メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

今月のおはよう21

おはよう21

介護専門職の総合情報誌『おはよう21』最新号の内容をご紹介します。

利用者の急変・悪化を招いてしまうNG判断・対応とは?

 『おはよう21』2022年7月号から、特集(やってはいけない!疾患別 急変・悪化を招くNG判断・対応)の内容を一部ご紹介いたします。

 利用者はさまざまな疾患を抱えて生活しています。
 利用者の健康を支えるためには、疾患の基礎知識を理解するとともに、状態を急変・悪化させないための対応・判断が必要です。
 今回の特集では、利用者に多くみられる16疾患について、急変につながる「やってはいけない」NG判断・対応を整理します。

脳梗塞

こんな病気

脳の一部の血管が詰まり、脳細胞が障害を受けてしまう

 脳は多くの血液を必要とする臓器です。そのため、多くの血管が走っていますが、その血管が詰まるのが脳梗塞です。詰まった血管の大小や部位によって、出現する症状は変わります。

注意すべき症状

麻痺、しゃべりづらさ、ふらつき

 脳の血管が詰まり、脳の一部が障害を受けることで、手足のしびれや麻痺、しゃべりづらさ、ふらつきという症状が出現しやすくなります。
 意識がなくなるのは、脳の大部分が障害を受けた場合に限られます。そのため、脳の一部が障害を受ける脳梗塞で意識を失うことは、あまりありません。通常は、脳の左右の血管のどちらかが詰まるため、症状も片側だけに出現します。
 頭痛はほとんど出現しないため、前述の症状に頭痛を併発している場合は、くも膜下出血など別の病気を疑います。

生活上の留意点

症状出現は朝方に多い、夏場の脱水に注意

 睡眠時は血圧が低下するため、血流が悪くなりやすく、加えて身体の水分量が少なくなるため、血液の粘度が上がり、血栓ができやすくなっています。
 朝起きた際に前述の症状が出現すれば、脳梗塞を強く疑う必要があります。
 同様に、夏場は日中でも脱水状態から脳梗塞を起こしやすくなります。水分制限が必要な疾患がなければ、こまめな飲水を心がけましょう。

やってはいけない!

「力が入りにくい」との訴えがあるのに無理に歩行させる

 脳梗塞の多くは、半身の力が入りづらいという症状から出現します。
 力が入りづらい状態で歩行を行うと、転倒につながり、それに伴う骨折や頭部外傷などを起こしてしまう可能性があります。
 「力が入りにくい」との訴えがある際には、脳梗塞を疑うとともに、安静にして、まずは力の程度をしっかりと評価しましょう。
 また、力の入りづらさがなくても、呂律が回らない、言葉が出にくいなどの症状で脳梗塞が発生することがあります。このようなときには、まずは安静にしてもらい、医療職への相談を検討しましょう。

脳出血

こんな病気

脳の血管の一部が破損し、脳内に出血が起こる

 脳の血管が破れて出血することで、脳が圧迫されて炎症し、脳の細胞がむくんでさまざまな症状が起こります。出血の部位や量によって、症状は変わります。

注意すべき症状

強い頭痛と進行する意識障害

 脳出血の多くは、突然症状が出現します。突然の強い頭痛や麻痺は、脳出血を疑うサインとなります。
 また、最初は微細な出血で、症状が軽度でも、出血がたまってくることで症状が強くなる場合があります。症状が軽いからといって軽視せず、症状が進むようであれば脳出血を疑う必要があります。
 出血の範囲が広くなると、普段と異なる意識の状態(ぼーっとする、言葉が出なくなるなど)となります。
 出血が起こる場所によっては、「フワフワする」という訴えや、いきなり踊り出してしまうなど非常に多彩な症状が起こります。

生活上の留意点

高血圧の人・抗血栓薬は注意。転倒後の出血にも注意

 脳出血の一番の原因は高血圧です。特に、急激な血圧の上昇は危険です。室内と室外の気温の変化が激しい冬場には、急激に血圧が上昇する激しい運動は行わないようにしましょう。
 高血圧の人は、脳の血管がもろくなっている可能性が高く、脳出血を起こすリスクが高いので要注意です。
 同様に、抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)を内服している人も、出血が起こりやすいので注意が必要です。
 転倒などの外的な力が加わった際にも、脳出血のリスクが高くなります。特に血液をサラサラにする薬を飲んでいる人、以前に脳出血を起こしたことのある人は、注意が必要です。

やってはいけない!

塩分の多い食事を続ける

 脳出血の一番の原因は高血圧で、高血圧の原因は塩分の過剰摂取が大半を占めます。日本人の食事摂取基準で示されている塩分摂取量(男性7・5g未満、女性6・5g未満)を心がけるようにしましょう。
 抗血小板薬や抗凝固薬を内服している人は、その量を間違えないこと、飲み合わせに注意することも大切です。これらに関しては医療者と連携して、しっかりと情報を整理していく必要があります。

執筆

青柳直樹 ドクターメイト株式会社 代表取締役 医師
内田美樹 特別養護老人ホーム恵信ロジェ山梨 看護師

 以上は、『おはよう21』2022年7月号の特集の内容です。このほかにも本誌では、下記の16疾患を取り上げ解説しております。ぜひお手に取ってご覧ください。

特集

やってはいけない!疾患別 急変・悪化を招くNG判断・対応

16疾患別やってはいけない対応

  • 脳梗塞/脳出血/白内障/肺炎/慢性閉塞性肺疾患/心不全/
  • 心筋梗塞/パーキンソン病/骨粗鬆症/糖尿病/前立腺肥大症
  • 変形性膝関節症/神経因性膀胱/腎不全/関節リウマチ/脊柱管狭窄症
『おはよう21 2022年7月号』
  • 本書のお買い求めは、中央法規オンラインショップが便利です。
    年間購読(増刊号2冊含む計14冊)のお客様は、1冊あたりの割引に加えまして毎月の送料をサービスさせていただきます!
    さらに、年間購読の方限定の動画配信サービスもご利用いただけます!
  • 電子版も好評発売中!
    販売サイトはAmazon富士山マガジンサービスから順次拡大予定!
  • けあサポでは今後、中央法規出版発行の月刊誌『おはよう21』『ケアマネジャー』について、最新号のお知らせや、介護現場の皆様に役立つ記事の公開をしてまいります。