ここまでで気付いたことなどが、きっと現実を理想に近付けるステップアップにつながるものと思っています。ぜひとも明日の仕事がやりがいのある仕事になりますように…

 まだまだお伝えしたいことはたくさんありますが、今回でこの連載は終了してしまうので、続編はまたどこかで綴っていければと思っております。

 私にとって連載でこのような原稿を書く機会は初めてのことで、読み返してみると何だか赤面してしまう原稿ばかりでしたが、このような機会をいただけたおかげで私自身ステップアップできたのではないかと思っています。

 ありがとうございました。

 夢の続きはここでお知らせしますので、お暇な時にアクセスしてみてください。
http://matchaki.jimdo.com/