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今月のおはよう21

おはよう21

介護専門職の総合情報誌『おはよう21』最新号の内容をご紹介します。

チェックリストで点検 ケアに潜む“虐待のリスク”

『おはよう21』2023年12月号から、特集(チェックリストで点検 ケアに潜む“虐待のリスク”)の内容を一部ご紹介いたします。

日々のケアのなかには、虐待につながるリスクが潜んでいます。
そして、介護現場における虐待の件数は増加傾向にある、という調査結果もあります。

無意識のうちに〝不適切〞なケアを行っていないか、利用者のニーズや思いを適切にとらえられているかを、場面別にチェックリストで確認していきましょう。


場面別 虐待につながる“不適切”なケアチェックリスト

現場には、虐待に移行するリスクがある“不適切”なケアが潜んでいます。
ケア場面別に、日々の実践や考え方が虐待につながっていないかをチェックリストで振り返ってみましょう。

1 食事介助の場面で思うように食べてくれない

職員のペースになっていないか

食事介助では、利用者ごとに個別的な支援が求められます。
食べるスピードやひと口の量、好き嫌い、食習慣などは一人ひとり違うからです。

食欲は健康のバロメータといえます。
加齢とともに高齢者の食欲は徐々に低下しますが、何とか食べてもらおうと考え、現場ではさまざまな工夫が行われていると思います。

しかし、「利用者のために」と思っていた食事介助が、いつの間にか介護者側の都合やペースになってしまっていないでしょうか。

こうしたケアは虐待につながるおそれがあります。
日頃からセルフチェックをして、誤った方向に向かいそうになったら、職員同士で確認・指摘し合って、軌道修正しましょう。

ターミナルケアを意識する

人は必ず最期を迎えます。
食欲がなくなってきたとき、どのような食生活を送りたいのか、本人や家族と事前によく話し合っておきましょう。

身近に親族がいない高齢者の場合には、社会福祉士や成年後見人等の支援者がいるかもしれません。
こうした関係者や、相続人などと複数で、あらかじめよく話し合っておく必要があります。

ポイント

  • ●利用者の食べるペースや食の好みを把握する
  • ●食べないからといって無理に食べさせない
  • ●最期のときにどのような食事介助を望むか確認しておく

集団行動に合わせてくれず、誘導・移動時の声かけがうまくいかない

移動の目的とタイミング

施設での暮らしは集団生活なので、食事や入浴、アクティビティなどのスケジュールがある程度決まっていることが多いと思います。

そのため、誘導や移動の場面で、高齢者に支援を拒否されると、スケジュールがずれるので、強引に連れて行こうとするなど、〝不適切なかかわり〞になってしまうことがあります。

では、誘導や移動の目的は何でしょうか。
人は行動する際に、その目的によって嫌だと思うことがあります。
しかし、単に動きたくない、移動先にいる人と過ごしたくない、という場合もあります。
声をかけた職員に対して、よい感情をもてなかった可能性もあります。

適切な声かけになっているか

認知機能が低下している高齢者は、背後から声をかけられたり、視線が合わないまま声をかけられたりすると、とても驚いてしまいます。

急いでいるときも、高齢者の正面からゆっくり近づいて、視線をしっかりとらえるなどの「事前準備」を行うことが重要です。

触れる際に力を入れすぎていないか

高齢者に抵抗されると、支援する側はつい力を入れすぎしまうことがあります。
高齢者の骨や血管はもろくなっていることが多いので、容易に骨にひびが入ったり骨折したり、皮下出血を起こしてしまいます。

ひと呼吸おいて、心を落ち着かせましょう。

職種間で話し合おう

怒りの感情を、高齢者を茶化して抑えることはありませんか。
心理的虐待につながるので、気をつけましょう。

集団生活のなかで、個人の尊厳を守ることとは、相反するニーズをいかに満たすかという課題にもなります。
介護職がまさに実力を発揮する場面でもあり、難しい選択をしていくことになります。
一人で抱え込まず、多職種の職員間で、話し合って考えましょう。

今、誰の、どのニーズを最も優先すべきなのか。
その場に関係する人たちと、高齢者を中心に考えます。
逆説的ですが、あえて結論を出そうとせず話し合ってみると、どの方向に進むべきかが見えてくることがあります。

ポイント

  • ●日々の声かけと触れ方を振り返ってみる
  • ●思うように動いてくれないからと、怒りの感情に任せない

続きは本誌でご覧いただけます。

執筆
矢吹知之(高知県立大学 社会福祉学部)1、4-④~⑥
松本 望(日本女子大学 人間社会学部)2、4-①③
梅崎 薫(埼玉県立大学 保健医療福祉学部)3

以上は、『おはよう21』2023年12月号の特集の内容の一部です。このほかにも本誌では、下記のトピックを取り上げ解説しております。ぜひお手に取ってご覧ください。


特集

チェックリストで点検 ケアに潜む“虐待のリスク”

  • 1 虐待の一歩手前 介護現場でよく起こる“不適切”なケア
  • 2 介護現場での虐待の現状を知ろう
  • 3 場面別 虐待につながる“不適切”なケアチェックリスト
  • 4 組織で取り組む虐待防止対策
『おはよう21 2023年12月号』
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