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今月のおはよう21

おはよう21

介護専門職の総合情報誌『おはよう21』最新号の内容をご紹介します。

リーダー・施設長のための
部下の問題・改善点を上手に伝える“フィードバック”入門

『おはよう21』2023年7月号から、特集(リーダー・施設長のための 部下の問題・改善点を上手に伝える“フィードバック”入門)の内容を一部ご紹介いたします。

リーダーにとって、職員とどのようにかかわればよいかと悩む場面は少なくありません。

特に、職員に仕事上の問題や改善点がある場合は、意識や行動を変化させるために、その職員にとって「耳の痛いこと」を伝える必要があります。

その具体的な声かけの方法や工夫すべきポイントを、「フィードバック」の考え方とともに紹介します。


「フィードバック」の基本を知ろう

部下の問題・改善点を伝えるために有効な手法として、フィードバックがあります。

ここでは、フィードバックを構成する2つの要素を押さえたうえで、職員育成の基礎理論、フィードバックと基礎理論の関係、フィードバックの流れと技術をみていきます。

2つの要素によるはたらきかけ

フィードバックを介護現場の職員育成に当てはめて、端的に表現すれば、「耳の痛いことを職員にしっかりと伝え、彼らの成長を立て直す」ということです。

具体的には、前述した「情報通知」と「立て直し」の2つの要素によるはたらきかけを通して、問題を抱えた職員や、スキルがなかなか向上しない職員の成長を促進することを目指します。

2つの要素をもう少し詳しく説明すると、次の通りです。

❶情報通知

 たとえ耳の痛いことであっても、職員のパフォーマンス(専門職としてのスキル)などに対して、情報や結果をしっかり通知する[現状を把握し、向き合うことの支援

❷立て直し

 職員が自己のパフォーマンスなどを認識し、自らの業務や行動を振り返り、今後の行動計画を立てる支援を行う[振り返りとアクションプランづくりの支援

このフィードバックの考え方こそ、職員育成の最強の方法です。

ところが、介護の人材不足が常態化している現状のなか、「耳の痛いことを言うと辞められるのではないか」などと心配する声も聞こえてきます。
とはいえ、目の前にいる部下の問題や改善点は見えているのに指導をためらっていては、負の連鎖に陥ってしまいます。

職員の育成のために、リーダーは勇気をもってフィードバックに臨みたいものです。
職員が育ち、よりよい職場になれば、人材は集まってくるものです。

職員育成の基礎理論「経験軸」と「ピープル軸」

フィードバックを効果的に実施するためには、技術が必要です。
ただし、技術をなぞるだけでは、成果は上がりません。
技術のバックボーンとなっている職員育成の基礎理論の知識を理解することが大切です。

フィードバックに関する技術の効果を高めるためには、「職員は、介護の現場で、どのような場合に育つのか」といったメカニズムを整理してくことが有用です。

その基礎理論については、さまざまな議論がありますが、リーダーにお伝えしたいのは、「経験軸」と「ピープル軸」の2つです。

経験軸とは、「経験は足りているか?」という視点であり、ピープル軸とは、「職場の人とのかかわりは十分か?」という視点です。

「経験軸」から考える
経験は足りているか?

「職員を育成するためには、実際の現場での業務経験が最も重要である」。

これが、「経験軸」の考え方です。
当たり前と言えば当たり前ですが、実は、かつての人材開発の分野では、業務経験よりも「研修」や「教育プログラム」の果たす役割のほうが大きいと考えられていたのです。

この考え方はやがて改められ、「業務経験こそが最も大きな成長の資源である」という考え方が広まりました。
もちろん、研修や教育プログラムも欠かせないものなのですが、あくまでも業務経験を補強するものとして位置づけられるようになったのです。

ちょっと無理をすれば何とかこなせる業務を任せていく

業務経験から学ぶことを「経験学習」といいます。
経験学習で職員の能力を伸ばすためには、「ストレッチ経験」が効果的です。

ストレッチ経験とは、「現在の能力でできる業務」と「背伸びしてできる業務」の差のことで、「背伸び経験」ということもあります(図3)。

職員の能力を伸ばすために、少し背伸びしなければならない難易度の仕事を任せていくわけです。

ストレッチ経験のさじ加減

ストレッチ経験ができる仕事を任せるためには、職員の心理状態に配慮する必要があります。

この配慮により、「どこまで背伸びさせるのか」といった、ストレッチ経験のさじ加減が決まります。

3つの心理的空間

職員の心理的な居場所を3つの空間で表現すれば、「快適空間」「挑戦空間」「混乱空間」と示すことができます(図4)。

3つの心理的空間のうち、内側の「快適空間」と外側の「混乱空間」は、職員の成長には不向きです。

両者の中間に位置するストレッチ経験ができる「挑戦空間」(ストレッチゾーン)に職員を置くことが職員育成のカギになります。

監修
中原 淳
立教大学 経営学部 教授
執筆
佐賀由彦
ライター

以上は、『おはよう21』2023年7月号の特集の内容です。このほかにも本誌では、下記のトピックを取り上げ解説しております。ぜひお手に取ってご覧ください。


特集

リーダー・施設長のための部下の問題・改善点を上手に伝える“フィードバック”入門

  • 1 リーダーにとっての職員育成の悩み
  • 2 「フィードバック」の基本を知ろう
  • 3 実践を深める12のチェックポイント
  • 4 タイプ別・場面別に考えるフィードバック実践技術
『おはよう21 2023年7月号』
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