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今月のおはよう21

おはよう21

介護専門職の総合情報誌『おはよう21』最新号の内容をご紹介します。

押さえておきたい重要ポイントまるわかり! 2024年介護保険改正最新情報

『おはよう21』2023年3月号から、特集(押さえておきたい重要ポイントまるわかり! 2024年介護保険改正最新情報)の内容を一部ご紹介いたします。

きたる2024年。介護保険制度は、「利用者負担の増加」や「新たなサービスの誕生」など、現場に大きな影響を及ぼす改正が予想されています。

改正後に急な対応を強いられないためにも現在議論されている内容を知っておくことが重要です。

本特集では、介護サービスの現場に関連する重要なトピックを取り上げ、最新の情報をわかりやすく解説します。


これだけは押さえておきたい! 介護保険改正10大トピックス

2024年度の介護保険制度改正のなかで、介護現場に大きくかかわる10のトピックを紹介します。
そのなかでも特に注目しておくべきサービスを取り上げます。あなたのサービスはどのトピックに関連していますか?

1 LIFEによる科学的介護のさらなる推進

関連する主なサービス:全サービス

ポイント❶ 2021年度誕生のLIFE 制度上での今後の展開は?

 2021年度の介護報酬・基準改定から、LIFE(科学的介護情報システム)が導入されました。通所・施設・居住系サービスの多くで、科学的介護推進体制加算などのLIFE対応加算の算定が進み、現場ではフィードバック票の活用機会も増えているでしょう。

 このLIFEについて、社会保障審議会の介護保険部会*2では、介護サービスの質の向上に向けたエビデンス(科学的根拠)をさらに厚くするため、次の2つを求めています。

①データ提出する事業所・施設の増加
②収集するデータの充実

 これを実現するうえで、2024年度の介護報酬・基準改定で、LIFEをめぐるしくみが見直されると考えられます。

ポイント❷ 訪問系サービスなどにもLIFE対応加算が誕生?

 前述の①を実現するため、厚生労働省は訪問系サービス(訪問介護・看護、定期巡回随時対応型)と居宅介護支援を対象に、現場でのLIFE活用のモデル調査を実施しています。これらのサービス事業所にも、科学的介護推進体制加算の項目情報をLIFEに提供し、フィードバック票を受けてケアの質の向上に活かすというものです。

 ②については、これまでの情報提供の項目を見直す作業が行われそうです。たとえば、科学的介護推進体制加算における栄養や口腔、認知症BPSDの項目などで、より詳しい情報提供が求められるようになるかもしれません。

 懸念されるのは現場の負担増ですが、介護保険部会の取りまとめでは、「入力負担の軽減を図るべき」という意見も盛り込まれています。

ポイント❸ LIFE情報を利用者が閲覧できるしくみも?

 厚生労働省は、データヘルス改革の一環として、利用者が自身の介護情報を閲覧できるしくみの整備を進めています。利用者が閲覧することで、利用者等に自立支援・重度化防止への取り組みを促す効果を期待したものです。

 具体的にどのような情報をどのような形で閲覧できるようにするのかについては、現在厚労省内で検討されています。閲覧情報の候補としては、要介護認定情報、介護給付費の請求情報、ケアプラン情報に加え、LIFEの情報も含まれます。

 厚労省が示すスケジュールでは、「2024年度以降、順次マイナポータル*3等で閲覧可能にする」とされています。

 将来的に「利用者が自分のLIFE情報を見ることができる」のを想定すれば、それによって利用者の意欲等がどう変わるのか、機能訓練等の動機づけにどう活かせるか――などを、今から考えることが必要になりそうです。

要注目サービス:訪問介護

定期的なADLチェックが、ヘルパーやサービス提供責任者の実務に追加?

 2024年度に、訪問系サービスにも科学的介護推進体制加算が導入される可能性が高まっています。現場としてもっとも影響を受けるのが、利用者数の多い訪問介護でしょう。特に実務上で心得ておきたいのが、科学的介護推進体制加算におけるADLの項目です。

 この項目は、バーセル・インデックスという指標にもとづいていて、利用者のさまざまな生活動作を「自立」「一部介助」「全介助」などで評価するものです。訪問介護の現場では、なじみが薄いかもしれません。

 評価をヘルパー、もしくはサービス提供責任者が担当することを想定して、今から「どのように評価すればよいか」を学んでおく必要がありそうです。

要注目サービス:居住系サービス(特定施設入居者生活介護・認知症GHなど)

栄養・口腔にかかる加算で、LIFEへの情報提供が必要となる可能性も

 特別養護老人ホームなどの介護保険施設では、栄養や口腔のケアにかかる加算の一部で「LIFEへの情報提供」が要件となっています。

 ところが、同じく利用者を受け入れて生活全般のケアを行う特定施設入居者生活介護などの居住系サービスには、こうした加算がありません。現行で、LIFE対応の加算は、科学的介護推進体制加算や個別機能訓練加算(II)、ADL維持等加算にとどまります。

 今後、これらの居住系サービスでも重度化リスクの高い利用者が増えることが予想されるなか、栄養・口腔にかかるケアもさらに重視されるはず。国も「LIFEの収集データの拡充」を図るなか、居住系サービスにも介護保険施設等と同様に、栄養・口腔にかかるLIFE情報の提供を求めるしくみをつくっていくことが考えられます。

  • *1 LIFE(科学的介護情報システム):利用者の状態像について、一定の指標にもとづいて現場からのデータを収集するデータベース
  • *2 介護保険部会:厚生労働省の社会保障審議会の部会の1つ。介護保険法など制度の骨格にかかるしくみを検討する
  • *3 マイナポータル:マイナンバーによってさまざまなサービスを利用できるポータルサイト
執筆
田中元
介護福祉ジャーナリスト

以上は、『おはよう21』2023年3月号の特集の内容です。このほかにも本誌では、下記のトピックを取り上げ解説しております。ぜひお手に取ってご覧ください。


特集

押さえておきたい重要ポイントまるわかり! 2024年介護保険改正最新情報

1 介護保険改正の背景×改正10大トピックスMAP
2 サービス別注目トピックスINDEX
3 これだけは押さえておきたい! 介護保険改正10大トピックス
4 さらに押さえる改正トピックス〝+α〟

『おはよう21 2023年3月号』
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