今月のおはよう21
介護専門職の総合情報誌『おはよう21』最新号の内容をご紹介します。
まるわかり! 2024年介護報酬改定 ケアの質向上編
『おはよう21』2024年6月号から、特集（まるわかり! 2024年介護報酬改定 ケアの質向上編）の内容を一部ご紹介いたします。
今回は、2号連続となる介護報酬改定特集の後編です。
認知症ケアに関する加算の充実や、医療機関との連携、自立支援・重度化防止、科学的介護のさらなる推進を目的とした加算の見直しなど……
ケアの質向上にかかわる改定についてみていきます。
1 認知症ケアの向上
認知症ケアを評価した加算 改定でどう変わった？
要約すると…
共生社会の実現を推進するための認知症基本法（以下、認知症基本法）の成立を受けて、今改定でも、認知症ケアのさらなる「普及」と「質の向上」が求められます。
在宅サービスでは、認知症に関する既存の加算に対する要件の見直しや、新たな区分の創設などが行われました。
たとえば、通所介護の認知症加算では「普及」に向け、利用者の割合に関する要件を緩和。
同時に、事例検討会の開催など、「質の向上」を目的とした取り組みを評価することに。
訪問系では、「普及」を目的として「認知症専門ケア加算」の加算算定の対象者の要件を緩和。
多機能系では、「質の向上」を目指し、認知症加算に対して、要件を強化した新区分が設けられています。
認知症基本法では、国や自治体が手がけるべき認知症施策の方針が示されています。
その1つが、一人ひとりの状況に応じた良質かつ適切な保健医療・福祉サービス（介護保険サービス含む）の提供。
その規定が介護報酬改定にも反映されています。
認知症ケアの質向上に向けた改定として、従来の加算要件の強化に加えて、新たな加算も設けられることになりました。
ここでは、通所介護と多機能系で算定されている「認知症加算」と、2021年度から訪問系も対象となった「認知症専門ケア加算」の見直しに注目します。
通所介護の要件緩和と追加
通所介護（地域密着型含む）の「認知症加算」では、要件の見直し・追加が行われました。
見直された点は「認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の人の割合」。
これまでは、事業所の総利用者の20％以上がⅢ以上でなければならなかったのが、15％以上に引き下げられました。
同加算を算定しづらい理由として「Ⅲ以上の人20％以上が満たせない」という課題があり、要件の緩和措置が図られたのです。
一方で、従事者に対して認知症ケアに関する事例の検討や、技術的指導についての会議を定期的に開催するという要件が追加されました。
多機能系の加算に新区分
また、多機能系の「認知症加算」については、ケアの専門性を問う新区分が創設されました。
これまで2区分だった加算に、2つの新区分（新Ⅰ・Ⅱ）が加わります。
新区分では、❶一定の研修を修了した人材を配置していること、❷認知症ケアに関する留意事項の伝達や技術的指導についての会議を開催することが求められます。
いずれも、対応する利用者の状態に加えて、認知症ケアの質を上げるための方策を評価するものです。
ちなみに、旧区分のⅠ・ⅡはⅢ・Ⅳに移行し、単位が引き下げられました。認知症ケアの質の評価に重点が置かれたことになります。
訪問系でも要件緩和
続いて、訪問系の「認知症専門ケア加算」について。
先の多機能系に関する❶❷と同様の要件は定められており、質の確保はされていましたが、問題は算定が広がらないこと。
そこには通所介護の認知症加算と同様に、対象者の要件のハードルが高いという課題があります。
その改善を図るべく、区分Ⅰでは自立度ⅢからⅡに緩和（利用者の割合は50％）。
区分Ⅱでは自立度Ⅲ以上の割合を「50％以上」から「20％以上」に引き下げました。
なお、両区分とも単位数は変わっていません（訪問介護でⅠは3単位／日、Ⅱは4単位／日※）。
※定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護（Ⅱ）は、Ⅰが90単位／月、Ⅱは120単位／月
認知症短期集中リハの拡充も
認知症があっても「できること」は多く、その機能を維持・向上させるリハビリも重要です。
ただし、利用者の生活環境を考慮しないと、せっかくのリハビリ効果も生活に根ざして活かすことは困難です。
そこで、老健の認知症短期集中リハビリでは、利用者の退所後の生活の場（居宅や施設など）を訪問し、その環境に応じたリハビリ計画の作成が求められます。
見直された加算単位では、上記が未達成の場合に減算となります。
続きは本誌でご覧いただけます。
- 執筆 田中 元
介護福祉ジャーナリスト
以上は、『おはよう21』2024年6月号の特集の内容の一部です。このほかにも本誌では、下記のトピックを取り上げ解説しております。ぜひお手に取ってご覧ください。
特集
まるわかり! 2024年介護報酬改定 ケアの質向上編
- １ 認知症ケアの向上
- ２ 医療連携の強化
- ３ 口腔・栄養に焦点
- ４ 利用者の尊厳確保
- ５ 科学的介護の推進
- 『おはよう21 2024年6月号』
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