民生委員のための一人暮らし高齢者支援・見守り 知っておきたいQ&Aを紹介!
民生委員のための一人暮らし高齢者支援・見守り
知っておきたいQ&Aを紹介!
近年、一人暮らしの高齢者は増加傾向にあります。地域の高齢者などをサポートする民生委員も一人暮らしの高齢者とかかわることが多くなってきています。
そうしたなかでよくみられる場面を本記事では取り上げ、支援に関する必要な知識と対応方法を紹介します。
【記事の監修者】
小林 雅彦(こばやし まさひこ)
国際医療福祉大学大学院教授
Q 入院した高齢者に必要な物品を自宅から持ってきてほしいと頼まれた
A こうした依頼は高齢者本人、場合によっては入院先の病院から受けることがありますが、民生委員が対応する義務はありません。しかし、この依頼への対応を考えるうえで、整理すべきポイントが2つあります。
②民生委員が鍵を預かって無人の自宅に入ること
① 入院中に必要な物品を準備すること
入院をする場合、パジャマ、着替えなど多くの物品を用意する責任は当然本人にありますが、家族がいなかったり、遠方ですぐに駆けつけたりすることができないと、民生委員が頼まれることがあります。
しかし、多くの病院では、売店で購入やレンタルができるようになっていたりするため、まずは本人が病院とよく相談することが大切になります。
② 民生委員が鍵を預かって無人の自宅に入ること
依頼に応じた場合、退院後に本人から「〇〇がなくなっている」や、頼んだことを忘れてしまい、「頼んだ覚えはない、鍵を盗んだ」などといわれて、民生委員が疑われるような問題が危惧されます。
かかわりのポイント
入院に必要な物品の準備は依頼されたから行うのではなく、病院とよく相談することが基本です。本人と信頼関係が十分にできていて、家族も理解していた場合でも、後々のトラブルを防ぐために次の3点は必ず守るようにしましょう。
②連絡が取れる家族がいる場合は、その家族に家に入ってよいかを改めて確認する
③家に入る場合は必ずほかの民生委員等の協力を得て、複数人で入る
Q 訪問時に警戒や拒否をされたら
A 訪問を受けた側には応対する義務がない以上、警戒や拒否をされる可能性があることはあらかじめ承知しておく必要があります。そのうえで、警戒や拒否をされる理由をまずは考えてみるようにしましょう。
理由として考えられることは2つあります。
②民生委員とかかわりたくないと思っている
① 本物の民生委員かどうか疑っている
民生委員を名乗った詐欺未遂事件などが起きているため、初めての訪問の場合、本物の民生委員なのか疑われることが起きてしまいます。
② 民生委員とかかわりたくないと思っている
かかわりたくない理由として、「前から民生委員と知り合いで自分の生活状況を知られたくない」「そもそも民生委員にマイナスのイメージをもっている」の2つが考えられます。また、民生委員でなくてもそもそも周囲の人とかかわりたくないと思っている人もいます。
かかわりのポイント
顔を合わせて話ができるようになるためには、相手に民生委員が職務として訪問していることを理解してもらう必要があります。そのための取り組みとして、次の3つがあげられます。
②初めて訪問する場合、事前に市町村(役所)から連絡する
③必ず写真入りの身分証明書を携行し、最初に提示する
これらの取り組みをしても拒否された場合は無理をしないようにしましょう。ただし、かかわりをやめるのではなく、周囲から様子を確認するなど何らかの接点をもち続けることが大切です。
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