今月のおすすめ「読み合い」絵本
2月に読みたい
おすすめ「読み合い絵本」
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絵本には作者だけでなく、かかわる方々の思いが詰まっています。それぞれの絵本に込められた思いを知ることで、読み合いにも深みが出てきます。
本コーナーでは毎月、この時期に読み合いたい絵本を年齢別に紹介します。
解説:佐々木由美子(東京未来大学こども心理学部教授)
0・1歳児におすすめの絵本
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作:かがくいひろし『だるまさんが』(ブロンズ新社2008)
「だ る ま さ ん が」のリズムにあわせて、だるまさんが体を動かしています。子どもたちの体もいっしょに左右に揺れ始めます。ページをめくると「どてっ」。大変! だるまさんがころんだ!! 子どもたちに笑顔がひろがります。リズムのよい言葉と、「どてっ」「ぷしゅーっ」「ぷっ」などのオノマトペ、そしてだるまさんの表情や動きが一体となって、耳にも目にも心にも心地よい絵本です。特別支援学校で長年教鞭をとっていた作者は、小さな子もハンディをもった子も誰もが楽しめるシンプルな絵本づくりをめざしたとのこと。まさに、その想いの通り、赤ちゃんから大人まで笑いと幸せを運んでくれます。
2・3歳児におすすめの絵本
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ウクライナ民話 訳:うちだりさこ 絵:エウゲーニー・M・ラチョフ
『てぶくろ』(福音館書店1965)
おじいさんが落としていった手袋のなかに、ねずみがもぐりこみました。「ここで くらすことに するわ」。次にやってきたのはぴょんぴょんがえる。「いれて」「どうぞ」。そして、うさぎ、きつね、おおかみと、手袋の住人は、どんどん増えていきますが…。繰り返しの楽しさと、次はどうなるのだろうという期待感でページをめくる手がとまりません。口伝えされてきた昔話は、もともと耳で聞いてわかりやすく、想像を膨らませることができるのが魅力ですが、ラチョフの絵はその想像をはるかに超えて物語世界の細部にリアリティを与えてくれます。幼稚園・保育園ではごっこ遊びや、劇遊びに発展することも多い作品です。
4・5歳児におすすめの絵本
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文:フローレンス・スロボドキン 訳:三原泉 絵:ルイス・スロボドキン
『てぶくろがいっぱい』(偕成社2008)
こちらは、ふたごのネッドとドニーの赤い手袋のお話です。ある日、ドニーは手袋を片方なくしてしまいます。ふたごが赤い手袋を探していることが広まって、お隣さん、先生、郵便屋さんと、町の人たちが次々に赤い手袋をみつけては届けてくれます。赤い手袋を誰かがどこかでみつけるたびに、ふたごの家に届けてくれるので、気づくと赤い手袋がいっぱいに!! なくした人は困っているはず。どうしたら本当の持ち主に返してあげられるでしょうか。ネッドが思いついたのは…。人々の思いやりや優しさがぎゅっとこめられた、たくさんの赤い手袋は、冷たい雪のなかでもあたりを明るく照らします。心があたたかくなる絵本です。原作は1958年。殺伐とした世の中ですが、大切なものを見失わずにいたいものです。