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再録・誌上ケース検討会

このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。


第15回 自己決定を大切にしながらスムーズな退院援助を行うには
(2005年10月号(2005年9月刊行)掲載)

スーパーバイザー

高橋 学
(プロフィールは下記)

事例提出者

Hさん(メディカルソーシャルワーカー(MSW))

事例の概要

提出理由

 本ケースは、入院患者Aさんの退院援助でかかわったケースです。現在も継続しています。終始悩んでいたのは、「他専門職種と協働していく上での戦略」「クライアントへの介入ペース」の2点です。依頼時には、MSWが求められた役割(情報収集屋さん)とソーシャルワーカーとしての援助をどう繋げていくのか、介入後半では在院日数が延びるなか、医師・看護師に期間が必要な根拠を伝えられない状況でした。利用者の決定を「待つ」ことは今までの援助のやり方でしたが、病院の特性を考え、違う方法も身につけなければと感じています。この事例検討では、①求められる役割から、どのようにソーシャルワーカー援助に繋げていくのか、②「待つ」だけでなく、クライアントの力をサポートしながら介入期間を短縮できる方法について学び、次の援助に繋げていきたいと考え、提出しました。

施設概要

一般病棟:200床、診療科目:外科、内科、呼吸器科、形成外科ほか

クライアント

A氏(男性・86歳)
病名:気管支肺炎、小腸狭窄、右鼡径ヘルニア
現病歴:H17年3月4日、発熱・食欲低下・腹痛が続き、歩行も困難となったため、救急車にて当院搬送。即日入院。小腸狭窄、右鼡径ヘルニアあり。4月2日、右鼡径ヘルニア、小腸狭窄の手術施行。食事も可能となり、ADL回復。治療は終了するも、退院先確定せず入院継続中。

プロフィール

高橋 学(たかはし まなぶ)

1959年生まれ。早稲田大学大学院博士後期課程満期退学。東邦大学医学部付属大森病院、北星学園大学を経て昭和女子大学大学院福祉社会研究専攻教授。専門は、医療福祉研究、精神保健福祉学、スーパービジョン研究、臨床倫理など。