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今月のおはよう21

おはよう21

介護専門職の総合情報誌『おはよう21』最新号の内容をご紹介します。

イライラ・モヤモヤを解消する コミュニケーションの4ステップ 介護現場のNVC入門

『おはよう21』2025年2月号から、特集(イライラ・モヤモヤを解消する コミュニケーションの4ステップ 介護現場のNVC入門)の内容を一部ご紹介いたします。

「誰かの役に立ちたい」「お年寄りの生き生きした姿を見たい」。
そんな思いで介護の仕事を選んだものの、日々の仕事に忙殺されるうちに
利用者に冷たく接してしまったり、同僚とギスギスしてしまい、イライラ、モヤモヤ!

そんな人や職場におすすめしたいのが、今注目されているコミュニケーション手法 「NVC」。
NVCは、2014年にマイクロソフトCEOに就任したサティア・ナデラ氏が社内の殺伐とした状況を改革しようと、経営幹部に勧めた手法としても知られており、日本でも医療や教育、ビジネスなど、導入している現場が増えています。

自分や相手の大切なものに目を向け、共感し合うことを大切にするNVCは、「感情労働」ともいわれる介護現場で大きな力を発揮します。
イライラやモヤモヤの解消につながるコミュニケーション手法を学んでいきましょう。


自分も相手も思いやるコミュニケーション“NVC”

「ダメ出し」は自分も相手も縛り付ける

「もっと丁寧なケアをしたいけれど、うまく時間をつくれない」
「いうことを聞かないスタッフがいて、イラッとしてしまう」

こうした思いから、ふだんの仕事で感情をすり減らしていませんか。
そのとき、あなたは「あるべき姿」を思い浮かべ、自分や相手に「もっとちゃんとやるべきだ」と「ダメ出し」をしていないでしょうか。

私たちは、現状をよりよくしたいという思いがあるがゆえに、「ダメ出し」で自分や他人を律しようとすることがあります。
それにより、心をすり減らしたり、誰かと対立してしまう人は少なくありません。

「べき」「ねばならない」の奥にある「願い」に耳を傾ける

このような背景には、「何が正しく、何が間違っているか」というものの見方や、「間違っているものは正さなければならない」という考えが潜んでいる可能性があります。

そうした人々の内面にある「べき」「ねばならない」というとらえ方こそが、人を攻撃的(暴力的)にする原因であると考えたのが、アメリカの臨床心理学者マーシャル・B・ローゼンバーグ博士です。

彼は、人が本来もっている思いやりの性質を取り戻すためには、「べき」「ねばならない」というとらえ方の背後に隠れている「人生を豊かにしたい」という「願い(ニーズ)」に目を向けることが大切だと考えました。
その視点から考案された、自分と相手との豊かなつながりをつくるコミュニケーションが「NVC(非暴力コミュニケーション)」です。

NVCは、自分にも相手にも思いやりをもって接するためのアプローチであり、「共感的コミュニケーション」とも呼ばれています。
ポイントはとてもシンプル。
「どうすべきか」の代わりに「何を大切にしたいのだろうか」という「ニーズ」に関心を向けることです。

すると、思うような介護ができない自分にダメ出しをしてしまうようなときには、「自分を責めたくなるほど私には、大切にしたい願いがあるのだな」と受け止めることができます。

内面に目を向けることから
はじまるコミュニケーション

NVCの大きな特徴は、まず自分の内面に目を向ける点です。
私たちが、何かに対して腹を立てたり落ち込んだりしたとき、自分自身がもつ「ニーズ(大切なもの・願い)」に目を向けることで心が落ち着き、ゆとりをもつことができます。
その視点を他者にも応用することで、自然と思いやりのあるコミュニケーションにつながります。

では、ニーズを軸とするコミュニケーションとはどのようなものなのでしょうか。NVCでは、次の4つの視点を大切にしています。

❶観察

ものごとを客観的にとらえること

❷感情

喜怒哀楽などの気持ちの動き

❸ニーズ

気持ちの動きの元にある「大切なもの(普遍的な価値)」

❹リクエスト

ニーズ(大切なもの)を尊重するための具体的な方法の提案

たとえば、あなたが会議で話しているとき、話が終わらないうちに同僚Aさんが「その意見は違う」と声を上げたとします。あなたは、「人の話を最後まで聞くのが常識だ」と思うかもしれませんが、Aさんにそのまま「常識がない人ですね」と言うと、対立が生まれてしまいます。

このとき、NVCの視点を用いるとどのようなコミュニケーションになるのでしょうか。

❶観察

Aさんは、あなた(自分)が話している途中で「それは違う」と言った

❷感情


悲しい・びっくりした・腹立たしい

❸ニーズ


聴いてもらうこと・尊重

❹リクエスト

「意見を述べるのは、私が話し終わるまで待ってもらえますか」

このように、考えの奥にある感情やニーズに耳を傾けて自分や相手に寄り添うことを、NVCでは、「共感」と呼んでいます。

共感を自分に向けることで不快な感情が和らぎ、その視点を他者に向けると、思いやりの輪が広がっていきます。

先ほどの例でいえば、「話に割り込んでくるほど、Aさんは焦っているのかな」「自分を表現したいという強い願いがあるのかな」などと相手のニーズを推測してコミュニケーションをすると、相手は「自分を理解しようとしてくれている」と感じ、対立が生まれにくくなるでしょう。
自分の願いに寄り添うことが、思いやりの輪を育む力となるのです。

続きは本誌でご覧いただけます。

執筆
今井麻希子 一般社団法人日本NVC研究所代表理事 CNVCトレーナー

以上は、『おはよう21』2025年2月号の特集の内容の一部です。このほかにも本誌では、下記のトピックを取り上げ解説しております。ぜひお手に取ってご覧ください。


特集

イライラ・モヤモヤを解消する コミュニケーションの4ステップ 介護現場のNVC入門

  • 1 自分も相手も思いやるコミュニケーション”NVC”
  • 2 NVCの4ステップ
  • 3 事例でみる NVC実践のヒント
  • 4 仲間とのつながりを深める共感サークルでニーズを探る
『おはよう21 2025年2月号』
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