障がい者福祉を知って高みを目指す!
介護職として高みを目指すなら、高齢者福祉も障害者福祉も知っておきたいところ。この2つの現場を経験した松崎さんだからこそ言えるそれぞれの違い。それらを知り、介護職としてあらためて「福祉ケア」について考えていきましょう。
- プロフィール松崎 匡 (まつざき ただし)
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この4月より「合同会社M&Yファクトリー」代表社員。
元アルファ医療福祉専門学校教務主任。福祉関連事業所の開業、業務改善などのコンサルティング、研修講師、市民向けの介護講座などのほか、青少年の更生、フリーター、ニートの就職支援などを手掛ける新たな福祉への関わりを中心に活動中!
第9回 介護職の離職率はなぜ高い?
4月になりましたね。
年度替わりのこの時期、皆さんの職場でも新たなスタッフが入ってきたり、3月いっぱいで辞められたスタッフがいたりで、心にポッカリ穴が開いたような、新人を迎える緊張感が混ざったような、なんだか独特の雰囲気になる時期ではないでしょうか。
私もこの4月を迎えるまでに「一大決心」(?)をしまして、次なるステップに向かっていこうとしております(詳しくは4月中旬くらいにブログを開設しますので、そこで…)。
さて、今回は介護職の離職率はなぜ高い? ということについてお話ししたいと思います。
介護職の離職率はどのくらい高いかというと、さまざまな見解があるようですが、肉体を酷使するいわゆる「ガテン系」の仕事とトップを争うくらい高いというのが最もわかりやすいかと思います。確かに、介護の仕事には肉体を酷使する側面もあるので、共通点はあるようにも見えますね。ただ、介護の仕事は「人」そのものというか、人の人生に深く関わるという特殊な面があります。そこには、肉体的疲労ではない何かがあると思いませんか?
というわけで自分の疑問を解決するために、建築現場で働いていた人や現在建設、電気工事などの仕事をしている人に取材してきました。
肉体労働系の仕事を辞めた人は、「体を壊し、今までやってきた仕事ができなくなった」という理由が多く、「体を壊さなければ続けたかった」という声も多く聞かれました。それに対して介護職の人に多かったのが、「人間関係が…」とか「上が悪くて…」といったメンタル面での理由です。もちろん「体を壊して」という理由もありましたが、ガテン系と同じように肉体を酷使する仕事と解釈したとしても、かなりの違いがあるような印象を受けました。
介護職は体が続かないというより、「やりがいを感じられなくなった」「自分の実力を発揮できない」「職場での人間関係が悪くなって…」などのいわゆる「気持ち」の部分での理由で離職する人が多く、そうしたメンタル的な理由がひどいものでは「介護職自体に絶望して」介護そのものから離れてしまう人も多くいるようです。
「あなたは何をする人ぞ?」
前回、前々回とステップアップするために、自分なりのこだわりを持ちましょうとお伝えしてきましたが、そのことが消化しきれないまま自分で自分の限界を設定してしまっている人が多いように思います。
新卒採用の面接をしていたとき「学校での得意な科目、好きな科目は何ですか?」と質問すると、たいてい「介護技術です!」と元気に答えてくれます。しかしながら「その介護技術のなかの何が得意なの?」と聞くと「…介護技術全部…です」と急に答えられなくなる学生さんに多く出会いました。この質問に「はい! おむつ交換です!」と元気に答えてくれることを私は期待しているのですが、残念ながら今まで出会ったことがありません。そして、そんな新人さんが転職を考えて面接にきても「あなたが前職でやりたくても実現しなかったことは?」「あなたは前職で何をしてきましたか?」という質問に答えられない人となってしまうのです。
あなたは何をする人ぞ? それを言葉にできるようにしていかないと、介護職になぜだか多い「介護ジプシー(2~3年で職場を転々とする人)」になってしまいます。仕事のなかで自己実現するための「目標設定」「こうなりたい」と思う理想像を描けるように、何度も振り返ってみてください。