今月のおはよう21
介護専門職の総合情報誌『おはよう21』最新号の内容をご紹介します。
転倒・転落、誤嚥、誤薬… 事故・ヒヤリハット事例に学ぶ 安全な介護のポイント
『おはよう21』2024年10月号から、特集(転倒・転落、誤嚥、誤薬… 事故・ヒヤリハット事例に学ぶ 安全な介護のポイント)の内容を一部ご紹介いたします。
介護現場では、十分に注意を払っていても、何らかの事故が起こってしまうことがあります。
大切なのは、事故を検証し、原因究明と予防対策をしっかり行うことです。
本特集では、現場での事故・ヒヤリハット事例から、安全な介護を提供するためのポイントを学びます。
事例に学ぶ 安全な介護のポイント
場面1 職員が目を離した隙に、利用者が車いすを押して、歩く途中でふらついた
考えられるリスク
【転倒による骨折などのけが】
背景
見守りにより歩行可能な利用者(中等度のアルツハイマー型認知症)。
食後にソワソワすることがみられたが、職員は別の利用者のコール対応を優先させた。
何がいけない?
利用者への対応の優先順位を誤った
利用者への対応の優先順位を誤ったといえるケースです。
ソワソワした様子を確認していれば、「立つかもしれない」ことを予測できたと思います。
「トイレに行きたい」と上手に伝えられないために、利用者は近くにあった車いすを押して歩いて行こうとしたのでしょう。
もちろん、利用者が歩けるのは嬉しいことですが、職員の目が届かないときは、ふらつきや転倒などがあっても対応できません。
車いすが利用者の手の届くところにあったのも問題といえるでしょう。
ケアのポイント
ソワソワしたタイミングでトイレにお連れする
認知症の利用者は、言いたいことを伝えるのが難しい場合があります。
利用者がソワソワしていたら、その状況を察して、トイレにお連れするとよいでしょう。
排泄することで落ち着くケースも多くあります。
また、積極的に動くことによって、バランスがよくなり、歩行が安定することもあります。
その際には家族と話し合って、支援の方向性を共有することが大切です。
特に在宅から直接施設へ入居するケースでは、「転ぶリスクがあっても、歩けるうちは歩いてほしい」と考える家族が多くいます。
場面2 トイレでの介助中、つかまり立ちをしているときに利用者が膝折れした
考えられるリスク
【尻もちによる脊椎圧迫骨折など】
背景
脱水症で入院中、新たな脳梗塞(ラクナ)が見つかり、経過を観察していた利用者。
もともと排泄は自立していたが、入院は約2か月に及び、その間、食事以外はほとんどベッドで寝ていて、排泄もおむつ使用となっていた。
退院後、トイレ介助中に利用者が膝折れして、転倒した。
何がいけない?
利用者の身体機能の低下を意識していなかった
入院によって、利用者の体力や下肢筋力は大きく低下します。
職員はそのことをあまり意識していなかったことが問題といえます。
トイレでの排泄は、利用者にとって望ましいことですが、そのために必要な身体機能(便座への移乗時の立位保持など)が低下していれば、リスクを伴うことになります。
ケアのポイント
立位時に必要な筋肉をつける
約2か月にわたってほぼ寝ていた状態なので、まずは、起きている状態に慣れることが大切です。
たとえば、移乗時にベッド上で1〜5分程度、端座位の姿勢をとるようにします。
これを繰り返すことで、車いすやいすに座っていることが楽になります。
そして、次のステップとして、いすに乗り移ることを日常化します。
食事時に移乗すれば、1日3回、下肢の力を使う機会がつくれます。
ある程度立位を保持できるようになったら、ベッド上での仰臥位で、両膝を立ててお尻を上げてもらいます。
1セット10回程度を3セット行うと、転倒リスクを軽減させる機能がつくでしょう。
お尻を上にあげる筋肉は、立ち上がるときに使う筋肉とほぼ同じです。
安全かつ日常的に鍛えて、筋肉量を増やしていきましょう。
続きは本誌でご覧いただけます。
- 執筆 加藤 慶
りはびり屋OWARIASAHI/理学療法士
以上は、『おはよう21』2024年10月号の特集の内容の一部です。このほかにも本誌では、下記のトピックを取り上げ解説しております。ぜひお手に取ってご覧ください。
特集
転倒・転落、誤嚥、誤薬… 事故・ヒヤリハット事例に学ぶ 安全な介護のポイント
- 1 なぜ介護現場で事故は起こる?
- 2 事例に学ぶ 安全な介護のポイント
- 3 安全に介助するための5つのポイント
- 『おはよう21 2024年10月号』
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