今月のおはよう21
介護専門職の総合情報誌『おはよう21』最新号の内容をご紹介します。
昼夜逆転・転倒リスク・夜勤時の対応… 現場の悩みを解決!眠れない利用者へのケア
『おはよう21』2022年12月号から、特集(昼夜逆転・転倒リスク・夜勤時の対応…現場の悩みを解決! 眠れない利用者へのケア)の内容を一部ご紹介いたします。
高齢者に多い睡眠障害は、利用者の意欲低下や昼夜逆転、転倒・骨折などにつながります。一方、介護職にとっても、夜間何度も利用者が起きると、その対応に負担がかかります。利用者の睡眠障害を改善し、生活の質を高めるために、睡眠の基礎知識と行うべきケアを学びます。
一日の流れから見る睡眠の質を上げるケア
利用者の睡眠の質を上げるためには、就寝中はもちろん、起床から、日中、睡眠前まで、1日を通して睡眠を意識したケアをすることが必要です。
ここでは、日中、睡眠前、睡眠中と、一日の流れに沿って、介護職が行うべきケアを紹介します。
朝は決まった時間に起きる
概日リズムを崩さないために、たとえ前夜によく眠れていなくても、朝は同じ時刻に起床することが大切です。
日光を浴びる
日光を浴びることにより、睡眠を促すホルモンであるメラトニンが抑制され、体内時計がリセットされます。そのため、起床後は窓際の明るい場所に移動したり、可能であれば外に出て、日の光を浴びることが大切です。
日中に活動する
・日中活動の必要性と落とし穴
散歩やレクリエーション、体操など、日中の活動によりほどよい疲労感を得
られれば、夜に寝つきやすくなります。
しかし、その活動内容には注意が必要です。「身体を動かして疲れたら眠れるだろう」と安易に考えて活動量を増やしすぎると、疲労感で身体がだるくなったり、その不快感からイライラしたり、「身体がおかしい」などと不安になってしまいます。介護職は、一人
ひとりの適切な活動量をしっかり評価する必要があります。
・利用者が興味をもって行動できる内容を考える
活動の内容も重要です。利用者の生活歴を把握するとともに、今の生活状況の中で、利用者が興味をもち、意欲的に行動できる内容を考えます。その際、室内の活動にとらわれず、外出することも視野に入れましょう。
利用者が満足感を得るためには、自分で考え、選択して行動したと思えることが大切です。自分で準備をして、実際に活動を行い、やりきったと感じた(満足した)状態から、身体の興奮を抑えクールダウンしていく流れが重要です。
満足感が得られる活動は、脳と身体に適度な疲労を与え、その状態を休めることが良質の睡眠につながります。
また、活動の内容が利用者に焦りや不安を与えているのであれば、その都度見直すことが必要です。
・リラックスの時間を設定する
日中活動した後は、夕方から寝る2時間くらい前まで、リラックスの時間
(脳と身体のクールダウン)を設けることも大切です。
日中の適度な活動→リラックス→入眠という日常生活のサイクルができるようにしていきましょう。
睡眠を促す栄養素を摂る
良質な睡眠を促す栄養素と、それがどの食材に含まれるのかを理解しておくことも重要です(表7)。
食事のメニュー表や摂取量を記録などを用いて、利用者ごとに摂取状況を把握しましょう。
昼寝の時間帯の設定
施設によっては、昼食後、休息のためにおやつまで昼寝の時間を設けていることがあると思います。
昼寝は、13時から15時までの間に20〜30分とると、午後からの活動性が高まり、夜に眠りやすくなる効果があります。それ以上の時間になると、夜に眠れなくなってしまうことに注意が必要です。
排泄の問題を把握する
便秘、下痢、頻尿など、利用者が抱えている排泄の問題を把握することが大切です。
これらがあると、夜眠るときも、不快、不安、心配などの気持ちから、なかなか寝つけなくなってしまいます。排泄チェック表などを活用して、利用者ごとの排泄周期を知り、対策をとることが、夜間の安心感につながります。
また、不眠と便秘を引き起こす原因には、共通のものがあります。
それは、自律神経の乱れです。自律神経とは、私たちの命を維持するために、体の調整を自動的に行う神経で、交感神経と副交感神経がバランスよくはたらくことで成り立ちます。交感神経が優位になると、不眠と便秘の原因になります。副交感神経を優位にするためには、ぬるめのお湯に入ったり、腹式呼吸をゆっくり10回程度行うことが有効です。
- 執筆 長藤成眞
看護師、介護アドバイザー
以上は、『おはよう21』2022年12月号の特集の内容です。このほかにも本誌では、下記のトピックを取り上げ解説しております。ぜひお手に取ってご覧ください。
特集
昼夜逆転・転倒リスク・夜勤時の対応… 現場の悩みを解決!眠れない利用者へのケア
1 介護現場における睡眠の課題
2 睡眠のメカニズムを知ろう
3 一日の流れから見る睡眠の質を上げるケア
4 タイプ別に見る 睡眠障害への対応のポイント
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